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ただの悪役令嬢"声優"は静かに暮らしたい ― 超有能な勘違い弟子令嬢から溺愛されて逃げられません ―  作者: 荒瀬 維人
第7章:皇子の正体バレと"聖女認定"の加速

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第5節:王国、しのぶを"国家の象徴"に認定(完全版)

(しのぶ視点)



ルークたちが――



助けようと、してくれた。



王家の別荘で、静養。



明日の予定を、キャンセル。



「……」



私は、少しだけ――



希望を、感じた。



(もしかして……)



(助かるかも……)





だが――



それは、甘かった。





    





翌日。



セラが――



王宮に、交渉に行った。



「師匠の静養について――」



「王宮に、許可を求めます」



そう言って――



出かけていった。



「……」



私は、クラン拠点で――



待っていた。



(頼む……)



(許可して……)





数時間後。



セラが――



戻ってきた。



「セラ!」



リザが、駆け寄る。



「どうでしたか!?」



「……」



セラが、黙り込む。



その表情は――



暗かった。



「駄目、だった」



「え……」



リザが、固まる。



「駄目って……」



「王宮が――」



セラが、悔しそうに言う。



「師匠の静養を、認めなかった」



「!」



私は、固まった。





「どうして……」



ルークが、呟く。



「理由は――」



セラが、書類を取り出す。



そこには――





『シルヴィア・ド・ノワールは国家の象徴である』



『国家の顔である以上、公務は義務である』



『個人的な静養は、国益を損なう』



『よって、静養申請を却下する』





と、記されていた。



「……」



私は、完全に――



絶望した。



「国益って……」



「義務って……」



ルークが、震える声で言う。



「師匠は、物じゃない!」



「分かってる」



セラが、拳を握る。



「だから、僕も――」



「必死に、説得したんだ」



「でも――」



セラが、悔しそうに言う。



「王宮は、聞かなかった」



「……」





リザが――



書類を、握りしめる。



「こんなの……」



「おかしいわ……」



マンディも、涙を浮かべる。



「師匠は、人間ですわ……」



「休む権利が、あります……」



「……」



僕たちは――



黙り込んだ。





そして――



私が、小さく――



呟いた。



「もう、いいのよ」



「師匠……」



ルークが、私を見る。



「諦めないでください!」



「僕たち、まだ――」



「いいの」



私は、首を横に振る。



「もう――」



「疲れたから」





    





その日の夕方。



王宮から――



使者が、来た。



「シルヴィア様」



使者が、書類を差し出す。



「明日の予定です」



「……」



私は、力なく――



書類を、受け取る。





そこには――





『午前10時:王宮での式典』



『午後2時:ギルド本部での会議』



『午後5時:貴族院での晩餐会』



『午後8時:教会での祈祷会』





と、記されていた。



朝から晩まで――



休みなし。



「……」



私の手が、震えた。



(もう……無理)





「さらに――」



使者が、続ける。



「来週からの、予定も――」



「決定しております」



使者が、別の書類を差し出す。



そこには――



『1ヶ月分の予定表』が、記されていた。



毎日、式典。



毎日、会議。



毎日、晩餐会。



休みは、ゼロ。



「……」



私の魂が――



抜けた。





「ちょっと待ってください!」



ルークが、叫ぶ。



「これ、休みが全くないじゃないですか!」



「はい」



使者が、淡々と答える。



「シルヴィア様は、国家の象徴です」



「休みは、必要ありません」



「必要ないって……」



ルークが、怒る。



「師匠だって、人間です!」



「休みが――」



「国家の象徴に――」



使者が、冷たく言う。



「人権は、ありません」



「!」



ルークが、固まった。





「人権が、ない……?」



リザが、震える声で訊ねる。



「はい」



使者が、頷く。



「シルヴィア様は――」



「もう、個人ではありません」



「王国の所有物です」



「……」



会場が――



静まり返った。





「所有物って……」



マンディが、涙を流す。



「師匠は、物じゃありません……」



「法的には――」



使者が、書類を見せる。



「シルヴィア様は――」



「国家象徴法により――」



「王国に、帰属します」



「つまり――」



使者が、冷たく言った。



「王国の、所有物です」



「……」



私は、何も言えなかった。





そして――



小さく、呟いた。



「もう――」



「逃げられない」





    





