第4話 初めてのクエスト(?)
昼食はパンケーキです。「これくらいなら私でも作れるわ」と言って雅弥がキッチンへ。
その間に俺は洗濯物を干す。3人の下着類が当然あるわけだが、高校生に入った頃に確認すると、「私達は気にしない」と言ってきた。しかも「むしろ"使ってくれる"と嬉しい」とも。姉さんまで言ってきたのが意味わからないが、「使う」については知らないふりをしておいた。女性が3人いる環境では、"出来ない"しな。
「ねえ、使ったことある?」
「ねぇよ!!」
「何を、とは言ってないけどね」
「手に持ったタイミングで言われたら気づくわ!!」
「溜まらないの?毎日真冬姉と永遠姉に挟まれて」
「溜まったら家に帰ってしてくるよ……」
「ここでしてもいいのよ?男性の事情くらい、私達も理解してるから」
鍵をかけても、3人とも鍵を持ってるんですよ?この家のどこでするんだよ!!あ、トイレか?音ってどうなのかな。多分大丈夫のはずだが、ここでする勇気はない!!そもそも頻度が少ないから大丈夫なんだ。元々3人で過ごすことが多い故の慣れだな。
「私達は永遠姉が止めてくれるけど、夏芽達はどうしてると思う?」
「さあ?」
「興味無い?」
「心の準備がどうとか言ってたからな、まだだろ」
半同棲みたいなことをしてるのは、大聖と夏芽も一緒。それぞれの家で寝ることはほぼ無いらしく、軽い喧嘩をした際だけ。片方が片方の家に泊まりに行く生活。いいね、気持ちをストレートに伝えられて。
「食べましょ」
「ああ、ありがとう」
生焼けの箇所もあるが、これくらいじゃ腹を壊さないので大丈夫だ。雅弥は微妙な顔をしているが、そのまま食い続ける。
「大丈夫なの?」
「少しくらい生焼けでも害はないよ」
「次はもう少し焼くから」
「次は俺が焼くよ」
「でも」
「色加減を覚えなさい」
俺と違って頭は良いから、1度見せれば覚えるはずだ。
食い終わったら自室へ……行こうとしたけど、姉さんと真冬さんの寝室へ連れて行かれた。添い寝練習とのこと。補足だが、姉さんと真冬さんは同じベッドで寝ることが多い。それくらい仲が良い。
「手も握っていい?」
「え?」
「ダメなの?」
「ど、どうぞ」
こいつ……気づいてるくせに!!なんだ!?どういう意図なんだ!?
まあいい、ログインします。
「来たか」
「おっすおっす。ちゃっちゃと【調合】するから、薬草寄越せ」
「毒草って使うか?」
「暗殺に使う」
「「なら、私の分も作って」」
「これがホントのどくおん」
「「何?」」
「ごめんなさい」
何に使われるのでしょうか。
何に使われるのか分からないが、状態異常回復ポーションも出来たので良しとしよう。
試しに毒ポーション、麻痺ポーション、眠気ポーション、石化ポーションを飲んだりかけたり。
《【セルフ試験体】を取得しました》
「何してんだ」
『耐性取得できるかなって』
「「「あー」」」
『自然治癒させるから何もしないでね』
効果時間は初級Lv.10なので3分。Lv.35の10分間が最大。少しの間3人に待ってもらうが、かなり不快感が強い。
「そろそろね」
《【毒耐性】を取得しました》
《【麻痺耐性】を取得しました》
《【眠気耐性】を取得しました》
《【石化耐性】を取得しました》
「取得できたー!」
「俺にもデバフポーションくれ!回復魔法で回復しても取得できるのか試すから」
全部使ったのを確認すると、『浄化』をかける。
「あ、ダメだ」
「自然治癒が条件なのね」
「ベータテストの時はどうだったんだ?」
「【調合】や【錬金】が見つからなくてな……。毒草の使い道が分からなかったんだ。そのまま食って回復しても取得出来なくて」
「状態異常を使ってくる敵のエリアまでは誰も進めなくてね〜」
今回は運だけで生きてる男が現れた、と。不快感があるので、ダメだったら回復出来るようにスタンバイ。
「「「せーの」」」
「俺もそれやりたかった」
『回復要員だから仕方ないわよ』
『ハルは麻痺ポーションだけ使ってもいいよ?』
『設定ONにしておけ!脱がそうとしてくるぞ!』
「ご経験がおアリか?」
『別ゲーで』
「ミカンは安全でしょ」
『た、多分な』
ミカン:上半身だけだからね?脚も触るけど。
ハル:俺のこと女だと思ってる?
ミカン:顔可愛いし、声高いし、背低いし、細いし、一緒に暮らしてる女性陣に馴染み過ぎだし、女装が妙に似合うし、顔可愛いし。
アキナ:私は確認したことがないから、もしかしたら女の子かもしれないわ。次のログアウトで脱いでみて。
テセウス:俺が見たことあるから男だぞ!!やめてやれ!
ハル:セクハラ反対!!
