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* 子供の遊び場 *

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シリーズ: Part1

場所: ノーウッド王国コトレア領

時: 豊穣祭で午後の休憩時



「皆様はお疲れではありませんか?」

「いえ、大丈夫です」


 昼を過ぎてからは、午前中に見た以上の観光客が豊穣祭を訪れているようだった。

 大通りは、どのお店も混雑して大繁盛を見せている。


「少し休憩を取られてはいかがでしょうか? ランチ時に食べることができなかったスナックやスイーツなどもたくさんございますので、そちらの方もよろしければ?」

「そうですね。では、お願いします」

「わかりました」


 それで、シリルを筆頭に、ギルバート達は今まで見て回った露店などを戻り、シリルが休憩用のスナックを買い込んでくれた。


 ランチと同じように、スナック代わりということで、シリルがたくさんのデザートを買ってくれたので、公園に戻って来て、簡単な休憩を取っているギルバートとクリストフ(とギルバートの護衛達) だった。


 そこで、公園の端側にある謎の物体が気になって、ギルバートが質問をしてみる。


「向こうの方では、なんだか、たくさんの子供連れが並んでいますね」

「ええ、そうですね。あちらに並んでいる器具は、「公園遊具」 というものです」


 またしても謎の単語が出てきた。


「それは何ですか?」

「「公園遊具」 は、子供達が遊ぶことができる公園内の器具のことなのです」


 この世界には、子供達が遊ぶことができる娯楽が徹底的に欠けている。平民の子供達と言えば、大抵は、一日中、仕事をこなすことで終わっている。

 そんな面白見(おもしろみ)もない人生だけを過ごすなんて、生きている意味がない。


 それで、セシルは領地の運営が落ち着いてきたころ、「公園」 を造り、そこには、子供達が遊ぶことができるたくさんの「公園遊具」 も設置したのだ。


 鉄パイプはコストが高く、作るのにも技術が足りない部分があるので、ほとんどが木でできている遊具だ。縄などは、簡単に手に入る為、木と縄を使い、種々多用で思いつく限りの遊具を組み合わせ、コンビネーション遊具(複合遊具) 場を作ってみたのだ。


 吊り橋や、綱渡り、リングネットもあり、そこから階段があって、大きな滑り台や、見張り棟に続いていたり、うんていの小さなものがあったりと、お楽しみ満載だ。


 もちろん、定番のシーソーやブランコだって、その隣に設置してある。平均台もあり、造形遊具として、木馬を何台か置いてある。


 出来上がった時には、さすがにセシルも嬉しくて、安全確認という理由で、セシルも全部試してみたものだ。


 子供だけで遊べる場所だったが、小さな子連れの親子など、親が子供を支えて一緒に遊ぶことがあるだろうから、大人の重量を支えることができるようにと、しっかり頑丈な遊具器具を設置した。


 そのオープンセレモニーの時には、領地中の子供達から大歓声が沸き上がったほどだ。

 その日から、公園の遊技場はいつも子供達で溢れている。雨が降らない日では、毎回、満員なほどだ。

 何と言ったって、この()()()の「子供用遊技場」 施設だ!


 あまりに不可思議なものを目にして、見たことも経験したこともない遊具を目にして、ギルバートもクリストも完全に絶句。


 豊穣祭にやって来ている観光客でも、子供連れはたくさんいた。

 今は、その子供達が、競い合って公園内の遊技場で遊んでいる。もちろん、混雑したり、怪我をしないようにと、豊穣祭の係員が数人待機して、子供達を監視している。


 使い方の判らない大人や子供達の為に、傍で説明を促す係員の説明を耳に入れながら、ギルバートとクリストフはその場に立ち尽くしたまま、言葉もない。


「今日は、豊穣祭のお客で混雑していますが、豊穣祭後は、その時間帯により、公園内も空いている時があります。よろしければ、お試しになられてはいかがですか?」

「――試す? 大人が、ですか……?」

「ええ。全ての遊具は、大人の重量に耐えられるように頑丈に造られています。小さな子供連れの親子の場合、子供の手を引いて、大人が一緒に登ることが常ですから」


 もちろん、何でもかんでも揃いまくっているほどのセシルの領地なのだから、その程度の気配りもできなくては、領地の名が泣くだろう。


 そのことは(十分に) 理解しているギルバートであっても、さすがに、こんなスケールの違う“子供の遊び場” を目にしたのは初めてで、次の言葉が出てこない。


「私も試したのですが、とても楽しいものでした。姉上も大満足されています」

「そう、ですか……」

「それは、すごい、ですねえ……」


 いやぁ……、今日の豊穣祭では、朝から驚きっぱなしで休まる暇もないほどなのに、更なる驚きで呆然自失状態だ。


 こんな――未知の世界にやって来た自分達は、一体、どんな経験をしているのか、今となっては説明できるような言葉も見つからない。


 これ……、一体、何なんだろう……?

 凄すぎじゃ…………。


読んでいただきありがとうございました。

Twitter: @pratvurst (aka Anastasia)


Tá mé ag súil go mbainfidh tú taitneamh as an eipeasóid seo.

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