使者が、去った後。



私は――



一人、自室にいた。



ベッドに、座る。



窓の外を、見る。



夜の王都。



無数の灯り。



そして――



街中に貼られた――



私のポスター。



「……」



私は、小さく――



呟いた。



「助けは、来ない」





扉が、ノックされる。



「師匠……」



ルークの声。



「入って」



私は、力なく答える。



扉が、開く。



ルーク、リザ、マンディ、セラが――



入ってくる。



「……」



みんな、泣いていた。





「師匠……」



リザが、震える声で言う。



「私たち――」



「何もできなくて……」



「ごめんなさい……」



「いいのよ」



私は、微笑む。



「あなたたちは、頑張ってくれたわ」



「でも……」



マンディが、涙を流す。



「師匠を、助けられなかった……」



「……」





「ねえ、みんな」



私は、窓の外を見る。



「私ね――」



「もう、疲れちゃった」



「師匠……」



「戦うの、疲れた」



私は、小さく笑う。



「だから――」



「もう、諦めるわ」



「!」



ルークが、叫ぶ。



「諦めないでください!」



「僕たち、まだ――」



「ルーク」



私は、ルークを見る。



「あなたたちは――」



「十分、頑張ってくれたわ」



「でも――」



私は、続ける。



「もう、無理なの」



「王国が――」



「私を、放さないから」



「……」





「これからは――」



私は、立ち上がる。



「ちゃんと――」



「国家の象徴として――」



「生きていくわ」



「師匠……」



リザが、泣く。



「それでいいの……?」



「いいのよ」



私は、微笑む。



「だって――」



「もう、選択肢が――」



「ないもの」





そして――



私は、また――



笑った。



「おーっほっほっほっ……」



高笑いが――



部屋に、響く。



「……」



みんなが――



黙り込む。





私は――



笑い続けた。



「おーっほっほっほっほっ……」



止まらない。



もう――



止められない。



「師匠!」



ルークが、叫ぶ。



だが――



私は、笑い続けた。



「おーっほっほっほっほっ……」





そして――



ようやく、笑いが止まる。



「……」



私は、無表情に戻る。



「明日も――」



「頑張りましょう」



そう言って――



ベッドに、横になった。



「おやすみなさい」



「……」



みんなが――



何も言えずに――



部屋を、出ていく。





一人になった。



「……」



私は、天井を見つめた。



涙が――



流れた。



「助けて……」



小さく――



呟いた。



「誰か……」



「助けて……」





だが――



その願いは――



誰にも――



届かなかった。





    





翌朝。



私は――



また、式典に向かった。



優雅に、歩く。



完璧に、微笑む。



そして――



「おーっほっほっほっ!」



高笑いを、する。



人々が、拍手する。



「素晴らしい……」



「聖女様……」



「……」



私は、笑い続けた。



止まらない。



もう――



壊れている。



だが――



誰も、気づかない。



誰も――



助けてくれない。





これが――



国家の象徴の――



現実。



「おーっほっほっほっ……」



私は――



笑い続けた。



もう――



止まらない。





――第7章第5節、完。



王国は――



師匠の静養を、認めなかった。



『国家の象徴である以上、公務は義務』



『個人的な静養は、国益を損なう』



『国家の象徴に、人権はない』



『王国の、所有物である』



師匠は――



所有物になった。



もう――



個人ではない。



休む権利も、ない。



逃げる自由も、ない。



弟子たちは――



泣いた。



だが――



何もできなかった。



師匠は――



諦めた。



「もう、疲れちゃった」



「戦うの、疲れた」



そして――



高笑いが、止まらなくなった。



「おーっほっほっほっ……」



もう――



壊れている。



だが――



誰も、気づかない。



誰も――



助けてくれない。



これが――



国家の象徴の――



現実。





――第7章、完。


最後までありがとうございました!


楽しんでいただけたら、

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それでは次回の更新をお楽しみに

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