ギフト解説 アポロ
ここでは作中に登場するギフトに関わる神話や動物について解説します。可能な限り史料などに基づき、かつ推測を交えた解説をします。
ショロトル
この神はケツアルコアトルの従者や分身として扱われ、アステカの太陽の創造神話において生贄になったり、他の誰かを生贄にしたりする、若干不憫な役回りで、太陽神に該当します。
一方でショロトルとはナワトル語で二つ一組のものを指す言葉でもあり、特に二本一緒に生えたトウモロコシを指したようです。
その結果としてショロトルは双子を、さらにそこから連想して奇形ともつながります。
マヤアステカ文明において犬、双子、奇形を一体化する発想はかなり古くからあったようで、体にハンデのある人間のことをショロメと呼んだことも無関係ではないようです。
そしてショロトルは宮廷の近習を指す言葉としても使われています。
これらが指し示すのは、神と近づけることで体にハンデを背負った人間を王侯貴族が雇う神話的な理由付けをしていたということであり、同様の例は世界中に散見します。
慈悲の表れなのか、民衆への人気取りなのか、意見の分かれるところではありますが、善行であることは間違いがないのでしょう。
犬
ペットの代表格である犬。
犬は視力こそそれほど高くないものの、優れた嗅覚、聴覚を持ち、瞬発力よりも持久力に優れたハンターです。
しかし犬という生き物の特徴はやはり社会性の高さでしょう。
群れを作り、場合によってはヒトという別種においても高い共感性を示すのは犬のほか、馬くらいだろうと言われています。
犬がいつ、どこで、どのように家畜化されたかについては様々な議論があるので特定は困難です。
余談ですが、多くの神話において犬は冥界、あるいは死後の世界に縁がある動物です。
ギリシャのケルベロス、インドのヤマの随獣、北欧のガルム、エジプトのアヌビス。
何故これほど冥界に縁のある犬が神話に登場するのか。個人的にはともに歩んできた犬という動物には墓まで共にいてほしいという願望ではないかと思っています。
犬の方はそんな人間をどう思っているのかは想像するしかありませんが。