第四十話
怪人は隼人と勝平をよってたかって殴り、蹴る。
どうすれば良いだろう。
どうすれば良い? どうすれば良い? どうすれば良い?
隼人は考える。動けば女性は殺される。
再生せねば自分が死んでしまう。勝平も。
殴られるついでに顔を地面に向けていく。
あれをやるしかない。
守術痕による身体能力の強化……! 一瞬の速度強化。
肉体を稲妻に再構築して質量を減らす。
三、二、一……いま!
「オラァッ!」
「なにっ」
蹴りを食らわせると、怪異は女性を手放した。
「勝平、頼む!」
「任せろや!」
宙に投げ出された女性を受け止める。
そして飽きず殴りかかる怪人に蹴りを叩き込む。
「レディの目前だぜ」
脚を叩き込んだ胸板を蹴り放って、背後の怪人の顔面に蹴りを入れる。
「がっつくなよ。隼人! 大丈夫そうか!?」
「ああ!」
隼人は怪異の顔面を掴みながら大いに放電させる。
感電! 感電! 感電!
大いに感電! ものすごく感電!
「人質たァ生意気な……! テメェのその弱っちィ体躯じゃ真っ向勝負は負けちまうからなァ!」
「ぐ、うぅ! なんだそのパワーは!」
「知らんのか。気合いと根性だよ」
隼人は怪異の腹を蹴り空に突き上げると、そのまま宇宙色の稲妻でそれを捕らえた。
「これで終わりにさせて貰うぞ」
飛び出し、蹴りを叩き込む。
人呼んで。
「〝昇雷〟」
バリッ! と雷鳴が怒鳴る。
「さあ、お前の記憶を読ませろ」
怪異の記憶を読み、裏地球への怒りをたぎらせていく。
はるかに強く、はるかに聡く、はるかに深く。