【6冊目】 『エクソシストとの対話』 島村菜津
本文中に、怖がらせるために意図的に書いたものはありません。ですが、怖さの基準はそれぞれです。
こういった内容が苦手な方は、ご注意ください。
ホラー映画・オカルト映画はお好きですか?
冬野は怖がりですが、それ系、大好きです。
なんやかんやで有名どころはそれなりに観ています。
ですが、未だに怖くて、観ることのできない映画があります。
『ザ・ライト』(2011年 アメリカ)
ご覧になった方もいらっしゃるかと思います。
この作品にはエクソシスト(悪魔祓い師)が登場します。
実はここだけの話、夜中に観たときにですね、わりと冒頭のシーンでゾゾゾゾときてしまいまして。本当になんでもない極普通のシーンなのですが。
そこでリタイアです……。
いろいろなレビューでは、怖さはそれほどないとも書かれていたのですが……。
名優アンソニー・ホプキンスさんの迫真の演技のせいですね。きっと。
では、本題に。†††
★『エクソシストとの対話』 島村菜津
第5回21世紀国際ノンフィクション大賞で優秀作を受賞した作品です。
イタリアのヴァティカンのカトリック司教に任命される聖職、公式エクソシスト(悪魔祓い師)。
実在したイタリアの公式エクソシストに焦点を当て、関係者のインタビューなどを交えて構成されています。
著者自身が悪魔祓い(エクソシズム)の儀式に立ち会い、公式エクソシスト、心理学者、社会学者などを訪ねて話を聞き、エクソシズムとはなにか? その本質に迫ったノンフィクションです。
『ザ・ライト』を怖くて観ることができないといいながら、なぜこの本を? と、疑問に思われましたか?
実は『エクソシストとの対話』は、かなり前に読んでいたのです。
なぜ、読んだのかといえば。
かの有名な映画『エクソシスト』を観て、エクソシストという職業が実際にあるということを知ったからでした。
エクソシスト(もしくはエクソシズム)とはなにか?
どういったものなのか?
本当に映画のようなことが起こるのか?(←え?)
そんな疑問をもっていたときに出逢ったのが、『エクソシストとの対話』です。
いつものごとく好奇心から手を出しました。
本文は若干、小説風の叙情的な記述になっている箇所があったり、小難しい用語がときたま散らばっていたりします。
ポストモダニズムがどうの、クロスカルチャーがどうのということは……冬野の頭では、ちょっとなに言ってるのかわかんないです(←富澤たけしさん風に)。
時系列も少しややこしいかも?(冬野の個人的主観です)。
しかし、それを補うほどに……読み応えがあります。
好奇心と知識と雰囲気を、十分に満たしてくれるものです。
西洋の『悪魔憑き』。
日本でいうところの『狐憑き』『犬神憑き』のようなものでしょうか?
それをエクソシストがエクソシズムの儀式を行い、祓う(もしくは癒す)のです。
著者は神秘的な超常現象を肯定してはいません。
だからといって、頑なに否定をするわけでもありません。
あくまでも中立的な立ち位置で、エクソシストとエクソシズムを考察しています。
読んだら怖くなる?
まあ、内容の性質上、独特の雰囲気はあります。
儀式中の描写は、ゾクリとくるものがあるかもしれません。ですが、ホラー小説ではないので、怖がらせる意図はないものです。
読後感は怖いというよりは、なるほど~。と。
『悪魔憑き』。
そういったことがあるか、ないかは解りません。
だけど。
人間の心とは、なんと深淵なものなのか。そう、考えさせられました。
興味をもたれた方や、これからゴシック・ホラーなどを執筆しようかと思われている方は……一度、手に取られてみてはいかがですか?
新たな未知なる世界の扉が開かれる……かも?
恒例です!
毎回書きます。
今回は特に完全に、冬野の趣味嗜好に沿ったおすすめなので、肌に合わなくても苦情は一切お断りいたします。笑
『薔薇の名前』をずっと読みたいと思っていたのですが、読みたいと思っていたことさえ、忘れていました。(←え?)
今回、『エクソシストとの対話』を再読して、思い出すことができてよかったです。(人´∀`)♪
図書館に行ったら借りてこよっと。
初版は1999年。24年前です。