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А.а 始まり - 07

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「国王陛下、どうぞ、こちらもお納めください」


 そして、山のような書類を、丁寧に国王陛下の前に差し出してきたセシルに、国王陛下も完全に言葉なし。


 ハッと我に返った騎士が、慌ててセシルから書類の束を受け取って、横にいる騎士に手渡していく。


「全ての証明ができたのではございませんが、ある程度の詳細は、そちらの書類に全て記録してございます。お調べになった時点で質問がございましたら、いつでも、お呼びつけくださいませ」


 書類を手渡したセシルは一歩下がり、うつむき加減ではあるが、国王陛下を真っすぐに見返していく。


「ホルメン侯爵家から挙げられた事実無根の誹謗(ひぼう)中傷、責任転嫁、偽証に関して、悪質なだけではなく、悪意とも呼べる攻撃」


 伯爵家への公開処刑、または見せしめ行為ではないかとも取れる、非常に恐ろしい行為だ。


「このような悪質な行為を、伯爵家でも許すことはできませんので、我がヘルバート伯爵家からは、ホルメン侯爵家、及び、クロッグ男爵家に対し、誹謗(ひぼう)中傷(ちゅうしょう)に対する名誉棄損(めいよきそん)(ざい)、侮辱罪、偽証罪、虚偽告訴等罪(きょぎこくそとうざい)、その全てを公式に、この場で、告訴いたします」


「なんだってっ!!」


 血相を変えて、ジョーランがセシルに向かって飛びかかってきた。


 咄嗟に動いた国王陛下の隣にいた騎士が、ジョーランの腕を取り上げ、ジョーランを地面に押し付けた。


「無礼なっ!陛下の御前であるぞっ」


 どうやら、セシルや付き人の少年が介入する必要はなく、俊敏に反応した騎士(国王陛下直属に仕える王宮近衛騎士団の団長だったのだが) に、この場は救われたようである。


「無礼者っ。陛下の御前で、非礼を働くなど不敬罪に値する」


 ひっ――と、地面に押さえつけられたジョーランの顔が、一気に真っ青に変わる。やっと、状況を理解しだしたのか、真っ青になった顔色だけではなく、その体がブルブルと震えだしていた。


 ジョーランを地面に押し付けたままの騎士が、視線だけを上げ、セシルを見返した。


「続けなさい」


「はい。では、婚約期間中の不義、不貞の行為、その罪を犯したジョーラン様には、姦淫罪(かんいんざい)。この場合、結婚はしておりませんから姦通罪(かんつうざい)にはなりませんが、同様に、婚約中でありながらも、ジョーラン様との関係を奨励、または承諾なされた男爵令嬢にも、姦淫罪(かんいんざい)、または同等の罪で告発いたします」


「ちょっと待ってよっ! ふざけないでっ――」


 あまりに自分の思い通りにならなく、状況が刻々と悪化しだしているその場で、バカ息子のジョーランに付き添って地獄行きなど、全く御免だ。


「バルトラム、取り押さえろっ」


 厳しく鋭い命令が飛んで、騎士の一人が飛び出してきた。

 すぐに、リナエの腕を取り押さえていく。


「いやっ! ちょっと、離してよっ! わたくしに乱暴するなんて、許されませんわっ。お父さまに言いつけますわよっ」


 捕まえられた腕から逃れようと、リナエが大暴れするものだから、リナエを抑えていた騎士が、一瞬、顔をしかめる。


「何をしているっ。取り押さえろっ」

「はい――」


 強硬手段で、リナエを抑えていた騎士も、リナエを地面に押さえつけるように取り込んだ。


「いやっ――!」


 無様な姿にさらされて、おまけにこんな侮辱までされて、リナエの顔が怒りで真っ赤に染まっている。


「連れていけ」


 不快そうに、国王陛下がその一言を吐き出していた。


「承知致しました。――カールソン!」

「はいっ」


 呼ばれた騎士が、すぐに駆け寄ってくる。


 ジョーランを押さえつけていた騎士がゆっくりと立ち上がり、その交代で、カールソンと呼ばれた騎士は、ジョーランの腕を取り上げ、一気に地面から引っ張り上げていた。


「連れていけ」

「「はい」」


 二人の騎士が頷くと同時に、ジョーランとリナエが、その場から連れ去られていく。


「いやっ! ――離してっ! 触らないで――」


 呆然としているジョーランに対し、金切り声を張りあげ、未だに抵抗しているリナエと共に、二人の姿が会場から消え去っていった。



読んでいただきありがとうございました。

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