第三十五話
蕎麦を食い終わってから、皆で雪像展示にやってきた。
どうやら他の観光客もいるらしい。
「うお、結構クオリティすごい」
「雪の城だ! やば! 写真撮ろ!」
隼人はぱしゃぱしゃと写真を撮る。
カメラ係だぜ、と張りきって、裕次郎だけでも六枚撮った。
「なんで僕ばかり撮るんだ君……」
隼人はニッと笑う。
「なんでなにも言わないんだ……」
「いつか、思い出になると良いですね」
「そうだね……」
隼人はスッテケテーと駆け出した。
「走ると転ぶぞ」と勝平が呼びかけ、その瞬間にすっ転んだ。
「お前もうすげー恥ずかしいよ」
起き上がろうとして、ケツを押さえていると、腕を引かれる。立ち上がって見てみれば、そこには隼人の同い年ほどの少年がいる。身長は百七十程度。
「あ、どうもありがとう! 君優しいね! 俺は滝隼人! 君は?」
「会津銀次郎。よろしく滝さん」
「歳は近いだろうから呼び捨てでも良いのに」
「そうはいかねぇや。へへ、とりあえずよろしく」
銀次郎は隼人に紙切れを渡して、手の平を揺らがせながら去って行った。
「なんだ、あいつ?」
勝平は隼人に駆け寄りながら銀次郎を見る。
隼人は紙切れを覗いてみた。
疾風團連絡
この村に怪異が潜伏している恐れアリ
連絡はこちらまで 080-△△△△-○○○○
貴方様の親愛なる担当 会津銀次郎
「なんか組織として完成するのはやーい」
「怪異が潜伏している恐れアリ……ってマジかよ。お前の冬休み休むときがねぇな!」
「仕方ねぇよ、怪異出現率最多の國だもん。お前はどうする?」
「お前に付き合うよ。いつでも動けるように準備しとくか」
「いつも悪いね」
「しょうがねぇよ。俺、お前の相棒だもん。相棒が殺されたら俺やだもん」
「ありがとう、いつも」
「うるせぇバーカ」
2010年頃の電話番号って080であってます?
2004年生まれのガキなのでわからない