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Е.г 思いはそれぞれ - 05

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「あの……、突然ではございますが……、実は、ウェディングドレスのデザインを変えさせていただけないでしょうか……? あの……、実は――」


 次は、デザインを変える理由、だったはず……。


「お決めになられたドレスのデザインは、もちろん、なんの問題もございませんし、アトレシア大王国でも良く見かけるスタイルのデザインです。これから、布の裁断を終え、生地の縫い始め、飾り付けを加えて行けば、素晴らしいドレスになること間違いございません」


「でも、あなたはデザインを変えてみたいのでしょう?」

「は、はい……。わたし達は……、こちらの領地に伺わせていただいた時に、何点かのドレスのパターンを用意してきました」

「そうですね」


 アトレシア大王国の若い貴族の令嬢達の間で人気の高いスタイルや、生地、ドレスのパターンなど、セシルもいくつか違ったドレスのパターンを見せてもらった。


 それから、セシルの好みなどを聞いて、一応、どんな形がいいか、スタイルがいいかなど話し合い、最終的に一つのドレスのスタイルが決まった。


 それは、今、流行(はやり)でもあるふっくらと膨らんだ大型のドレスが基本で、腰をコルセットで死ぬほど締め付けた細い腰のハイトップ。そして、トップは胸の前で豪奢な飾りやリボン、高値でもあるのならレースを縫い込んだ、所謂、お姫様ドレスで人気のあるロココ調のドレスを、更に拡大させたような豪華なドレスだった。


 それが今の流行(はやり)なので、大抵の貴族の令嬢や夫人達は、そのようなドレスを身に着け、着飾っているのが普通だ。


 カリーナもそんなスタイルに慣れているだけに、そのドレスのスタイルやデザインを疑ったことさえなかった。


 だが、コトレア領にやって来て、セシルの持っているドレスを見せてもらったその時に、カリーナは生まれて初めて、人生初の大ショックを受けてしまっていたのだった。


 今まで、カリーナの生きている中で、ドレスの歴史を学んだ中でも、セシルの持っていたドレスは、そのどのスタイルにも当てはまらなく、デザインも全く違っていて、今まで見たこともないようなドレスばかりを目の辺りにしてしまったのだ。


 ものすごい衝撃だった。


 生まれてこの方、見たことのないドレスのスタイルやデザインだったのに、それでも、セシルがそのドレスを着た姿を見て、



「野暮ったい」



などと、そんな形容さえ上がってこなかったほど、洗練されていて、流れていくドレスの様がこの上なく優雅で優美で、繊細な刺繍や飾りが芸術的に近くて、もう、無意識で溜息(ためいき)がこぼれてしまうような、そんな衝撃的な第一印象を受けたものだった。


 何着ものドレスを紹介されながら、カリーナだけではなく、父も、残りのお針子達も、何度、感嘆めいた溜息(ためいき)をこぼしていたことだろうか。


 その夜、興奮が収まりきらないカリーナは、昼間見たドレスを思い出し、どうやったデザインなのか、どんな生地の素材で、飾りはこうでなんて、父と二人で夜更かししてしまうほどに、語り合ってしまったほどだ。


 それから、領主様の館に滞在させてもらっている間、ドレス作りの為、時間を取ってくれているセシルと会う機会はあったが、それ以外にも――実は、カリーナは内緒で、セシルの着ている服を、毎日、毎日、こっそりと観察していたのは、セシルも知らない話だ。


 仕事が多忙なセシルだったが、廊下を歩いている時や、領地内に出かけていく時など。そして、光栄にも、夕食を何度か一緒にしてもらった時にも。


 こっそりと、見つからないように、いつも、視界の端で、セシルの着ている服を確認(観察) していたカリーナだった。


 大抵いつも、セシルはズボンを履いていることが多い。初めて会った時は、男装しているのだろうか……と、心不安げに思ったことだが、セシルが外出しない時は、スカートを着ている時もある。


 でも、ドレスではないような、ドレスだった。


 細身の(からだ)のシルエットを見せつけながらも、それでいて野暮ったくもなく、優雅でしっとりとした大人の色気を感じさせるようなものだったり、少し可愛らしく見えても、洗練されて見える雰囲気だったりと。


 そのどれも、セシルにはとても良く似合っていた。


 そして、ドレスだろうと、普段から着ている服だろうと、一番に驚いたことは、セシルの身に着ける服は、一切、コルセットをしていないという事実を知ってしまったことだ。



「うそっ……!?」



 最初の一言は、父もカリーナも一緒だった。

 コルセットなしで、細い腰を見せないなんて、あまりに野暮ったすぎるではないか。それが、普通の認識だ。


 でも、セシルが着ているドレスも、着ている本人も、そのどれも、「野暮ったい」 なんて思えないほどの上品さがあり、優雅さがあり、洗練されていた、あまりに美しく見えるものばかりだ。


 コルセットもしていないのに、そんなことを気に掛ける必要もないくらい、腰になんて目を向けたことはない。



「それは、ドレスの形や、色の組み合わせ、襟口や飾り、フレアなどで誤魔化したり、体の線を上手に見せるような服にしているからですよ。コルセットなどなくても、腰を細く見せる方法などたくさんあります。要は、どのスタイルやデザインが、一番、自分の体形に合っているのか、どの色合いが似合うのか、そういうことを頭に入れておけば良いのです」




読んでいただきありがとうございました。

Twitter: @pratvurst (aka Anastasia)


Bu romanni o'qiganingiz uchun katta rahmat

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