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これは何ですか? - 04

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 人手不足問題だって、いつでも上がって来る。


 それで、その問題を解決すべく、セシルがトロッコの考案をしたのだ。それで、果樹が植えられている区画毎で、トロッコの停まる小さな駅を造り、木のレールを果樹園全体で回るように設計したのだ。


 山の傾斜を利用し、山の上側から下側に向かってトロッコが走るように設計されているので、果樹を積み終えたトロッコは、ブレーキを外すと、ゆっくりと傾斜側に沿って下に進んでいく、という形式だ。


 ただ、スピードが出過ぎてしまっては、事故の元にもなりかねないし、トロッコがレールから外れてしまう恐れがある。


 それで、下に向かう傾斜は、レールを長く伸ばし、緩やかなカーブをつけて、グルグルと右から左へと、左から右へと下りてくる。


 そして、下方で溜まったトロッコは、「アクアダクト」 の上流の方で設置してある「水車」 の回転により、ゆっくりと上に向かって引っ張り上げられていく仕組みだ。


 「アクアダクト」 から遠い場所は、仕方なくマニュアル操作でトロッコを押し上げることになるが、それでも、そんな重労働を課すことなどできない。


 だから、長いロープを作り、片方には(おもり)を吊るし、その(おもり)によってロープが下がって来る反動で、反対側のロープに繋がれたトロッコが上に登っていくという工夫を凝らしている。


 要は、ロープウェイの小型版で、簡素版だと考えてみればいいだろう。物理の“奇跡”だ(なんちゃって)。


 さすがに、ここまでの装置と仕組みを建設するには、多大な努力と労力が費やされたが(おまけに、ものすごい資金がかかって……)、それでも、出来上がりには、大いに満足しているセシルである。


 トロッコの走る速度は遅いので、その隣を人が歩いていたら、人の方が早く進んでしまうことになるが、それでも、重い荷車を押したり運んだりする重労働が減り、その分、果樹の採集と、定期的なレールの確認という仕事で済むことができたのだ。


 その手の仕事なら、領地にたくさんいる子供達でもできる仕事となったのだ。

 レールの建設と、荷車の代わりになるトロッコの建設は、本当に、大助かりである!


 人が押してもいないのに、勝手に木の箱で作られた「トロッコ車」 が進んで行く様を見て、さすがのギルバートもクリストフも、唖然と口を開けたまま反応が止まってしまっていた。


 その様子を見て、案内役の領地の騎士は嬉しそうである。


 こんな風に、領地内の視察を奨励する為に、領地の騎士達は接客方法から観光用の訓練も受けている。


 セシルの両親と弟のシリルが、この領地で初の視察を終えた三人ではあるが、こんな風に、他国のゲストを迎え視察を案内するのは、さすがに今日が初めてである。


 たくさん練習した甲斐あって、今日の案内役となった領地の騎士も、今の所、間違いは見せていない。


 そして、なによりも、他国のゲストの反応があまりに新鮮で、自分達の領地の設備や装置が、他国のゲストにも驚かせるような逸品ぞろいだという自覚ができて、とても嬉しかったのだ。


 コトレア領は小さな町だが、そこに住んでいる住民達は、誰よりもコトレア領のことを誇りに思っている。

 他のどんな町や村よりも、遥かに優れていると、誇りに思っている。自慢したいくらいだ。


 だから、他国からやって来たゲストの反応を見て、案内役の騎士もほくほく顔が止まらなかったのだ。


 ポカンと口を開けたまま、完全に反応が止まってしまっている二人は、一度だけ頭を振るような仕草をみせた。


 まるで……世にも奇妙な、摩訶不思議な物を目にして、それが受け入れがたいのか、信じられない光景だったのか、それを打ち消すかのような、そんな仕草だったのだ。


「なにか質問はございませんか?」

「…………いえ、今の所は、あり、ません……」


 質問……って、一体、何の質問を出すんですか?

 自分の理解不能に陥っている状況で、理解不能な場で、どんな質問が出てくるんですか……?


 そんな質問を自問している辺り、すでに、ギルバートとクリストフの混乱が、頂点に達してしまっている事実を物語っている。



「これは何ですか……?」

「三段階式の冷蔵貯蔵庫です」


 クレイポットから始まり、レンガ詰めの冷蔵貯蔵庫、そして、最後に、木炭を生かし熱の変動で冷蔵作用を催す冷蔵貯蔵庫。


 親切な案内役の騎士は、その全ての説明を丁寧にしてくれる。手に取り見せてくれたり、クレイポットに触らせてくれて、温度の違いを確認したり。レンガを置く仕組みや、水をかけている木炭の説明だったり。


「はあ……」



読んでいただきありがとうございました。

Twitter: @pratvurst (aka Anastasia)


امید انت کہ شما اے قسط ءَ چہ وش بوت کن ات۔

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