この2人はガチで言ってんのか冗談なのかが分かりにくい。妙に真剣な表情で言うからな。3人の回復と取得を確認したら、『ヒール』をかけた。
「回復量多くね?Lvいくつ?」
「見ればいいだろ。【聖魔法Lv.13】」
「「「たっか」」」
「攻撃と回復で使用回数多いんだよ」
「【隠蔽】のLvを【鑑定】が上回ってるからって、全部は見れないんだよ?」
【殲滅者】の効果は、10体倒す毎に経験値ボーナス。だからだろうね〜。経験値ボーナスは行動経験値にも入るからね〜。
街に出て、真っ直ぐ門へ行こうとしたら3人が冒険者ギルドへ。
「納品か」
「それはさっきしただろ……。依頼だよ」
「ドラゴン!ドラゴン狩りに行こう!」
「何にする〜?」
「オークジェネラルとか行くか?」
「そうね……。ハイオークで腕試ししたら、ジェネラルに行きましょ」
スルーされた。ドラゴンはソロで狩ることにします。
明日の朝は崖の下降りますわ。【落下耐性】のLvもしたいし!!
「ほら行くよ〜」
「ふん、我は孤高の戦士。それ故、群れはせぬ。あっ!待って!」
スルーしてギルドを出やがった。慌てて追いかけました。ほ、翻弄されてるのか!?
「なあ〜、なんで無視するの?」
「「「……」」」
話しかけても無視される。チャットを送るも無視される。3人は前を向いている。少し止まってログアウトし、手を離してリビングのソファに寝転がりログイン。ちょっとした抵抗である。
仕方ないのでフードを深く被って、杖を両手で持ち、置いてかれないようについていく。
ふむ?騒がしくし過ぎたかな?俺も黙り込むことにした。俺が大人しくなったのを確認すると、3人は雑談を始めた。
腹いせに回復を遅くすると……。
「チッ」
「ッ……ごめん……」
怒ってらっしゃる?演技か?分からん。分からんけど、俺の発言は普段のノリだったはず。
ハル:パーティ抜けます。集中出来ないから。
返事を待たずに抜けて、森の奥へ走り出した。
ミカン:悪ノリだから戻ってきて!
テセウス:悪かったよ。ビクビクしてるのが面白くてな。
アキナ:可愛いからって長くやり過ぎたわ。
今度は僕が無視する番です。シカト貫いて【強奪】を使いながら魔物を狩る。ハイオークが柔らかいね。杖刀の強さがよくわかる。
ハイオークを狩り続け、ゴブ将軍や犬頭将軍を乱獲すると、『銀』『魔鋼』が大量に手に入った。キラーオークというジェネラルのユニーク個体も居たが、武器を奪った上で倒した。
「所詮は殺戮豚だな!!」
『人斬り包丁』というユニークウェポン。効果は人型に対して中ダメージ。当然、プレイヤーも対象となる。
しっかし、この程度の敵を相手に、まだパーティだと苦戦するのか?
オークジェネラルも出てきたが、やはり弱い。【無魔法】『身体強化』、【身体強化】、【STR上昇】付与だから当たり前なのだが。
ハル:オークジェネラルも、キラーオークも弱い!
テセウス:俺達も狩ってて思ったぞ。
ミカン:キラーオーク!?レアドロは!?
ハル:『人斬り包丁』っていうユニークと、『闇の結晶』。
アキナ:『闇の結晶』を売るか、キラーオーク乱獲に付き合うか選んで。
ハル:俺がどれだけの間、1人で彷徨いてたと思う!?とっくに人数分確保したわ!!そろそろ基礎Lvも100行きます。
テセウス:俺達は次で100だぞ。
3時間近くソロで森に居た。【付与術】のステータス上昇スキル付与が強すぎて、Lv高い敵でも苦戦しない。そしてキラーオークなどのジェネラル級は経験値が美味い。現段階の最高効率と言えるだろう。
ちなみに、攻略組は更に上を行く。ジェネラル乱獲中に、Lv.100到達のワールドアナウンスが流れ、『プレイヤーギルド』が解放された。
掲示板を覗くと、『ハルくんファンクラブ』とか言う訳分からんスレがあった。ver.2だし、話しすぎだ。『ハルくん』というプレイヤーの話かとも思ったが、『アキナ』の名前があったから……。
まあそんなことはどうでもいい、攻略組のスレだ。ギルド設立条件は、"プレイヤー数最低5"、"ギルド設立権"というクエスト報酬、"ホーム"。面倒くさ。
ミカン:レミリアとナギがギルドに入れてってさ。
テセウス:誰だ?
ハル:工藤と巫じゃないのか?
ミカン:正解!2人は、別のパーティにいるから一緒にプレイするのはイベントのときだけだって〜。
アキナ:別パーティの2人も勧誘できたら入れるわ。女ばかりでテセウスは居心地悪いかもしれないけどね。
ハル:俺は!?
テセウス:ハルが居るだろ!!
ほぼ同時に俺とテセウスが叫んだ。
あれ〜、もしかしてメンバー全員がLv.100以上という条件ですか〜?
