第0話 イカれた幼馴染達と姉
VRゲームモノは初めて書きます!
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俺は東の高校生探偵……ではなく、一般高校生の時原 久遠。しがないパンピーさ。
「なあ久遠!普段の放課後は時間あるか?」
「なんだ?唐突に」
「そろそろ発売される新作VRMMOだよ!一緒にやろうぜ!」
「あー、雅弥に誘われて予約した」
「なんっで、俺は誘われなかったんだ!?同じ幼馴染だろ!?」
「さあ?いつもの遊びだと思うが……。本当に忘れてる可能性も微レ存」
いちいち声のでかいこの男、名前は桐生 大聖。身長184cm、体重68kg、イケメン、運動神経抜群。学力はイマイチだが、俺達が通う学校の誰もが認めるモテ男。運動神経は良いのだが、この男の趣味は『家でゲームすること!』だそうだ。
話に出ていた雅弥という女性、名前は西園寺 雅弥。名前から金持ち臭がするが、西園寺財閥のご令嬢なので本物だ。日本のゲーム会社のトップに位置する。幼馴染にこういう者が居れば、ゲームを貰えるラノベがある。現実は甘くないので、自分で買う。雅弥も高身長、容姿端麗、頭脳明晰、運動神経ゴミカス。
もう1人幼馴染が居るのだが、そいつも優れた部分がある。そいつと大聖と雅弥と俺を入れて、パンピーと愉快な幼馴染達の完成だ。
「やっほ!久遠!大聖!」
「おー、"夏芽"か!おはよう。今お前の話を……してなかったかもしれないが、してたんだ」
「してないな」
「久遠は後でシメるとして、おはよ!雅弥は?」
「「知らん」」
「え〜?」
後で紹介しようと思ったが、自分から来てくれた。
あの程度の嘘で、俺をシメるとか物騒なことを言い出すこの女性、名前は水無月 夏芽。小柄で元気が良く、運動神経抜群。剣道日本一の成績を持つ。剣道部は頭が良いという話をよく聞くが、こいつは学年の下の方。大聖同様、ビリ"では"ない。下から数えた方が早いのは確かだが。
なぜこのメンバーに俺が入っているのか、学年中の者が気になっているだろう……。実は俺は異世界からやってきた勇者……なわけはなく、本当にただの一般人。
"俺は"一般人だが、姉は違う。俺の姉、時原 永遠は雅弥の姉の大親友にして、秘書。俺と姉さんの歳も離れているが、雅弥とお姉さんの歳も離れている。雅弥のお姉さんが、西園寺財閥の現社長だ。
中学の頃に両親を交通事故で亡くしてからは、姉さんと西園寺家が俺を育ててくれた。雅弥のご両親と俺の両親も親友同士なので、雅弥は赤ん坊の頃からの付き合いだ。今は姉さんと2人暮らし。
他2人の両親も西園寺財閥のゲーム会社『アステル』にお勤めで、上層部なので自然と子供同士の付き合いも増えた。
「おい!おい久遠!聞いてるのか?」
「聞いてなかった。なんだ?」
「ずっと呼んでたのに〜。雅弥が放課後、雅弥の家に来ないかってさ」
「何するんだ。どうせ強制なんだから聞かなきゃいいのに」
「久遠のゲームスタイルを聞きたいんだってさ。このメンバーでパーティを組むから、構成の確認もね」
「俺はソロで……」
「「それはダメ(だ)!!」」
まあ冗談だ。雅弥に誘われて始めるのだから、このメンバーで遊ぶのだろうとは思っていた。そろそろ夏休みだし、全員インドア派だし。
「私は剣士から大剣士!」
「「だろうな。身長は高く出来ないからな?」」
「知ってるよ!失礼過ぎ!2人はどうするの?」
「俺は剣士から盾使いだ!タンクをやる!」
「大盾ルートか。俺は治癒士から剣士になって聖法剣士だな〜」
「「おー、ソロっぽい」」
3人が居ない時のことを考えると、ソロとパーティが出来る構成にすべきだろうに。3人が居なかったら進めない、なんてことはない。
「運動神経ゴミカス女は魔法士だろうな〜」
「でも、それはリアルの話だぜ?ゲーム内ならどうなることやら」
「現実で出来ない動きをあいつが出来るはずがない」
「それもそうだな」
