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* これは何ですか? *

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シリーズ: Part1

場所: ノーウッド王国コトレア領

時: 領地内視察にて



 生まれて初めて、質問をしてその返答が理解できず、意味不明ではないのだが更に理解不能に陥った、などという(少々) 悲惨な経験をしたギルバートとクリストフだった。


 それは、この質問から始まる。



「これは何ですか?」



 そして、何度その質問をしたかさえも、もう……覚えていない。



「この建物は何ですか?」

「グリーンハウスです」

「グリーンハウス? ガラス張りの小屋、ですか?」

「いえ、違います」


 領内視察初日。一番初めの視察場所は「グリーンハウス」 と言うらしい。


 見渡す限り、ガラス張りの建物がズラリと並んでいる。木枠を除けば全部ガラス張り……の建物など、ギルバートもクリストフもお目にかかったことがない。


 この時代、ガラスはものすごい高価な部類に入る。その為、ガラスを購入し使用できるのは、大抵、貴族か裕福な大商人辺りと相場が決まっている。


 なのに、ギルバート達の視界の前には、何列にも並ぶガラス張りの建物がその敷地一隊を埋め尽くしていたのだ。



(もしかして、この領地はものすごく裕福なのだろうか……)



 なんて考えが、一瞬、頭に浮かんだものだった。


 案内役として派遣されてきた領内の騎士が、丁寧に「グリーンハウス」 の目的や建設方法などを説明してくれた。


 ほうぅぅ……と、今まで聞いたこともないような説明に、ギルバートとクリストフの二人揃って、胸内で素直に感心している。季節に左右されずに農作物を作れる方法など、そんな摩訶不思議な話など、聞いたことさえもない。


 それが現実に存在する。

 すごい……と感嘆すべきなのか、その場では二人とも説明のつかない状況と感情で、言葉なし。



「これは何ですか?」

「水車です」


 次の視察場で、若い騎士が礼儀正しく説明をする。


 確かに、昨日読んだ視察概要と視察プランには、「水車」 というような単語が載っていた。


 実は、視察のプラン表を確認しているギルバートとクリストフの二人は、謎の単語がたくさん出てきて、それで、互いにそれが何なのか判らず、かなり困惑した様子で頭をひねっていたのは言うまでもない。


 だから、今日から始まった領地内の視察には、一体、何を期待すればいいのか、何を想像すればいいのか、実は……その答えが見つからなくて、初っ端から、ものすごい緊張してスタートした二人だったのだ。


 そんなこととは露知らずのセシルだ。

 なにしろ、ギルバートとクリストフは、()の他国からのゲストである。



「ゲストの方、視察を喜んでくれるかしら? 良い感想がもらえればいいですわぁ」



などと、ゲストの訪問が嬉しくて、一人、ホクホクとしている呑気なセシルだっただけに、心配すべきなのか、困惑をすべきではないのか……と、緊張している二人の心境など露知らず。


 そして、案内された場所には、大きな丸い木の装置が取り付けられていて、川の流れに沿ってゆっくりと回転していた。


 川の水流を利用して、大きな丸い木の装置がゆっくりと回っている様子を見て、ギルバートとクリストフも感心をみせる。それは、初代に作られた「水車」 らしく、川の水流を回しているだけで、他になにかの役に立つものではなかったそうな。


 それから、次の段階へと更に開発が進められ、水流で動く回転を利用して、小麦の脱穀と製粉をする装置が傍に取り付けられたらしい。


 初代の「水車」の場所から少し上流に向かうと、三階建ての小屋があるのだ。


 一階は、大きな複雑な歯車の装置がグルグルと回っている。そして、天井からぶら下がっているような長い筒の下で、製粉された小麦を受け取る大きな箱が。


 その横では、たくさん積まれた小麦の山が、針が突き刺さっているような筒の装置に入れられ、脱穀の作業が行われている。その脱穀機も、グルグルと回っている歯車を利用しているので、人力で回しているのではない。


 二階は、これまた天井から長い筒がぶら下がっていて、筒の下には丸い大きな石が積み上げられている。あれがグルグル回りながら、小麦を製粉していく器械らしい。


 三階は、小麦を流し込む装置が設置されていて、階下へと続いている筒から小麦が落ちていくそうなのだ。


 だが、小麦の袋を担ぎ上げ、手作業で一つ一つを器械に流し込むのではなくて、小麦を入れる装置の後ろには、長い大きな台が置かれていて、その箱の中に小麦を一斉に流しいれるだけで、その小麦が四つの器械へと均等に分配されて、流し込まれていく仕組みになっているのだ。


 なんとも、便利な装置である。



読んでいただきありがとうございました。今回は、少々、セシルの領地の開発などを紹介。


Nayax suyt’twa jumanakax uka episodio ukan kusisipxañamataki.

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