第四十九話
まず、ザキングは人間の生態を知ることにした。
そのために、人間の男と人間の女を捕らえた。
「出せ」と叫ぶ男をおとなしくさせ、頭を開いた。
脳の構造を理解するのは至極簡単だった。
故に、少し改造を加えた。何処をどう刺激すれば何処にどう作用するのか、というのを調べた。
後に、何処かを弄ってしまったせいで勃起が収まらなくなってしまったので、ついでに理性を司る所を破壊してから、女と密室に閉じ込めた。
女は最初男から逃げていたけれど、「性交渉をしないと出られない」と教えると、ぎりぎりと絶望しながら男を受け入れたようだった。
男は最終的に女を食い殺してしまった。
男を殺し、それを解剖する。
どうやら霊力を司るのは心臓らしく、怪異のように霊力器官は存在していなかった。
はらわたは怪異人間と同じ形状をしていた。
女の卵子と男の精子を組み合わせて見ると、人が出来た。
胎児であったそれを怪異人間と同じ構造に改良する。
人間の腹を模した保管装置をつくると、その胎児をその中に結び付けた。
人は簡素な作りをしている。
そこで、本当に疑問が浮かび上がって来る。
滝隼人は本当に人間なのか?
ザキングは滝隼人の中身を知りたくなった。
しかし、滝隼人は強い力を持っている。
その力の根源はエクストラム。であるのならば。
滝隼人に力を与えたエクストラムを殺せばいいのではなかろうか。
思い至る。