「"なるほどね、普段は私のことを「運動神経ゴミカス女」と呼んでいるのね"」
「「み、雅弥様!お勤めご苦労様です!!」」
魔王様のご登場だ。俺も大聖達のことを言えるほど頭が良くない。中の上くらいなので、俺達3人はテスト前になると雅弥に教えを乞う。この御方を怒らせるのは非常にマズイ。
「久遠が言い出したんだ!俺は、その、えっと……」
「嘘をつくな!」
「夏芽、本当は?」
「久遠が言い出してたよ!」
「なるほどね。久遠はお泊まり確定ね。大聖からは最初に出たレアアイテムを貰うわ」
「俺はそれで許して貰えるなら……。久遠……」
「今日は……ピアノのお稽古が……」
「永遠姉に聞く?」
「嘘です!やめてください!」
「お泊まりするだけなら罰ではない」と、普通の人ならこう思うだろう。雅弥のお姉さん、西園寺 真冬さんは重度の"ショタコン"。俺はショタではない……と思うのだが、真冬さんからの好き好きアピールが止まらない。風呂を一緒に入ろうとする程にな。
俺の容姿は身長162cmと小柄。雅弥よりも小さいので、俺がなにかする度に頭を撫でて揶揄ってくる。顔は……悪くはないが、良くもないと思う。
「大丈夫よ。永遠姉も来てくれるから、お風呂は死守されるわ」
「寝るのも1人で……」
「そろそろ学校に着くわね。教室で話しましょ」
「寝るのも1人で!!ごめんなさい!ちゃんと謝るから!」
「そこまで嫌がらなくてもいいでしょ?真冬姉は優しいのよ?」
「そうだそうだ!美人に好かれてるのに嫌がるな!」
「大聖は大人の女性と風呂に入れるのか?」
「あ、いや、無理かも。恥ずか死ぬ」
そうだよな。俺も無理だ。俺が裸を見られることが嫌なのではない、真冬さんのスタイル抜群ボディを見れるほど、俺の精神力は高くない。俺も男子高校生なのだ、興奮した箇所を見られたら恥ずか死ぬ。
「「エロガキ」」
「断ってるだろ!?」
「永遠姉と寝るか、真冬姉と寝るか。選びなさい。わ、私と寝る?」
「どれもやだな……」
「は?」
「永遠姉さんを選びます!!」
「チッ……。着いたわね」
え?え?舌打ちした?真冬さんを応援するんじゃねぇ!かなり魅力的だし、初恋の人だから受け入れそうになるんだよ!でもなぁ!あの人の部屋に連れ込まれたとき……"俺の写真が部屋中に貼られてた"。怖いって!!愛が重たい!
「「(雅弥も苦労人だな〜。相手が真冬さんじゃ……)」」
「雅弥の構成って魔法士だよな?」
「それを話し合うために集まるのに、先に話してたのね。そうよ、魔法士よ!運動ができないからじゃないわ!ファンタジー要素よ!」
「「「分かってる分かってる……」」」
「だから違うから!」
3人でニヤニヤしながら教室へ入った。俺達が通う高校は金持ち学校……ではないが、それなりに偏差値が高い。容姿レベルも高いし、問題のある生徒がいない。いい学校だな、うん。俺が女子生徒の子供扱いされていなければ。
「久遠くん!こっちおいで!お菓子あげる!」
「久遠く〜ん、お姉ちゃん達とお話しよ〜?」
「久遠は渡さないわよ?」
「そうだそうだ!この子は私達のだよ!」
「子供扱いやめてくれ。そこまで小さくないだろ!」
「「「「雰囲気がね、甘やかしたくなるから」」」」
お菓子をあげると言ってきたのが工藤 怜美、間延びした声を出すのが巫 尊。いつも俺を子供扱いしてくる。悪いときは犬扱いだ。愛玩動物と思ってるのか?
「2人も『Freedom Adventure Online』をプレイするのか?」
「「するよ〜」」
「じゃあ、久遠に会えるかもな」
「会えるかな〜。4人で動いてる時は分かりやすいけど、ソロの日はね〜」
「レアモンスターか何かだと思ってる?」
「「「「「どちらかと言うと、神出鬼没の愛玩動物」」」」」
「愛玩動物じゃねぇよ!」
なんで大聖と夏芽にまで子供扱いされてんだ!?放課後は先に予定を入れないと、街の中を歩き回ったり、別の市や都道府県に行ったりするからだろう。神出鬼没は理解できるが、愛玩動物は違う!
