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ただの悪役令嬢"声優"は静かに暮らしたい ― 超有能な勘違い弟子令嬢から溺愛されて逃げられません ―  作者: 荒瀬 維人
第1章:クラン《黒薔薇の園》爆誕

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第4節:Sランク認定(拒否失敗)

「それじゃあ、今日はセラの訓練も兼ねて、簡単な依頼を受けましょう」


師匠の言葉で、僕たちは朝一番でギルドを出発した。


メンバーは、師匠、リザ、マンディ、セラ、そして僕。


今日の依頼は――


《街道の盗賊団討伐》

ランク:D

報酬:金貨二十枚


「盗賊団……大丈夫でしょうか」


セラが、不安そうに呟く。


「大丈夫よ。人数は五人程度らしいから」


師匠が、優雅に微笑む。


「それに、あなたには私たちがついているわ」


「は、はい……!」


セラが、緊張した面持ちで頷いた。


街道を進むこと、二時間。

依頼書に記された場所――街道脇の森に差し掛かった時だった。


「……待って」


リザが、手を上げた。


「気配が、多すぎる」


「多い……?」


僕は、周囲を見回す。

だが、何も見えない。


「五人どころじゃない。少なくとも――二十人は潜んでいる」


リザの言葉に、僕は息を呑んだ。


「二十人……!?」


「しかも、ただの盗賊じゃない。魔力の気配がある」


マンディが、拳を構える。


「魔力……まさか、魔法使いが混じってる?」


「ああ。厄介だな」


その時――


森の中から、男たちが姿を現した。


一人、二人、三人――

次々と、武装した盗賊たちが現れる。

そして、その数は――


「二十五人……!」


僕は、思わず声を上げた。


「よく来たな、《黒薔薇の園》」


盗賊団のリーダーらしき男が、不敵に笑う。


「お前らが来ることは、分かっていた。この依頼は――罠だ」


「罠……!」


「ああ。お前らの首には、高い賞金がかかっている。特に――クランマスターのシルヴィア・ド・ノワールの首はな」


リーダーが、剣を抜く。


「悪いが、ここで死んでもらうぜ!」


盗賊たちが、一斉に襲いかかってきた。


「くっ……!」


リザが、剣を抜いて応戦する。

マンディも、拳を振るう。


だが――数が多すぎる。


「師匠、下がってください!」


リザが、叫ぶ。


だが――


「いいえ」


師匠は、冷静だった。


「慌てないで。相手の動きを、よく見なさい」


「師匠……?」


「舞台では、大勢の役者が動く。だけど、それぞれに役割があるの。誰がメインで、誰がサポートか――それを見極めることが大切」


師匠の言葉に、リザが目を見開く。


「……なるほど!」


「リーダーと魔法使いを優先! 他は後回しだ!」


リザが、的確に指示を出す。


「マンディ、魔法使いを頼む!」


「任せろ!」


マンディが、森の奥に向かって突進する。


そして――


「ぐああああ!」


魔法使いらしき男が、マンディの拳で吹き飛ばされた。


「セラ、防御魔法を!」


リザの指示に、セラが杖を構える。


「え、ええと……!」


「落ち着いて、セラ」


師匠が、優しく声をかける。


「台詞を忘れた時、どうする? 深呼吸して、役の気持ちを思い出すのよ」


「役の……気持ち……」


セラが、目を閉じる。


そして――


「――風よ、我らを包め。《ウィンドバリア》!」


セラの魔法が、僕たちを包んだ。


盗賊の矢が、風の壁に阻まれて弾かれる。


「すごい……!」


僕は、驚愕した。


「やるじゃん、セラ!」


マンディが、笑う。


「あ、ありがとうございます……!」


セラが、顔を赤らめる。


そして――


戦闘は、あっという間に終わった。


リーダーは、リザの一撃で沈黙。

魔法使いは、マンディに無力化された。

残りの盗賊たちは、セラの防御魔法に阻まれ、次々と降伏した。


「……終わったわね」


師匠が、優雅に息をつく。


「はい……」


僕は、呆然としていた。


(二十五人を、一瞬で……)


これが、《黒薔薇の園》の実力なのか。


だが――

僕が驚いたのは、それだけではなかった。


セラの魔法。

あれは、初級ではない。

中級――いや、上級に近い魔法だった。


「セラ、すごかったですね……!」


僕が声をかけると、セラは慌てて首を振った。


「い、いえ……師匠の教えのおかげです……!」


「師匠の教え……」


僕は、改めて師匠を見つめた。


(どこまで深いんだ、師匠の知識……)


