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エクストラムマン2  作者: モッズコート
怪の一 牡丹ちゃんの電話
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第四話

 結局それらしい情報は得られなかった。

 二人は椅子にもたれ掛かり、ため息をついた。


「でも橋崎さんたちはいったいどこから都市伝説の噂を聞き付けたのだろう?」

「そりゃ人伝だろうな……」

「だよなあ」


 勝平は立ち上がる。部屋の隅にあった扉を開けて、中にベッドで寝かされている者を見て「こいつはまだ起きねぇし」と呟く。


「解決するって言っちゃったし、『できませんでした』は筋が通らねェな……うん、勝平。地道に噂の源流を辿ってみないか?」

「源流だぁ? そんなもん、キリがねェだろ」

「たしかにそうかもしれないけれど、でも、やるだけやってみよう。途中で有力な情報が手に入るかもしれないし」


 勝平は嬉しい様にため息をついた。

 勝平は隼人のこういうところが好きだった。

 昔から誰かのために生きることが美徳と思っているような態度で、何に対しても真っ直ぐ目を付ける男だった。

 もし自分が四十九億の人間からただ一人運命を共にする相棒を選べと言われれば、その中に隼人がいるなら、迷わず隼人に飛び付くだろうという程に。


「しょうがねぇなあ~」

「よっ、大将日本一!」

「たりめェよ。俺以外に日本一がいてたまるか」


 隼人と勝平は暗くなった冬の空に出た。

 今日はとりあえずお開きと言うことにしよう。

 もうだいぶ空も暗いし。


「じゃあ明日からさっそく調査を進めてみよう」

「そうだな。明日遅刻すんなよ。一時間目から体育だぜ」

「マジ? ヒャッホー!」


 いつまで経っても馬鹿なガキ。


 勝平は隼人が愛おしかった。相棒として。恋慕はなかったが、限りなく強い愛情があることには違いがなかった。


 それに、隼人には好意を抱いている人がいた。

 男か女かの境界はもともと容姿もあって曖昧であったが、去年になって性転換薬というとんでもない物を手に入れてから更に曖昧になった。

 隼人の頭はもうこんがらがってしまい、元々言い伝えられなかった好意を更に言えなくなってしまった。


 もし、君に愛する誰かがいるのなら。

 その心も身体もその人に愛されるため在って欲しい、と。

 隼人はそんなふうに思ってしまうのである。


「じゃね! また明日!」

「おう。また明日」

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