「はいはい、久遠くん。ビーフジャーキーあげる」
「ありがと……」
「そうやって餌付けされると大人しくなるからだろ……」
「食い物に罪はないからな」
「雅弥、久遠くんを私にください!」
「ダメよ。私のモノだから」
「俺は俺の物だけどな」
6人で雑談しながら過ごしているとホームルームに。そのまま授業に入り、お昼ご飯に。
俺と大聖はコンビニのパン。夏芽と雅弥と工藤と巫は弁当だな。姉さんが仕事をして、俺が家事をする。だが、今日は姉さんが先に起きて仕事に行ったので、自分の分だけ作るのも面倒で……。
「はい、久遠、あーん」
「あ?んっ!?」
「美味しい?大聖もおかず分けてあげるから、栄養取りなよ」
「美味しい……。だが、恥ずかしい」
「おう、助かる。夏芽はいつも量が多いよな」
「2人の餌付け用!久遠はともかく、大聖はいつもコンビニのパンだから!」
「おかんか」
おかんか。夏芽の弁当は美味しいが、1人が餌付けすると、もう3人も……ほら来た。何が良いのか分からないが、俺が食ってる姿は可愛いんだと。目ん玉腐ってんのか?
「桐生くんは相手がいるとして、久遠くんは雅弥?」
「「ん?何がだ?」」
「大聖の相手って誰!?」
「夏芽のことよ。安心しなさい」
「「まだ違う!」」
「まだ、ね。相思相愛なら付き合えばいいのに」
「「心の準備が」」
何言ってんだか。いつも一緒に居るじゃねぇか。何の心の準備なんだ……。そうなると、俺の相手の話についても理解出来た。
「俺は現在フリー」
「「立候補しようかな」」
「真冬さんはどうした?」
「あの人は怖いから無理」
「もう部屋"には"飾ってないわよ」
「だとしても怖い」
「「「「雅弥は?」」」」
「なんかね、兄妹みたいな感じだから分からん」
「姉弟ね……。真冬姉が対象外なら、チャンスはあるみたいね」
ちょくちょく仄めかしてくるけど、どのタイミングで恋愛感情を抱くんだろうな〜。なんで俺はわからんくて、雅弥はハッキリはしているのでしょう。俺が馬鹿だからか?
「割り込む隙は有りそうなのに、もうすぐ夏休み……」
「雅弥、毎日久遠くんの写真お願いね。久遠くん成分が欲しいかな」
「それくらいなら構わないわよ」
「なんで毎日会う前提なんだ?」
「永遠姉から聞いてないの?夏休みの間は、真冬姉と永遠姉と私と久遠で過ごすのよ?もちろん泊まり込み」
呆れた顔をされても困る。本当に聞いてないんだから。永遠姉はサプライズが好きだから……そういうことなんだろ。俺の身が持たないんだが!?やめましょうよ!!精神力がもっだいない!!
「2人とも、寝顔でいい?」
「「むしろ、寝顔でお願いします!」」
「オールするか」
「それでもいつかは寝るじゃねぇか……」
「クソっ!!」
「プレイ中は寝てるわけだしね〜」
「じゃあ、寝る必要ないか?」
「脳は起きてるから、ちゃんと寝ないと真冬姉の部屋に連れて行くわよ?」
「脅しが強烈すぎる!」
そんなこんなで、放課後に。適当な雑談をして、お菓子とジュースを買ったら雅弥宅へ。
「あ、雅弥さん!着替えないから帰らないと!」
「着替えならあるから大丈夫よ」
「じゅ」
「充電コードもね」
「もう諦めなよ」
「まだ何か手があるはずだ……」
リビングで悪足掻きを考えていると、雅弥に"手錠と首輪"を付けられた。絶対に逃がさないという強い意志を感じます。流石にコスプレ用……のはずだが、犬耳付けんなよ。
「久遠は考え事をしてると無防備になるよな」
「最悪……」
「ふふ、よく似合ってるわよ」
「ぷっ、久遠可愛いよ〜」
「笑うな!外せ!」
「『運動神経ゴミカス女』。真冬姉とお風呂に入りたいの?」
「このままでいいです……」
「雅弥ってさ〜、久遠を狙ってるくせに真冬さんは許容出来るんだね」
腕を組んできたり、部屋に連れ込んだりしてるくせに、真冬さんと寝させようとしてくるんだよな……。どういう思考回路をしておられる?
