間話 メリンダ
本日3話更新です。よろしくお願いします。
「メリンダ様、ごきげんよう」
「ごきげんよう」
メリンダは、あの一件からほどなくして女学校に戻った。
一時は王都のタウンハウスも売却しなければならないかと思われたが、スタンリーと父モリスの話し合いにより、賠償金は請求されず、商売上の付き合いも継続となった。
ただ、タウンハウスの維持管理費や母子の服飾費など、これまで商会からあった援助がすべてなくなってしまったそうだ。
ミカエラが毎日のように部屋に来ては愚痴を言うので、大人たちの間で起こった諍いについての顛末を、メリンダもすっかり知ってしまったのだった。
──もう、お姉様に会えないのかしら。
そう考えるだけで悲しくて、けれど泣いてしまうとそれが本当になってしまう気がして、メリンダは体を丸めて感情をやり過ごすしかなかった。
ニックのことは、いつの間にか思い出さなくなっていた。
男爵領の屋敷にいても気が滅入るばかりで、メリンダは王都に戻りたくなった。
サーシャには会えなくても、同じ王都にいればすれ違うことくらいはあるかもしれない。だから、タウンハウスに戻って復学もした。
友人たちは心配そうに声をかけてくれて、前と変わらず接してもらえたことに、メリンダは安堵の息をこぼした。
「メリンダ様、ご存知? 今、王宮でとっても注目されているお仕着せがあるのですって!」
「私も聞いたことがありますわ。何でも、サーシャさんが手がけられたとか。布をまとうだけの簡単な作りなのに、女神像のような気品があるそうですわよ」
メリンダはサーシャの名前に嬉しくなった。聞くと、そのお仕着せは幼かった頃の二人の遊びを思い起こさせた。
──お姉様も、あの頃のことを覚えてくださっているのね。
しばらくぶりに心が軽くなったメリンダは、ミカエラにその話をした。
するとミカエラはゆっくりと笑んだ。
「そう、よかったわね。そのお話、ぜひお友だちにも聞かせて差し上げなさい」




