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これは何ですか? - 02

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「おおぉ、これが小麦の製粉装置ですか?」

「そうらしい」


 二人揃って、珍しく、あまりに素直に感心している。


 人力ではないのに、小屋の中では、ギザギザの形をしている歯車がグルグルと回っていて、次の歯車は上下に回転していて、その全てが自動で動いているのだ。


「すごい発明ですねえ」

「確かに」

「おまけに、賢い装置ですねえ。全部、自動ですよっ!」

「確かに!!」


 水車の回転を利用してこんな装置が出来上がるなど、一体、誰が考えただろうか(いえいえ。昔の人の知恵ですから、セシルが考えたんではないんです)。


 ついでに、ここだけの話だが、脱穀機、製粉機を建設・設置するだけでは飽き足らず、三階建ての移動の大変さを考慮して、セシルは次の段階へと開発を進めていた。


 一階で脱穀された小麦を三階まで運び上げるのは、かなりの力作業である。階段を上り下りするだけでも苦労もので、力のない子供にできるような重労働ではない。


 だから、脱穀された小麦を三階まで運び上げる為に、セシルは “小荷物専用の昇降機(要は、荷物リフトである)”の建設に取り掛かったのだ。


 現代で言えば、トランクション式のエレベータの仕組みを真似たようなもので、そこまでの高度な技術がないので、ロープを両方に吊るし、片側に(おもり)を吊るし、カウンターウェイトとしてリフトを昇降させる仕組みだ。


 それでも、自動的に重いリフトが昇降してく光景を領民達が見て、ものすごい歓声が上がったものだ。



「おおぉ……!」

「なんて、すごい……!!」



 ギルバートとクリストフの反応も、領民達の反応と全く変わりはなかった(ふふふ)。


 そして、小麦の脱穀・製粉機だけでは済まされず、また少し上流には、次の「水車」 が設置されているそうな。


 その「水車」 は、「アクアダクト」 に水をくみ上げ流し込む役割をしているという説明を聞く。


「……あくあだくと? それは何ですか?」

「水を渡し、流し出す為の水路です」

「水路?」


「はい。あちらの山側には、領地の果樹園がございます。果樹園の方に水を届かせる為には、水路が必要となってきますが、川の水流が届かず、水を流し出すことは無理があります」


 その説明は納得がいく。案内役の騎士が指している方向は、ギルバート達がいる場所とは反対側になる山側だ。


 あちら側の山の方に川が流れていなければ、水を流し出すのは地理的にも無理だろう。

 それは、ギルバート達だって簡単に理解ができた。

 でも、その無理だと考えている“無理”は、無理ではなかったらしい。


「それで、領主様が「アクアダクト」 を建設なされたのです」

「……ヘルバート伯爵令嬢が……?!」

「ご令嬢が、お造りになったのですか?!」


「あっ、いえ、領主様が自ら水路を建設なさったのではありません。「アクアダクト」 の考案をなされたのが、領主様です。そして、建築構造や方法を説明され、建設時に指揮を取られたのが、領主様です」

「はあ……。それは、すごい、ですね……」


 そして、なにか途方もない説明を聞いているような気分になっているギルバートとクリストフは、次に出す言葉が見つからない。


 案内役と一緒にもう少し上流に向かってみると、「水車」の装置が視界に見え始めて来た頃、それと一緒に、なにかがぶつかるような、それでいて、軽快な音が耳に入って来た。


 カコン、カコン、ガタン。

 カコン、カコン、ガタン。


 ゆっくりと歩いていく先で、段々と「水車」が形を成してくる。

 だが、今回の「水車」は、さっき見た「水車」とは少しだけ形が違っていた。


 「水車」に近づいていくと、「水車」の軸の先には木のバケツがぶら下がっているのだ。それで、水流で「水車」が回る度に、木のバケツが川の水の中に入り、流されていく過程でバケツの水が一杯にくみ上げられている。


 ゆっくりと回転に沿って、バケツが天辺まで上がっていくと、そこに仕掛けられている棒にぶつかり、バケツがひっくり返る。そこに、水受けとして置かれている長い木の台を滑り落ち、石が連なっている水路へと水が流れ落ちていくという仕組みなのだ。


 川の水の流れが止まらず、バケツが次々に水を汲んでは、天辺で落とし、また水を汲んでいく。その繰り返しが止まらず、カコン、カコンと、木がぶつかる音が小気味よく軽快だった。


「すごいな……」

「すごいですねえ……」


 先程から、二人は揃って感心してばかりだ。



読んでいただきありがとうございました。

Twitter: @pratvurst (aka Anastasia)


Ümid edirəm epizoddan zövq alacaqsınız.

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