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『50from17』 〜転生先は超高度文明、黒髪少女と経験値で生き抜く方法〜  作者: 五稜 司


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第11話:地下の便利屋

地下の集落での生活は、思いのほか過酷かこくで、それでいて奇妙に平穏だった。

マイアの誘いを受け、正式に住民として認められた佐藤啓典さとうひろのりは、まず自分にできることから始めた。


「サトウ、またあそこの棚の修理? 飽きないね」

クロが退屈そうに、尻尾の代わりに黒髪の先をいじりながら言う。

「いいんだよ。壊れたものが直るのは気持ちがいいし、何よりこれで顔を覚えてもらえるからな」

佐藤は、かつて配送先の倉庫で壊れたパレットを直していた時のような手つきで、ガラクタの山から拾い集めたボルトを締め直す。


高い場所に引っかかった子供たちの遊び道具を、17歳の軽い体でひょいと登って取ってやる。

集落の主食である、肉厚で青白く光る「シイタケ」に似たキノコの収穫を手伝う。

そんな些細ささいな積み重ねが、警戒心の強い住人たちの心を少しずつ解かしていった。

「あんた、案外器用なんだな。助かったよ」

そう言って、以前は殺気立っていたバイアスも、今では佐藤に古い基板の破片を分けてくれるほどになった。


そんな日々の合間に、佐藤はジャインからこの世界の「毒」について学んだ。

たまに話題に上る「不適合者」と「変異体」。

ジャインの話では、地上から廃棄物が投下される際、まれに人間のような姿をしたものが「降ってくる」のだという。だが、それらは言葉をかいさず、ただ飢えた獣のように襲いかかってくるバケモノ、通称「不適合者ふてきごうしゃ」だ。

そして、かつての昆虫や小動物が、廃棄物の重金属や特殊な電磁波にさらされて巨大化した「変異体へんいたい」。50センチメートルを超えるゴキブリや、1メートルに達するネズミ……。


「……ここでは、戦えぬ者は死ぬ。サトウ、お前さんもそろそろ『外』を知るべき時だ」

マイアの提案で、佐藤は初めて集落の外を回る「巡回チーム」に加わることになった。

メンバーは、武闘派のバイアス、そして無口だが目ざとい若者のナナイ、佐藤とクロの四人だ。


最初は、道なき道を進む足取りも軽く、佐藤はバイアスと雑談を交わしていた。だが、集落の明かりが届かない、瓦礫がれきが巨大な山を形成する区域に足を踏み入れると、空気の色が変わった。

「ここからは私語厳禁しごげんきんだ。足元に気をつけろ」

バイアスが低い声で言い、棍棒こんぼうを握り直した。

それまで軽口を叩いていたクロも、黄金色の瞳を細め、重心を低くして周囲の暗がりに神経を尖らせている。


不意に、先頭を歩いていたナナイが無言で腕を横に伸ばし、一行を止めた。

彼の視線の先には、ガラクタが複雑に絡み合い、小さな山となっている場所がある。細かいネジや金属片が堆積たいせきしており、少しでも触れれば「ガラガラ」と崩れ、足場を失うだろう。

沈黙が支配する空間。

不意に、その小山の一角が、微かな音を立てて崩れた。


「チッ……来るぞ!」

ナナイの叫びと同時に、その影から飛び出してきたもの。

それを見た瞬間、佐藤は足の指先まで凍りつくような衝撃を覚えた。

50年の人生、そして21世紀の知識を持ってしても、それは想像を絶する異形だったのだ。

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