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ただの悪役令嬢"声優"は静かに暮らしたい ― 超有能な勘違い弟子令嬢から溺愛されて逃げられません ―  作者: 荒瀬 維人
第3章:過去編・声優から師匠へ(学園時代)

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第1節:悪役令嬢役専門声優

私の名前は、黒瀬しのぶ。


職業は、声優。


ただし――


悪役令嬢役専門である。


「おーっほほほほほっ! あなたたち平民が、この私に逆らうなんて、百年早いですわ!」


収録ブースの中で、私は完璧な高笑いを披露した。


「カット! OK、しのぶさん、完璧です!」


ディレクターの声が、ヘッドホンから聞こえてくる。


「ありがとうございます」


私は、深々と頭を下げた。


収録が終わり、私は休憩室に戻った。


「お疲れ様、しのぶちゃん」


先輩声優の美咲さんが、お茶を差し出してくれる。


「ありがとうございます」


私は、お茶を受け取った。


「今日も完璧だったわね。悪役令嬢役、もう十年目?」


「はい。気づけば、専門になってました」


私は、苦笑する。


「でも、しのぶちゃんの悪役令嬢は、本当に素晴らしいわよ。高笑いの間、声の抑揚、すべてが完璧」


「恐れ入ります」


私は、また頭を下げた。


悪役令嬢役専門。


それは、私の矜持だった。


主人公役は、華やかだ。


ヒロイン役は、人気が出る。


だが――


悪役令嬢役は、違う。


物語を引き立てる、影の立役者。


主人公を輝かせるために、憎まれ役を演じる。


視聴者に嫌われることで、物語を盛り上げる。


それが、悪役令嬢役の使命。


「でも、しのぶちゃん」


美咲さんが、少し心配そうに訊ねる。


「たまには、主人公役とか、やってみたくない?」


「いえ」


私は、即答した。


「私は、悪役令嬢役が好きです。この役を、極めたいんです」


「そう……」


美咲さんが、優しく微笑む。


「なら、頑張ってね」


「はい」


だが――


心の奥底では、思っていた。


静かに暮らしたい。


声優の仕事は、好きだ。


悪役令嬢役も、好きだ。


だが――


この世界は、華やかすぎる。


人間関係が、複雑すぎる。


もし引退したら――


小さな家を持って、庭で花を育てて、のんびり過ごしたい。


それが、私の夢だった。


*  *  *


その日の夜。


私は、自宅のアパートに帰った。


一人暮らし。


質素だが、清潔な部屋。


「ただいま」


誰もいない部屋に、私は呟いた。


そして――


ソファに座り、台本を開く。


明日の収録。


また、悪役令嬢役だ。


「……ふふ」


私は、小さく笑った。


そして――


台本のセリフを、声に出して読む。


「おーっほほほほほっ!」


高笑い。


何度も、何度も、繰り返す。


息の使い方。


声の抑揚。


間の取り方。


すべてを、完璧にする。


それが――


私の、生きる道だった。


*  *  *


翌日。


私は、また収録現場にいた。


「それじゃあ、しのぶさん。今日のシーンは、クライマックスです」


ディレクターが、真剣な表情で告げる。


「悪役令嬢が、主人公に敗北する直前――最後の高笑いを披露するシーンです」


「最後の高笑い……」


私は、台本を見つめた。


「はい。ここが、物語の山場です。だから――」


ディレクターが、私の目を見る。


「しのぶさんの、人生最高の高笑いを、聞かせてください」


その言葉に――


私は、息を呑んだ。


人生最高の高笑い。


それは――


声優としての、集大成。


「……分かりました」


私は、深呼吸をした。


そして――


収録ブースに入った。


――これが、私の人生を変える、最後の収録になるとは――


この時の私には、まだ知る由もなかった。

最後までありがとうございました!


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