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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

囚われの王子様

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

やや不思議な終わりです。

「あぁ……囚われの王子様を救いにいかないと……」

彼女は渦を巻く、狂った眼のままにうわ言の様にボヤいた。片手には屈強な男が扱いそうな大剣。既に何人か斬り殺した様で、冷たい金属質の輝きはそこには無かった。あるのは赤く煌めく、鮮血のみ。

俺は狂戦士と化した彼女を制御する為にこの場にいる。俺をその役割に任命した上の輩は、ただ一つ『彼女の傍にいるだけでいい』と言った。それ以外の役割なんざ齎されていない。

「もう少し。もう少し……!! 王子様、私が腕に抱え、片時も離す事無く連れ帰ってあげる」

声は甘く、少女の様な無邪気さが伴っている。

彼女にとっては『王子を救いに来た』という指名だけを胸に秘めて、ただ道を歩いているのだろう。茨の蔦を掻き分けて、邪魔な茨を断絶し、ただ目的の為だけに。

幾分歩いた後、彼女は重厚な扉の前で立ち止まった。大剣を落として、両手で扉を開ける。軋んだ音と共に、少しばかり隙間が開いて、その隙間に体をねじ込む。俺もその後に続いて、体を滑り込ませた。

彼女のお目当ての王子様はきちんとそこに居て、椅子にくったりと凭れていた。目は大きく見開かれ、口を開けていた。彼女の騒がしい足音にも気を止めず、ただ天を仰ぐ。

「……!!」

「王子様、王子様、迎えに来ましたよ」

彼女はそのただの肉塊と化した、王子だった物を胸に抱き締めて、聖母のような笑顔を浮かべた。だが俺が驚いたのはそこではない。その死体と化した王子の顔が、俺と瓜二つであった事。数分の狂いもない、精巧な俺の顔であった事。あぁ……何故……意識が……遠のいていく。

次に目を覚ました時、連れの彼女と対面を果たしていた。彼女は精巧な顏を、ただ恍惚にとろかして、そっと俺の顔を撫でる。

「帰ったら手当をしましょうね」


囚われの王子様を救いに、私はこの城に一人で此処に来た。沢山の兵隊が、私と王子様の逢瀬を邪魔しにかかったけれども、全部、全部全部全部、薙ぎ払う。返り血を浴びる。血なまぐさい、気持ち悪い、ええでもそれ以上に、王子様に会える喜びの方が勝っていた。

漸く会えた王子様は眠り姫の様に、くったりとしていた。目は大きく見開かれて、腹から血を流している。

えぇでも、そんなの関係ないわ。御伽噺の終わりはハッピーエンドと決まっているもの。さぁ目を覚まして?

私の願いが届いたのか、王子は一度瞬きをして、私と暫く見つめ合った。

「帰ったら手当をしましょうね」

そもそもこの元ネタ、結構シビアな卒業かかった話。


担当の先生と喧嘩して、卒業かかっていたんですよ。

なんとしてでも卒論書かなきゃいけない。

書かなきゃ貰えない卒業証書。書けばなんとかなる卒業証書。

そこで見た強烈な幻覚。

『あぁ王子を救いに行かないと……。あの人は囚われていて動けないから……。私が道を作って(書いて)迎えに行かないと……』

ちなみにリアルで言ってました。

「○○の精神がヤバい」 「そだねー。動けないもんねー。」

心配されました。ノってもくれました。周り優しい。


此処まではリアルの話。



解釈は二つほど。彼の生死が分岐点ですね。


一つは生きてた話。

彼女が王子のことしか見てないせいで、彼の事に気がついてない。

付き添いなのは、彼の魂を死んだ王子に移す為。

最終的に王子に移されて、王子としての生を生きる。


二つ目は死んでた話。

霊媒師から彼女に着いていく様に言われ、訪れるルート。

死んだままの魂が死体という器を見つけて、すっぽり嵌る話。


幸せかどうかは当人のみぞ知る話ですね。

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