「私と真冬姉の目的は結婚じゃないの。私と真冬姉は久遠のことを恋愛対象として見てるけど、久遠は倫理観を持って生きてるから、私達が縛り付けている体なら許されるはず」
「恋敵としては見てねぇのか。まあ、今の日本は一夫多妻制だしな。久遠は慣れてねぇけど」
今の日本は男性の数が約4割、女性6割だ。少子高齢化対策として、一夫多妻制が導入された。法律で認められているので問題ない。だが、それが導入されたのは中3の頃。今は高2なので割と最近なのだ。慣れなくても仕方ないだろ……。
「久遠が慣れたら、結婚するわ」
「大聖の相手は私だけだからね!」
「お前しか見てねぇよ」
「いいな、青春してて。恋愛ってなんだ?家族愛とは違うのか?」
「家族と思ってくれてるのは嬉しいけど、女として見て欲しいわ……」
「努力はしてる」
4人でゲームの話をして、いかに効率的に進めるか考えていたのだが……結局、気ままに動くことにした。効率と自由は両方取れない。効率を取るか、自由を取るかだ。俺達は高校生だからな、ゲームは楽しもうや。
夜になるまでギャーギャー騒ぎながらテレビゲームをして、大聖と夏芽はご帰宅されてしまった。先に風呂に入ったので第1関門クリア!
入れ替わりに、真冬さんと永遠姉が。
「姉さん助けて!この首輪と手錠を!」
「よく似合ってるね。先にお風呂に入ったのは懸命な判断」
「え〜?もう1回入ろ〜。私と一緒に」
「まだ久遠は17歳なのよ?あと1年の辛抱だから」
「はーい。来年は結婚だね?」
「真冬さんと結婚しても、大人になったら「ショタじゃなくなった」と言って捨てられそう」
「「「それは無い」」」
なぜだ?ショタコンだから、合法ショタを否定してる俺を……。周りの女性陣はまともな人が居ないからな……わからんな。
「可愛いだけで結婚しないよ〜」
「そうよ、その勘違いは失礼よ」
「え、ごめん」
「罰として、今夜は一緒に寝てもらいます!どうせ抵抗出来ないからね〜」
「雅弥はどうする?」
「私にはまだ早いので、永遠姉に譲るわ」
今後は手錠と首輪を付けられないように気をつけます。真冬さんと雅弥はともかく、永遠姉さんに誘われると断れない。俺の恥ずかしい写真を色々と握っているからだ。それに、「疲れた心を癒したい」と言われては……。姉さんは俺を育ててくれているわけだし。
「「お風呂に入ってくるね。雅弥は久遠をよろしく」」
「分かったわ」
「ヘッドギアの調整してる……」
学校から家か雅弥宅に来るまで、だいたい40分。学校が終わるのが16時だから……17時に飯を食うとして、7時間で強制ログアウトにしておくか。徹夜すると姉さんに怒られるからな。
「髪は水色で、種族はエルフね」
「弓使わねぇのに」
「久遠の目指すルートは『賢者』でしょ?全員魔法スキルと回復スキルを取りたいから、そこを強化できる森人王国が1番よ」
FAOは、初期種族によってリスポーン地点が変化する。森人王国、人王国、獣王国、鍛冶王国だ。エルフ、ヒューマン、獣人、ドワーフだな。人間ではなく、ヒューマンな理由は進化先にある。ノーマル・ハイ・エルダー・グランドとなる。
眼は翡翠色。名前はずっと考えてるが思いつかないので、後で決めよう。
話していると真冬さんと永遠姉さんが戻ってきた。もう逃げないのにリードを姉さんに渡し、雅弥は部屋を出て行った。
「優しくするからね?」
「まだ何もさせないから」
「怖い……」
どれだけ軽いのだろうか、姉さん達が力持ちなだけか?借りてきた猫並みに大人しくなってる俺をお姫様抱っこした姉さん。クイーンサイズベッドの真ん中に寝かせられ、左から真冬さん、右から永遠姉さん。
「もう首輪と手錠は外すね」
「緊張してる?久遠くん」
「姉さんの方を向いてちゃダメですか?」
「私はいいよ」
「私もいいよ」
右を向いて姉さんの方を見ると、姉さんが俺の体を抱き寄せ、後ろからは真冬さんが抱きついてくる。何もしないって言ったじゃん!!抱きつかれただけではあったが、その夜は眠れなかった。
姉さんの感触にすら興奮するのは異常性癖持ちなのかな……。それとも正常な反応なのか。
結局、その日から泊まり込みが決定した。雅弥宅から登校して、帰ってきたら大聖達とゲーム三昧だが、夏休み前に課題を終わらせるのは当たり前。
そんな数日を過して、夏休みが始まり、ゲームソフトが届いた。
「私と大聖と夏芽は"ベータテスター"だから、装備が多少整ってるの。驚かないでね?始めましょう」
「隠してたの!?ずるい……」
「ふふ、ごめんね」
ヘッドギアにソフトを入れて起動させた。
パンピーと幼馴染達が往く、FAO。いよいよスタートだ。
R18作品も書いていますが、そういう直接的な描写は書きません。またR18に移動することはありません。ただ、そちらに出てくるスキルを拝借することはあります。ご了承ください。