表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サリシャの光 〜商会の娘が紡ぐ夢〜  作者: ねるね
王宮へ
19/45

揺蕩う

本日3話更新です。よろしくお願いします。

 波乱のお披露目会から半月が経った。


 スタンリーから、サーシャとニック、そしてメリンダとの間に何があったのかと問われたが、サーシャ自身よくわからないと答えるほかなかった。学園の寮あてに招待状を送ったことを伝えると、わずかに難しい表情をした父に身構える。けれど、父はサーシャに非はないと言ってくれた。


「一男爵夫人の騒ぎ程度で揺らぐような商売はしていないよ」


 そう断言する父に安堵して、サーシャはこれまでどおりに過ごしていた。

 人に会うたび「大変だったね」と労われ、それに対して「お騒がせしました」と返す。みながサーシャに同情的で、このまま自然と騒ぎのことは忘れられていくように思えた。



 しかし事態はゆっくりと、そして着実に悪化の兆しを見せる。

 

 最初の違和感は、出入りを許されていた貴族家から声がかからなくなったことだ。全くなくなったわけではない。しかし、明らかにその件数は以前よりも減りつつあった。

 次に、商業組合から回してもらう仕事が減った。これまでローディック商会が請け負っていた仕事が、他の商会に回されることが何度か続いた。

 そしてついに、学園の寮長から敷布の納品数を再検討するとの話が持ち上がり、スタンリーは商会長として苦渋の決断に至る。



「サーシャ、すまない。お前に非がないのは私も皆もわかっている。しかし、このまま手をこまねいているわけにはいかないんだ」


 サーシャは商会の運営から外れることになった。

 期限は未定。事態が落ち着くまでということだった。




「まったく、お貴族様ってのはどうかしてるよ! なんでお嬢がこんな目に遭わなきゃならないんだ!」


「シッ。声が大きいよ。せっかく時間があるんだ。この際お嬢がやりたかったこと、全部やったらいいじゃないか」


 にぎやかにサーシャを迎えてくれたのは、ネネとルルの工房だった。

 彼女たちは気まずいそぶりすら見せない。だからこそサーシャは、知らず詰めていた息を吐くことができた。

 ここに行くようにと言ってくれた父の気遣いが嬉しかった。




 父や母、そしてネネたちに守られて、何も思いわずらうことのない日々が過ぎていく。そのなかにあっても、時々ニックとメリンダの姿を思い出してしまう。


『お姉様よりも、良いでしょう?』

『まあ、そうかもな』


 そのたびに胸がちくちくと痛んで、サーシャは痛みの理由を自覚する。

 あれは、確かに初恋だった。

 そうと知った時には、もう終わっていたけれど。


 ニックとメリンダがこれからどうするのか、気にならないと言えば嘘になる。それでも、今はまだ知らずにいたいと思うのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