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ただの悪役令嬢"声優"は静かに暮らしたい ― 超有能な勘違い弟子令嬢から溺愛されて逃げられません ―  作者: 荒瀬 維人
第7章:皇子の正体バレと"聖女認定"の加速

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第2節:「皇子を弟子にした聖女」として報道

(しのぶ視点)



翌朝。



私は――



新聞を見て――



絶望した。





『速報:皇子を導く聖女』



『セラフィン殿下、シルヴィア様の弟子に』



『皇族すら導く、真の聖女』



『王国、シルヴィアを国家象徴に認定』





一面に――



私の写真。



セラと並んでいる写真。



そして――



『聖女シルヴィア・ド・ノワール』



という、大きな見出し。



「……もう、嫌だ」



私は、新聞を――



テーブルに、叩きつけた。





「師匠」



リザが、入ってくる。



「おはようございます」



「……おはよう」



私は、力なく答える。



「今日の新聞、ご覧になりましたか?」



「見たわ……」



私は、ため息をつく。



「むしろ、見たくなかった……」



「素晴らしいですわね!」



リザが、目を輝かせる。



「師匠が、国家象徴に!」



「……」



私は、何も言えなかった。





「それで――」



リザが、書類を取り出す。



「今日の予定ですが――」



「待って」



私は、手を上げる。



「今日は――」



「休ませて」



「え?」



リザが、きょとんとする。



「休む、ですか?」



「ええ」



私は、頷く。



「ちょっと、疲れたから……」



「でも――」



リザが、困った様子で言う。



「今日は、王都の記者会見が……」



「記者会見!?」



私は、叫んだ。



「なんで、そんなのが……」



「だって――」



リザが、当然のように答える。



「師匠、国家象徴ですから」



「……」



私の魂が――



抜けた。





    





午後。



王宮の大ホール。



記者たちが――



100人以上集まっていた。



「……」



私は、壇上に――



立たされている。



(なんで……こんなことに……)



「それでは――」



司会が、声を上げる。



「シルヴィア様への、質疑応答を開始します」





一斉に――



手が、上がった。



「はい、そちらの方」



司会が、指名する。



「王都新聞です」



記者が、立ち上がる。



「シルヴィア様、質問です」



「……はい」



私は、優雅に答える。



(演技、演技……)



「セラフィン殿下を――」



記者が、訊ねる。



「弟子にされた、きっかけは?」



「……」



私は、少し考えて――



答えた。



「殿下の、真摯な姿勢に――」



「心を打たれました」



(本当は、皇子って知らなかっただけなんだけど……)



「素晴らしい……」



記者が、メモを取る。



「次の質問、お願いします」



司会が、別の記者を指名する。





「聖都日報です」



別の記者が、立ち上がる。



「シルヴィア様は――」



「どのようにして、皇子を――」



「導いておられるのですか?」



「……」



私は、答えに詰まった。



(導くって……普通に冒険してるだけなんだけど……)



「特別なことは、していません」



私は、優雅に答える。



「ただ、共に――」



「修行しているだけです」



「謙虚だ……」



記者が、感動した様子で呟く。



「まさに、聖女……」



「……」



私は、内心で叫んだ。



(謙虚じゃない! 本当のことを言ってるだけ!)





「次、お願いします」



司会が、また別の記者を指名する。



「王国通信です」



記者が、立ち上がる。



「シルヴィア様、最後に――」



「国民の皆様に、一言お願いします」



「……」



私は、しばらく――



考えた。



そして――



優雅に、微笑んだ。



「皆様」



私の声が――



ホールに、響く。



「私は――」



「ただの冒険者です」



「ですが――」



私は、続ける。



「皆様の期待に応えられるよう――」



「精進してまいります」





その瞬間――



ホール全体が――



拍手に包まれた。



「素晴らしい!」



「まさに、聖女の言葉!」



「……」



私は、笑顔を作り続ける。



(早く……終わって……)





    





記者会見が終わった後。



控室で――



私は、ソファに――



倒れ込んだ。



「……疲れた」



「お疲れ様でした、師匠」



リザが、お茶を差し出す。



「ありがとう……」



私は、力なくお茶を受け取る。





「師匠」



マンディが、入ってくる。



「大変です!」



「何……?」



私は、不安になる。



「外が――」



マンディが、窓を指差す。



「すごいことに……」





私は、窓の外を見た。



そして――



固まった。





王宮の前には――



数百人の人々が、集まっていた。



「シルヴィア様!」



「聖女様!」



「一目、お会いしたい!」



人々が、叫んでいる。



「……」



私は、絶句した。



(これ……どうすれば……)





「師匠」



リザが、真剣な表情で言う。



「一度、お顔を見せた方が……」



「無理……」



私は、首を横に振る。



「今日は、もう……無理……」



「分かりました」



リザが、頷く。



「では、護衛を増やして――」



「裏口から、お帰りいただきましょう」



「……うん」



私は、力なく答えた。





    





