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エクストラムマン2  作者: モッズコート
怪の一 牡丹ちゃんの電話
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第十二話

 善太郎は隼人のスマートフォンに入っていた写真が目に入った。プライバシーの侵害ではあるが、奈津子から見せられ、知ってしまった。


「隼人はこの顔の正体について悩んで居るようでした。貴方はこの顔に心当たりはありませんか」

「この顔は」


 見覚えがある。背筋がぞくっとした。

 七年前に、この顔をした女子生徒の葬式に出たのだ。


「この生徒の名前は、島田(しまだ)牡丹(ぼたん)と言います」

「島田、牡丹」

「ええ、憶えています。当時の卒業アルバムにも載っていますが、この生徒はもう亡くなっています」

「ということは、この写真の少女はやはり幽霊? それで、この写真は心霊写真ということになりますか」

「う、ううむ……私は、いままで幽霊とか、そういうオカルト話に首を突っ込む機会がありませんでした。なので、確証は持てませんが、滝くんがこれをどういう見解で持っていたのかが気になるところであります」

「あの子は、『もしかしたら幽霊かもしれない』とよく呟いていました。あの子はそういうものを信じられるような経験を数えきれない程に味わっていました。なので、あの子が幽霊かも知らないと言うのなら、恐らくは、幽霊なのです」


 奈津子は語る。


「この写真、貴方にあげます。もし、叶うことなら、あの子が目覚めるまでに、この事件を解決してあげて」

「無論、そのつもりであります」


 こうして「牡丹ちゃんの電話」という依頼は、隼人から善太郎へと移ることになる。


 奈津子が病室へ行ってしばらくすると、勝平がやってきた。その後ろには中性的な少年と少年的な少女が居る。


「石田くん」

「校長……あいつは!?」

「すぐそこの病室だ。いまは、安静にしている。病室には滝くんのお母さんが来ているよ。後ろのふたりは?」

「……あいつの幼馴染です。小野田絢といいます」


 少年的な少女が頭を下げた。


「夜風光星です。あいつの従兄弟です」


 中性的な少年が頭を下げた。


 小野田絢という少女は、おそらく隼人に好意を抱いているのだろう。急きたいというような顔をしていたから、「行くといいさ」と促した。


 それから善太郎は、学校に戻り、当時のアルバムを引っ張り出して、写真と見比べた。やはり、面は島田牡丹で間違いなさそうだ。となると心霊写真なのだろう。


「相手が幽霊じゃ、説教のひとつもしてやれない……!」


 嘆いてから思い至る。

 何の面識もなさそうな梅田進は、どうして「牡丹ちゃんの電話」という、嘘の都市伝説を流布しようとしたのか。

 突撃してみる事にした。

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