第十八話
「炎が燃えて鬼が笑う! 悪を倒して正になる! 俺は岩手守護者、早池峰由祐だ!」
「早池峰さん!」
「でも気軽に会えないのは、可哀相だよね」と思ったティユルシや早池峰側の雉の姿をしたエクストラム、クルアシらエクストラムが協力して、東京の地下に空間を作った。そこが守護者の拠点として使えるようにフロアもいくつか作り、部屋も複数個設けた。自動販売機や食堂もある。非戦闘用の上位存在スペシアルが食堂で飯を作る。その拠点へは、各々の「秘密基地」から行けるようになっていた。
早池峰と会った隼人はたいへん嬉しそうにした。
「へーっ! そいつが宮城の守護者ねぇ!」
早池峰の奥から、髪を金色に染めたちゃらちゃらした感じの肌の浅黒い少年が現れた。「ギャル男だ!」と隼人は驚く。
「君は!?」
「水のせせらぎ人の為! 天に轟く拳と目! 俺の命が尽きるまで戦う為のこの鋼鉄! 福島の守護者大田寂米だぜ!」
「アヒーッ! 名乗り口上だ! 強者ァッ!」
「こいつ壊れてんぞ」
「自分のほかにも守護者がいて嬉しいんだよな、隼人」
「っす」
隼人は頷く。
「てめぇは誰だい」
「宮城の守護者、滝隼人っす」
「名乗り口上は!?」
「まだないです」
「あっ、そっかぁ……ってか宮城空けてていいのかよ。めっちゃ出るんだろ。頻度聞いたときめちゃくちゃ怖かった記憶ある」
「守護者もう一人いっから」
「守護者もう一人いんの!?」
事情を説明する。
「へー、なんか都合良すぎてキモ」
「なんでそんな事言うの?」
「っていうかお前その服なに」
「戦闘服。俺エクストラムマンって名乗って戦ってるから……マスクで顔隠しながら」
「へー、俺もそういうのやりてー。エクストラムマン名乗っていい?」
「別にただの名前だから名乗りたきゃ名乗ればいいけど」
「思い入れとかないんだ」
「名前は別に拳銃じゃねぇし」
少しぞっとするような顔で、隼人は言った。
寂米はマスクを受け取りながら被ってみる。
「あっ、めっちゃいいにおいする」
「去年から気をつけてる。めっちゃ臭くなったことあって」
(※エクストラムマン「深夜放送と感情X」内第百十七話にて)
「こういうの汗かくしな」
「そっちの服もやばそう」
「こっちの服も気使ってる」
「たいへんそう~」