【9冊目】 『リバーズ・エッジ』 岡崎京子
前回の更新からかなり間が空いてしまった……<(_ _;)>
少女漫画のような糖分たっぷりのきらきら青春を送ってきた方々って、どのくらいいるのでしょうね?
冬野ですか? そうですね……(遠い目)。
いや、青春と呼ばれる時期は基本的に、人生においては痛い季節なはずなのです。きらきらに見えても黒歴史を量産する季節です。そうに決まっています!
ということを前提としますね(え?)。
その前提に異論はあるかもしれませんが、今回ご紹介したいのはこちらの作品です。
ご存じの方もたくさんいらっしゃると思います。基本的にメジャーなものは紹介しないと決めていたのですが、この作品ははずしたくない……。
★『リバーズ・エッジ』 岡崎京子
簡単に作品紹介です。
女子高生ハルナは、ハルナのカレシにイジメられていた男子高生ヤマダをかばったことから、ヤマダに秘密を打ち明けられます。それはヤマダが学校の裏の河川敷で見つけた白骨死体。
ハルナとヤマダ、芸能活動をしている後輩こずえの三人で秘密を共有していく中で、彼らや彼らを取り巻く周囲の人物たちのそれぞれの想いが次第に交錯して──
実写化で映画にもなりました。
主演は二階堂ふみさんと、吉沢亮さんです。
これを書くにあたって公式サイトを見てきました。
びっくり! 見た目、雰囲気そのままの二人です! (映画は未視聴です。なので、ヴィジュアルだけのことです)
タイトルの意味が解らずにググりました。
川のほとり、川の端、という意味だそうです(『River's Edge』というタイトルの有名なアメリカ映画があるようです。もしかしたら、それも意識しているのかも? 興味のある方はググってみてください)。
高校生の青春ストーリーなのですが……ただの青春ものじゃない。とってもとっても心をえぐられる、痛すぎる青春ストーリ―です。
それぞれに問題を抱えている登場人物たち。内容は……かなり過激です。イジメ、援交、セクシャリティ、性、クスリ、タバコ、依存、摂食障害、妊娠などなど。今でもあることですが、当時は社会問題として、大きく取り上げられていたように記憶します。
彼らはどこにでもいるような高校生たち。でも、たぶん、どこにもいない(と、願いたい)高校生たちです。
若さの傲慢さ。不安、エゴ、欲望と満たされない飢えゆえの残酷さ。それらを抱えた闇を、シャープな感覚で描いていきます。
人間であれば誰しもが持つ汚い部分は、目を逸らしても存在する闇です。もちろん光があるから闇は浮き上がる。『普通(もしくは正常)』と云われる人間は、本来はそのバランスが平行なのだと思います。ですが、そのバランスが崩されたときには……。
登場人物の誰にも共感はできない……でも、できる。その闇は理解できてしまうのです。
もし文章で描かれていたのなら、芥川賞を受賞したのでは?(冬野の勝手な見解)と、思うくらいに文学性(芸術性)が高い作品だと思っています。プロローグとエピローグの数行の文章だけでも、めちゃくちゃに刺さりました。
この作品の初版は1994年に発表されています。30年前……。うそ? そんな前?(こんなんばっかり(O_O;) ええぇぇぇぇ……)
【追記】 10/11/2024
いただいた感想に返信をしていて気がつきました。本文に書き忘れたことの追記です。
『リバーズ・エッジ』。漫画なので絵柄の好みもあると思いますし、内容もかなりセンシティブ。映画はR15+になっていました。物語の中で起こることは……痛いです。それでも機会があれば、手にとられることをオススメしたいのですよね。
精神的な成熟は個人差がありますが……うーん……高校生以上の皆さまにオススメです……かね。難しいな……。
そういえば、映画や成人向け漫画にはR指定がありますが、純文学やTLコミックなどには……ない? 電子書籍では制限をしているサイトはありますよね。
恒例です。
毎回書きます。
冬野の趣味嗜好に沿ったおすすめです。肌に合わなくても、苦情は一切お断りいたします。
岡崎京子さんの作品はほぼ読んでいます。
なんというか……自分の身の上には絶対に起きない(起こさない)、でも、刺さるのですよね。
クラスのコが学校に持ってきた『ジオラマボーイパノラマガール』が出逢いでした。
そして! ずっと予告している児童書! 書きたいのですが、まだ再読できておらず……<(_ _;)> のんびりお付き合いくださると嬉しいです。