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『50from17』 〜転生先は超高度文明、黒髪少女と経験値で生き抜く方法〜  作者: 五稜 司


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第24話:咆哮の共鳴

「クロ!」

 佐藤の鋭い呼び声も、今のクロの耳には届いていなかった。

 クロは警備ロボットから視線を外さず、低く、深く、地を這うような唸り声を上げている。

 警備ロボットの巨大な銃口が、佐藤の眉間みけんに狙いを定めた。

 その刹那せつな、マイアは絶叫にも似た鋭い呼気を漏らし、勝ち目がないと知りながらも長剣の柄に手をかけ、佐藤の前に躍り出ようとした。一方でナナイの瞳は、恐怖に震えながらも周囲の配管やアームの隙間を瞬時に巡り、万が一の退路を必死に探っていた。

 だが、誰よりも速く動いたのはクロだった。

 佐藤をこの窮地から救いたいという一心で、クロは弾かれたように佐藤の前に立ちふさがった。


 しかし異変はその数秒前から始まっていた。

 クロの黄金色の瞳には、他の三人の人間には見えない「世界の理」が映り込んでいた。警備ロボットの巨体から、先ほどのSW2000を起動させた時と同じような、いや、それよりもさらに強固な、波動に似た「揺らぎ」が放射されている。

 そしてその揺らぎは、ある一点――天井から突き出した小さな突起物へと収束していた。

(……あれだ。あれが、こいつを操っている……!)

 佐藤の前に飛び込んだ瞬間、その「揺らぎ」の線はより鮮明に、より実体を持ってクロの視神経を焼いた。

『……直ちに退去してください。従わない場合は、強制的に排――』

 警備ロボットが最終警告を言い終えるより速く、クロは身体の奥底から湧き上がる、得体の知れない熱量に突き動かされた。

「――ッ!!」

 それは鳴き声というにはあまりに鋭く、咆哮というにはあまりに透明な、高周波の衝撃波だった。

 クロの喉から放たれた目に見えない「くさび」が、空中でうねる揺らぎの一部を粉砕し、天井の突起物との繋がりを強引に断ち切る。


「きょ、キョキョ……キョキョキョキョ……」

 刹那、ロボットのスピーカーが激しいノイズを吐き出した。佐藤に向けて固定されていた銃口が、まるですべての筋肉を失ったかのように、ガクンと力なく床を向く。


 その隙を、野生の直感が逃さなかった。

 クロは目にも留まらぬ速さでロボットの巨体へと跳躍した。鋭い爪を一点に集中させ、胴体と頭部の隙間にある、鈍く光る核――「コア」を文字通り引き千切る。

 火花が散り、重厚な金属の塊が断末魔を上げることなく沈黙した。


「クロ……お前、今のは一体……?」

 呆然と立ち尽くす佐藤の声に、クロがゆっくりと振り向く。その瞳は、いつの間にかいつもの穏やかな黄金色に戻っていた。

「……わかんない。ヒロがこのままじゃ死んじゃうと思ったら、体の奥から何か力が湧いてきて……その後のことは、あんまり覚えてないんだ」

 困惑するクロの言葉を遮るように、再び施設全体を揺らす無機質な音声が鳴り響いた。


『――異常事態発生。異常事態発生。生産地区DブロックにてIS246の活動停止を確認。IS139ならびにIS201は、直ちにDブロックへ移動せよ。また、Dブロック周辺のPT型は、警戒レベルを最大まで引き上げ哨戒を開始せよ』


 赤く明滅する照明が、破壊されたSW2000の無残な残骸を照らし出す。

「ここにいたらまずい! とにかく、この場を離れるわよ!」

 マイアの鋭い決断に、佐藤は頷き、クロを抱き上げた。

 四人は背後から迫る複数の重金属の足音を背に、巨大なアーム群が複雑に蠢く工場の闇の中へと駆け出していった。

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