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うちの猫は液体です  作者: 秋葉夕雲
第二章
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第17話 暴走運転

 葵の言葉に五月も思い出す顔があった。

「おばさん? ……! そうだ、スーパーで話しかけてきたあの人!」

 五月は佳穂と一緒に向かった時、自分と佳穂にまとわりついてきた女性。

「ちょっと待って? あんたもあのおばさんに会ってるの?」

「ええ。妙な人だと思ってましたが……緑の会というのはなんですか?」

「あー……あれよ。環境保護団体。わりとあれな感じの奴」

「ああ……」

 五月はげんなりした声をだした。

 環境保護そのものに異を唱えたいわけではないが、明らかにやりすぎている人々がいるのはもはや周知の事実で海外での暮らしが長かった五月にはむしろ身近なことだった。

「あのおばさんまじでくそったれよ。ぬあーにが猫ちゃんを自然にかえしましょう、よ! ああいう自分の意見を押し付けて悦に浸ってるやつら大嫌い!」

「環境保護に動物愛護まで重なっているような団体ですか。というか、アポロは知らなかったのですか?」

「ワウン。その時は忠一に話しかけていましたワン」

「ならしょうがありませんか。まさかとは思いますがギフトの使用条件を満たすために話しかけてきていたのでしょうか」

「わたしたちがオーナーだって気づいてたことはないと思うから、偶然、じゃない?」

 まことしやかにささやかれていることだが、オーナーやギフテッドはなぜか巡り合うさだめにあるらしい。

「しかし困りましたね。緑の会とやらがどこにあるのかわかりません」

「あ、それなら大丈夫よ。あいつにパンフレットもらったから本部の場所とか電話番号とか全部暗記してから捨てたわ」

「……何故わざわざ暗記してから捨てたんです?」

「もしもまた来たら抗議電話とかしてやろうと思ったのよ! でもあいつらに関わるもの残したくなかったからよ!」

「あなたはクレーマーですか……ですがそれなら……ここからどれくらいかかりますか?」

「結構遠いわね。自転車なら……一時間くらいかも」

「あまり体力を使いたくはありませんし……ここは、乗りましょうか」

「何に?」

「車です」

「誰が運転するの?」

「私ですね。皆本さんには道案内を頼みます」

「……免許は?」

「ありません」

「……運転経験は?」

「ありません」

「果てしなく不安しかないんだけど」

「このギフトがどんなものかわからない以上、時間は節約しないといけないでしょう?」

 ぴしゃりと言い切った五月に対して葵の頬に冷汗がつうっとつたった。


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