その日の夕方。



私たちは――



裏口から、クラン拠点に戻った。



「……」



私は、ぐったりしている。



「師匠、大丈夫ですか?」



ルークが、心配そうに訊ねる。



「大丈夫じゃない……」



私は、虚ろな声で答える。



「もう、何もかも……限界……」





その時――



扉がノックされた。



「失礼します」



侍従が、入ってくる。



「シルヴィア様」



「……何?」



私は、力なく訊ねる。



「王国広報部から、連絡です」



侍従が、書類を差し出す。



「……」



私は、嫌な予感がした。



「何の、連絡……?」



「はい」



侍従が、真剣に言った。



「明日から――」



「王都の各所に――」



「シルヴィア様のポスターを、掲示します」



「!」



私は、固まった。



「ポ、ポスター……!?」



「はい」



侍従が、見本を見せる。



そこには――



私の写真と――





『王国の聖女 シルヴィア・ド・ノワール』



『国家の象徴 国民の希望』





という文字が、書かれていた。



「……」



私の魂が――



完全に、抜けた。





「これを――」



侍従が、続ける。



「王都の主要な場所、100箇所に――」



「掲示します」



「100箇所……」



私は、呆然と呟く。



「はい」



侍従が、頷く。



「さらに――」



「地方都市にも、順次――」



「展開予定です」



「……」



私は、完全に――



絶望した。



(もう……外、歩けない……)





「素晴らしいですわ!」



リザが、目を輝かせる。



「師匠が、王国中に!」



「嬉しくない……」



私は、力なく呟く。



「むしろ、悲しい……」



「え?」



リザが、きょとんとする。



「何か、おっしゃいましたか?」



「……何でもないわ」



私は、ため息をついた。





    





翌朝。



私は――



外出を、諦めた。



「……」



窓の外を見る。



大通りに――



私のポスターが、貼られている。



それを見て――



人々が、集まっている。



「聖女様だ……」



「美しい……」



「……」



私は、カーテンを閉めた。



(もう……外に出られない)





「師匠」



ルークが、部屋に入ってくる。



「大丈夫ですか?」



「大丈夫じゃない……」



私は、ベッドに倒れ込む。



「もう、何もかも……嫌……」



「師匠……」



ルークが、心配そうに見ている。



「ねえ、ルーク」



私は、天井を見つめる。



「私――」



「いつになったら――」



「普通の生活に、戻れるのかしら」



「……」



ルークが、黙り込む。



「答えられない、よね」



私は、小さく笑う。



「だって――」



「もう、戻れないもの」



「……」





その時――



また、扉がノックされた。



「失礼します」



侍従が、入ってくる。



「シルヴィア様」



「……また、何?」



私は、うんざりした声で訊ねる。



「王国広報部から――」



侍従が、書類を差し出す。



「追加の連絡です」



「追加……?」



「はい」



侍従が、読み上げた。



「シルヴィア様のポスター――」



「予想以上の好評につき――」



「掲示箇所を500箇所に増やします」



「!!!」



私は、叫んだ。



「500箇所!?」



「はい」



侍従が、にこやかに答える。



「国民の皆様が――」



「もっと見たいと、おっしゃっているので」



「……」



私は、完全に――



絶望した。





「さらに――」



侍従が、続ける。



「シルヴィア様の銅像を――」



「王都広場に、建立する計画も――」



「進んでおります」



「銅像!?」



私は、悲鳴を上げた。



「いや、それは……」



「素晴らしいことですわ!」



リザが、拍手する。



「師匠が、永遠に――」



「王国に、刻まれます!」



「刻まれたくない……」



私は、小さく呟いた。



「え?」



リザが、きょとんとする。



「何か、おっしゃいましたか?」



「……何でもないわ」



私は、力なく答えた。





    





その日の夜。



私は――



一人、バルコニーに出た。



夜の王都。



無数の灯り。



そして――



街中に貼られた――



私のポスター。



「……」



私は、小さく呟いた。



「もう――」



「どこにも、逃げられない」



街中が――



私で、埋め尽くされている。



どこに行っても――



私のポスター。



どこに行っても――



私を知っている人々。



「……」



私は、夜空を見上げた。



「誰か……」



「助けて……」





だが――



その願いは――



夜空に、消えていった。





――第7章第2節、完。



翌朝の新聞。



『皇子を導く聖女』



『皇族すら導く、真の聖女』



一面に、師匠の写真。



記者会見。



100人以上の記者。



質疑応答。



すべて――



「聖女」としての師匠。



そして――



ポスター。



王都100箇所に掲示。



『王国の聖女 シルヴィア・ド・ノワール』



『国家の象徴 国民の希望』



好評につき――



500箇所に増加。



さらに――



銅像の建立計画。



師匠は――



もう、外を歩けない。



街中が――



師匠で、埋め尽くされた。



どこに行っても――



師匠のポスター。



どこに行っても――



師匠を知る人々。



もう――



逃げられない。


最後までありがとうございました!


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それでは次回の更新をお楽しみに

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