表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『50from17』 〜転生先は超高度文明、無双は無しで黒髪少女と経験値で生き抜く方法〜  作者: 五稜 司


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/22

第18話:沈黙の扉

巨大な隔壁かくへきは、見上げるほどに高く、厚かった。

 かつては白く輝いていたであろうその表面は、数千年の時にさらされ、泥と油にまみれてどす黒く変色している。佐藤さとうは壁に手を触れ、そのあまりの冷たさに身震いした。

「……なんて大きな壁。こんなの、今まで見たことないわ」

 マイアがパイプライフルを握ったまま、圧倒されたようにつぶやく。地下で生まれ育った彼女にとって、これほど巨大な人工構造物は想像を絶するものだった。


「ねえ、サトウ。ここ、ちょっと変だよ」

 少し離れた場所で壁を凝視していたナナイが、指を差した。彼女の鋭い観察眼が、泥の層に隠された微かな「凹凸おうとつ」を捉えていた。

 佐藤が近づき、そででその箇所の汚れを力任せに拭き取る。すると、そこには文字とも図形とも判別できない、奇妙な幾何学模様きかがくもようが数箇所に刻まれていた。


「……これは」

 佐藤の脳裏に、転生直後の記憶がよみがえる。あの混乱の中、地下世界へと逃げ込む際、視界の端に流れていった景色――その中にあった意匠いしょうと、これは酷似こくじしていた。

「サトウ? 何か知ってるの?」

「いえ……ですが、これと同じようなものを、以前見かけた気がします。マイアさん、少し壁沿いに歩いてみましょう。この先に、何かあるような気がします」

 佐藤はひたすら自分の勘を信じて歩き出した。


 びた鉄の臭いと静寂が支配する空間。壁伝いにしばらく歩くと、佐藤の足がピタリと止まった。なんとなく、何かに引っかかる感覚があったからだ。足元には巨大なガラクタの山が積み上がっているが、その隙間から、壁に刻まれた細く鋭い「溝」が見えた。よく見なければただの傷に見えるが、それはまぎれもなく、人が通れるほどの四角い輪郭りんかくを描いている。


「クロ、ナナイさん、手伝ってください!」

 三人で必死にガラクタを掘り起こしていくと、溝の脇から半球体はんきゅうたいの突起が現れた。その頂部には、人間の手の形に合わせたようなくぼみがある。

「……やってみるよ」

 佐藤が緊張で湿ったてのひらを、その凹みに合わせるように触れた。


 数秒の沈黙の後、――ズ、ズンッ……。

 にぶい音が響き、溝のある壁がガクンと一度奥へ引っ込んだ。続いて、壁がゆっくりと上方へと動き出し、漆黒しっこくの通路が姿を現した。

「開いた……本当に開いちゃったよ」

 ナナイが感嘆かんたんの声を漏らし、中を覗き込もうとしたその時。


「待って! 何か来るっ!!」

 ナナイの鋭い警告が、通路の静寂を切り裂いた。

 四人が弾かれたように振り向くと、背後の暗闇からうなり声と気配が迫っていた。汚濁おだくまみれ、理性を欠いた瞳を爛々(らんらん)と輝かせる不適合者ふてきごうしゃと呼ばれる者たちが、そこには立っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