1、異世界で目が覚めた
わたしの過去の連載を知っている人にはたいへん失礼ですが、これは完結することをまったく目指さない超適当不定期連載です。毎日、必ず連載されるということはまったくありません。
<VICTORY REMENBER MAIN MEMORY ONLINE>
勝利は、中心記憶回路を覚えている。
略して、VRMMOである。
ぼくの名前は、チート・ハーレム。
強くも賢くもない平凡な一市民である。
場所は、異世界。
中世ヨーロッパ風といえば、わかりやすいだろうか。
行商人の父と、占星術師の母の間に生まれた十四歳の男である。
行商人の父は、オーストリリアで時計や靴を買い、フラランスに運び売っている。ぼくはその手伝いをしている。
我がハーレム家は、一男一女の純愛を推奨する健全な家風である。ハーレムなどという姓をもっているため、誤解を生むことがあるが、決して、大勢の女性をはべらかせて乱痴気騒ぎをする一族ではない。
VRMMOとは、ぼくがヴァヴァチカンに行った時に、空中に砂で描かれた文字である。<勝利は、中心記憶回路を覚えている。> いったい、どういう意味だろうか。
ぼくにはわからず、その神秘体験を見ていた。空中に砂が文字を描く。そんなことが起こりえるだろうか。しかし、現に起こったのであり、ぼくは、VRMMOという単語をしっかりと頭に叩き込み、きっとこれは母が行う占星術に関わる天の啓示か何かだろうと思い、砂を手にとろうとして、手を前に突き出したところで、文字を描いていた砂がさらりとこぼれ落ちた。