ハル:Lv.100になったら帰るね。
ミカン:SP振った?
ハル:うん。
ミカン:これは嘘の反応だね!!
ハル:なんで分かるんだよ……。怖いって……。
Lv.100になったら振りますよ〜。
今更だけど、まだ2日目なんだよな。テセウス達はベータテスターでアイテム引き継いでるけど、俺も100に到達か〜!!攻略組ではないんだけどな〜!!
アキナ:ハル、なんでリビングに居るの?手を繋いでたのに。
ハル:無視された腹いせに。
アキナ:今度から首輪と手錠を付けましょうか♪
ハル:ごめん!!もう、腹いせでもこういうことしないから!
「なぜキレる?」
【暗殺術】がLv.60になった。んー……もう少し上げるか。【隠蔽】&【暗殺術】で魔物を狩っていると、格好の的を発見した。【隠蔽】をかけ直して接近し、後ろから首を斬った。仲間に気づかれる前に【隠蔽】をかけて木の上へ。
「なんだ!?」
「ユニークモンスターか!?周囲を警戒しろ!」
「こんなところで死に戻れねぇぞ!?」
PKの皆様です。犯罪者プレイヤーに対しては、攻撃し放題。ただし、犯罪者プレイヤーが街に死に戻ると所持金の半分を失う。犯罪者プレイヤーに殺されると、こちらが半分奪われる。【強奪】を持っていればアイテムも奪われる。
「アハハっ!人間だ〜!今日の夕食は豪華だよ!」
「「「ッ!?」」」
《【演技】を取得しました》
声を高くして発してみた。ビビっておるビビっておる。1人が後ろを見た瞬間、声も出させずに正面から首を斬り飛ばした。【隠蔽】をかけてと。
「お〜いし〜!!アナタ達も美味しいの〜?」
「「美味くない!」」
「あー!隠してるね〜?いいもーん!"3人とも"食べてあげるから♡」
《【気配察知】を取得しました》
奥に隠れてる女がいる。PKの囲いかな?犯罪者プレイヤーなので容赦なく、先に殺した。『キラーオークの仮面』を付けて、『オークの血』をたっぷり塗った初期装備、『人斬り包丁』で一瞬だけ目の前に現れた。
《【偽装】を取得しました》
「キラー系か!!」
「アハハっ!バレちゃった!」
「声の通りの少女か……」
誰が少女だ!!160はある!!俺を少女呼ばわりした男を殺し、残り1人。
「降参する〜?しな〜い?私ね!キラキラした物が好きなの!ちょーだい!」
「死に戻るよりはマシか……」
所持していた宝石類や鉱石、アクセサリーなどを全部出したPK。目の前を通り過ぎて全回収。
「全然足りない!!もういい!アナタから……"奪ってあげる"♡」
「や、やめろおおおおおお!!!」
迫真な叫び声やめろ。下半身を切断して防具を奪い、右手を切断して剣を奪う。最後に首を斬ってサヨナラだ。
《【解体】を取得しました》
《『暗殺者』を取得しました》
《【狂人】を取得しました》
ふぅ……また人を……殺しちまったな……。Lv.100になったので帰ります。道中はスキルLv上げ。
名前:ハル
種族:エルフ
職業:治癒剣士
暗殺者
調合士
基礎Lv.100
HP:2,370/2,370
MP:7,230/7,230
基礎ステータス
STR 138
VIT 28
DEF 109
INT 220
DEX 70
AGI 170
LUK 100
SP 0
《称号》
【特別クエストの先駆者】【殲滅者】【狂気】
【付与の先駆者】【セルフ試験体】【狂人】
《基礎スキル》
【鑑定Lv.174】【植物鑑定Lv.138】
【地図】【アイテムボックス】【採取Lv.86】
【強奪Lv.124】【強奪防止Lv.89】
【隠蔽Lv.148】【挑発Lv.101】
【自由落下Lv.1】【解体Lv.1】
【演技Lv.19】【気配察知Lv.48】【偽装Lv.27】
【MP上昇Lv.102】【INT上昇Lv.113】
【STR上昇Lv.128】【DEF上昇Lv.79】
【AGI上昇Lv.130】
《職業スキル》
【魔法術Lv.76】【治癒術Lv.128】【剣術Lv.111】
【調合Lv.52】【付与術Lv.79】【暗殺術Lv.66】
《戦闘スキル》
【聖魔法Lv.35】【氷水魔法Lv.1】
【大風魔法Lv.1】
【無魔法Lv.122】【炎魔法Lv.1】
【身体強化Lv.122】【道連れ】【無詠唱Lv.51】
《耐性スキル》
【毒耐性Lv.1】【麻痺耐性Lv.1】【眠気耐性Lv.1】
【石化耐性Lv.1】【落下耐性Lv.78】【九死に一生】
宿に戻った。
R15とR18の線引きが分かりません。
直接的な描写は控えていきます。
これはテンプレ文章です。
あらすじでも書いた通り、無意識に性的描写が入ってしまい警告された場合は、ノクターンに移動します。