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Е.д 楽しみ - 10

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* * *



「今日、ヘルバート伯爵令嬢に会って来た」

「まあっ!」


 邸に戻ってきてハロルドを前に、私室のソファーでゆったりと寄りかかっている侯爵夫人であるロニアが、目を輝かせる。

 それで、意味深な笑みを口元に浮かべていき、その眼差しだけで続きを促す。


「来年、婚儀を終えてから領地に戻られる際、ご一緒して視察をさせてもらうことになった」

「あらあら」


 今夜は、随分と、面白そうな話題が出てきたものだ。


「まあっ、旦那様も、レイフ殿下に感化されたのですの?」


 第二王子のレイフとは、もうかなり長い付き合いになっている。


 夫のハロルドが宰相時代からも、レイフは宰相補佐をしていて、今は宰相に任命されたから、外政を任されたハロルドと共に、王国の(まつりごと)(にな)う要だ。


 それで、二人とも、プライベートやレイフと一緒にいる時は、昔からの癖で、「殿下」 の呼び方が多い。


「さあ、そこまでではないが」


 昔から夫のハロルドは、口に出していることと、出さないことが、全く正反対のことが多い。


 権謀(けんぼう)術数(じゅっすう)蔓延(はびこ)る王宮内で(まつりごと)を任されているだけに、他人がいる前で、本心や本音を見せることなど絶対にない。


 隙が無くて、論理的で、相手にするなら手ごわい強敵だ。


「それで、侯爵夫人もいかがか? ――との招待を受けたが?」

「まあっ、わたくしもですの?!」


 そして、ロニアの瞳がキラキラと輝いていく。


「もちろん、喜んでお受けいたしますわ。わたくしも、()()有名な領地に行けるのですね」


「その話題には触れないこと。私が移動すればすぐに大騒ぎになるだろうが、それまでは、わずらわしい種を撒き散らすことはしたくない」


「ええ、わかっておりますわ。心配なさらなくても、わたくしはお茶会やパーティーで、自慢など致しませんから」


 長年、伊達にこのハロルドの、そして、王国の宰相の妻をしてきたわけではない。

 ロニアの一言で、陰謀渦巻く王宮内で、貴族内で、自分の夫である宰相の足を引っ張りかねない危険性だってある。


 いつ、自分の足元が引きずり落とされるか、判ったものでもない。


 あの強烈で、劇的な出会いをした()()有名な伯爵令嬢は、今や王宮内の()話題人物である。


 貴族の夫人達から貴族の令嬢まで揃って、こぞって、その情報を掴みたい、()のご令嬢であったのだ。


 衝撃的な出会いをしても、それは他国の令嬢だ、程度の説明しかされていなく、最初のうちは、貴族同士での集まりでも、あまりに奇天烈なドレスの話題や、令嬢らしからぬ行動を中傷したり、笑い者にしたような侮蔑が多かった。


 なにしろ、当の本人は、噂の中心に躍り上がって来たほどなのに、さっさと自国に帰ってしまって、王国にはいなかったのだから。


 それから徐々にその話題も薄れ、存在も忘れられかけた頃、またも王国に戻って来たのだ。

 それも、第三王子殿下自らのエスコート役を伴って!


 あれも衝撃だった!


 あの夜会は、騎士達の戦勝祝い、慰労会(いろうかい)を兼ねたパーティーだったが、王族としてだけではなく、宰相として出席していたレイフと同様、ハラルドも外務大臣として、妻のロニアを伴って出席していたのだ。


 おまけに、外務大臣としての立場だけではなく、ヴォーグル侯爵家は王国の侯爵家筆頭でもある為、新国王陛下主催のパーティーには、ヴォーグル侯爵夫妻は出席していたのだ。


 その場で、他国の伯爵令嬢で、王国とは全く関係もない、因縁もない若い令嬢が、王国1~2を争う、現在の“最有力夫候補”である、第三王子殿下をエスコート役として、夜会に参加してきたのである。


 あの一瞬で――独身の貴婦人から若い令嬢に至るまで、悲鳴を上げてぶっ倒れそうなほどの勢いだったなど、あのセシルは知っているのだろうか(いえ……、しっかりと、気づいていました……)。



読んでいただきありがとうございました。

Twitter: @pratvurst (aka Anastasia)


Tôi hy vọng bạn thích tập phim này

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