40/42
廊下の二人
本日3話更新です。よろしくお願いします。
室内が辞令を受けて大騒ぎになっていた頃、廊下で待つローラに声をかけるカイの姿があった。
「……なあ、補佐殿。使者の部屋付き侍女なんてものは、みな貴族なんじゃないのか?」
「ライナス様は元は平民でいらしたけど、国賓ですもの。貴族家の上級侍女が二人配されてるわね」
「……そんなとこにあいつが行って大丈夫なのか? 陰湿な嫌がらせを受けたり、相手にされなかったりしないのか?」
「いやあね、みんなちゃんと分別のある大人よ。それに人格も勘案したうえでの選定です。そんな程度の低い人間はいないと断言するわ」
「……そうか。良い環境なんだな」
会話が途切れると、室内の喧騒がことさらに大きく響いた。
「カイ君こそ大丈夫なの? サーシャちゃんがいなくなったら困るんじゃない? 別の人、見つけてくるわよ?」
「いや、いい。縫製室の連中がいたら仕事は何とでもなるから」
「そう。困ったらすぐに言ってね」
室内から聞こえる音は、もう止んでいる。途切れ途切れの声を聞くともなくローラは佇む。
「……なあ、補佐殿。……あいつのこと、よろしくお願いします」
「ふふっ、言われなくとも」
サーシャの足音が聞こえる。
ローラはカイから少し距離をとって、『準備』が終わるのを待った。