*  *  *


ギルドに戻ると――

ロビーは、騒然としていた。


「《黒薔薇の園》が帰ってきたぞ!」

「盗賊団、全員拘束だって!」

「しかも、あれはCランク案件だったらしい!」


冒険者たちが、口々に叫ぶ。


僕たちは、ギルドマスターの部屋へと呼ばれた。


「よくやってくれた、《黒薔薇の園》」


ギルドマスター――白髭の老人が、満面の笑みで迎えてくれた。


「今回の盗賊団は、Cランク案件だった。しかも、罠を仕掛けられていたにもかかわらず、完璧に処理してくれた」


「当然のことをしただけですわ」


師匠が、優雅に答える。


「いや、当然ではない」


ギルドマスターは、真剣な表情になった。


「シルヴィア・ド・ノワール。あなたの実力は、もはやAランクを超えている」


「……え?」


師匠の表情が、一瞬だけ固まった。


「そして、クラン全体の実力も、国家レベルに達している」


ギルドマスターは、一枚の紙を取り出した。


「よって――《黒薔薇の園》を、Sランククランに認定する」


「え……」


僕は、思わず声を漏らした。


Sランク――

冒険者の最高位。

国家案件を扱う、伝説の領域。


「そして、シルヴィア・ド・ノワール。あなたを、Sランク冒険者に認定する」


「ちょ、ちょっと待ってください!」


師匠が、慌てて手を上げた。


「私は、そんな……!」


「謙遜は無用だ」


ギルドマスターは、微笑む。


「あなたの実力は、誰もが認めている。聖典の化身と呼ばれるあなたにこそ、Sランクの称号がふさわしい」


「いえ、ですから……!」


師匠が、必死に否定しようとする。


だが――


「師匠、おめでとうございます!」


リザとマンディが、同時に叫んだ。


「Sランク、当然です!」


「師匠なら、当たり前だ!」


二人の瞳が、輝いている。


「ちょ、ちょっと……」


師匠が、焦る。


「シルヴィア様、おめでとうございます……!」


セラも、涙目で祝福する。


「師匠……すごいです……!」


僕も、思わず声を上げていた。


「……」


師匠は――

諦めたような表情を浮かべた。


そして――


「……ありがとうございます」


小さく、呟いた。


*  *  *


(終わった……)


私――シルヴィア・ド・ノワールは、内心で絶望していた。


Sランク。

国家案件。

伝説の領域。


(静かに暮らしたいだけなのに……!)


だが、もう遅い。


Sランク認定は、公式記録として残る。

王宮にも報告される。

そして――


私の名前は、さらに広まる。


(もう、逃げられない……)


諦めと、絶望が、胸を満たす。


だが――

ここで崩れるわけにはいかない。


私は、深呼吸をした。

腹式呼吸。声優時代に叩き込まれた技術。


そして――


「おーっほほほほほっ!」


高笑いが、部屋に響いた。


「Sランク、光栄ですわ! これからも、精進いたしますわ!」


優雅に。

気高く。

完璧に。


リザ、マンディ、セラ、ルーク――

皆が、拍手を送る。


ギルドマスターも、満足そうに頷いた。


(……やってられない)


だが、表情には出さない。

私は、優雅に微笑み続けた。


*  *  *


その夜。

聖王都ルミナス中に、噂が広まった。


**《黒薔薇の園、Sランククランに認定》**

**《シルヴィア・ド・ノワール、Sランク冒険者に》**

**《聖典の化身、ついに国家レベルへ》**


そして――

王宮では、国王自らが動き出した。


「《黒薔薇の園》を、王宮に招け」


国王の命令に、側近たちが慌てふためく。


「ですが、陛下……!」


「構わん。あのクランには、第二皇子もいる。いい機会だ」


国王の瞳には、期待の光が宿っていた。


そして――

枢機卿院では、ツィチェン・イッツァ・アッゲーノが――


薄く、笑っていた。


「Sランク、か。面白い」


彼は、聖典を開く。


「『気高き笑みが野に薔薇を咲かせ、天を清める』――この一節を、どう解釈するか」


彼の指が、聖典の一節をなぞる。


「もし, 彼女が聖典に背く者であれば――異端として、断罪できる」


彼の笑みが、深まる。


「だが、もし彼女が真に聖典の化身であれば――利用価値がある」


ツルッパゲーノの野望は、静かに動き出していた。


――Sランク認定。

それは、《黒薔薇の園》にとって――

栄光ではなく、試練の始まりだった。


最後までありがとうございました!


楽しんでいただけたら、

評価やブックマークを入れてもらえるととても嬉しいです。


反応があると更新速度が上がります(重要)

コメント頂ける方はマナーとして好きな声優さんかVtuberを必ず記入してください(超重要)


それでは次回の更新をお楽しみに

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