Е.г 思いはそれぞれ - 03
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体調不良により、投稿が遅れてしまいました。申し訳ありません。
まさか、そんな――恥ずかしいことを、あのギルバートが口にしていたなど、セシルだって思いもよらなかった。
第一印象は、いつも強く心に残っている、感じている一番強い印象だ、とカー・サルヴァソンが話していた。
一番強い印象――が、“女神”もどきの印象だったなんて……。
それを考えて、また少し、セシルの頬が紅く染まっていた。
このギルバートの手紙を読んでいるのも、自室で誰もいない場所だったのが幸いである。
ギルバートは、自分の気持ちを告白してから、いつも、セシルには自分の感情も愛情も隠すことはしない。
むしろ――こちらがドギマギしてしまうほど直球で、自分のセシルに向ける愛情を見せ、示し、その瞳があまりに愛おしいものでも見るかのように、蕩けていく。
それで、セシルを望んでいる強い愛情も隠さず、あの瞳が、一人の男性としてセシルを望んでいる――その渇望も、欲望も、セシルに向けているものだった。
この世界だって、前世(なのか現世) だって、そこまで強く、セシルが熱く求められた経験はなかった。
だから、ギルバートが、初めて、そんな強く縛り付けるほどの熱さを向けて来た男性なのは違いないのだ。
おまけに、お腹の真ん中がズシンと響くようなあの張りのある低い声で、甘く、熱く、蕩けるように囁かれたら――もう、大抵の女性なら、瞬殺と悩殺されていること間違いなし。
それを考えて、セシルもドキドキしてきてしまった……。
ギルバートの愛情が強くて、熱くて、それで惜しみなく向けられ、注がれるものだから――最近のセシルだって、自分が“恋”という状態になりつつある今の状態を、自覚しつつある。
たぶん、ギルバートに恋して、そして、惹かれて愛することになるその時も、そう遠くはないのだろう。
だからと言って、そんな未来を想像しても、嫌な気分にはならなかった。
「もう、初っ端から、「最愛のセシル嬢――」 なんて言われたら、ドキドキしちゃうじゃない……」
手紙でも、ギルバートの愛情は隠すことなく、溢れんばかりにもりだくさんだ。
手紙でセシルを口説き落としているつもりはないだろうに、そう思えてならないのは、セシルだけの気のせいではないだろう。
今は多忙を極めているセシルで、朝も夜も関係なく、走り回っている状態だ。
でも、ギルバートに会えることは、待ち遠しい……。
「この世界で、私が“恋”をしてみるなんてね……。そして、結婚だなんて……」
前世(または現世) では、セシルは独身だった。
だから、後にも先にも、ギルバートとの結婚は、人生初めての経験なのである。
あのギルバートが触れてきたら――それを考えても、嫌ではない。
ギルバートは埋め合わせをすると、約束したのと宣言していた。
ちょっと、期待してしまおうかしら? ――なんてね。
* * *
「お願いがございます」
お話ししたいことがあるので、どうかお時間を取っていただけないでしょうか、と仕立屋をしている服飾師の一人娘であるカリーナが、セシルに面会を求めて来た。
それで、カリーナをセシルの執務室に通したは良かったが、次の行動があまりに驚きなものだったのだ。
ガバっ――と、床にひれ伏す勢いで、カリーナが土下座してきたのだ。
さすがのセシルも、この現状が理解できず、ポカンとしてしまう。そして、影のように控えている執務官のフィロも、珍しそうな顔をして、床にひれ伏しているカリーナを見下ろしていた。
「どうしたのですか?」
「お願いがございます」
「そうですか。では、顔を上げてください。顔を見ずでは話もできませんものね」
セシルは普段と全く態度も変わらず、様子も変わらず、落ち着いた雰囲気のまま、落ち着いた静かな口調でそれを気軽に話した。
なにを思い詰めているのは知らないが、ものすごい真剣な様相をしたカリーナが、ガバっと顔を上げる。
あまりに深刻なその様子を見て、ドレス作りで修正不可能な間違いでもしてしまったのだろうか、なんて、そんな考えがセシルの頭にも浮かんで来てしまう。
「どうしたのですか?」
「実は、ご領主様にお願いがございます」
その台詞は、すでに三度も繰り返している。
そのまま、さっさとお願いが何なのか説明してもいいのに、セシルから許可を得られるまでは、カリーナ自身から話を切り出すことは許されない、とでも考えているのだろうか。
まあ、貴族制が強い王国社会だから、平民であるカリーナが自分から貴族に話しかけることは許される行動ではない。
セシルがそんな無駄な行為を嫌っていることも、カリーナは知らないだろうし。
「そのお願いとは、何ですか?」
そして、ギュッと、ものすごい真剣な様相で、むしろ――生死の生きざまを懸けたかのような必死さで、カリーナの口がきつく結ばれる。
そこまで大袈裟な様相を見ている限り、今のカリーナは崖っぷちに立たされて、逃げ場所もなく、逃げ道もない人生最悪な状況に直面しているかのような、そんな悲壮さが表情に映し出されている。
「どうか……、どうか、ウェディングドレスのデザインを変えさせてくださいっ……!!」
それを思いっきり言い切って、ガバっと、カリーナがまたしても床に平伏す勢いで土下座したのだ。
「デザイン?」
予想を外れて、思ってもみない要請を聞いて、セシルもかなり拍子抜けしてしまった。
読んでいただきありがとうございました。少々、仕事が多忙になってきた為、そろそろ、投稿回数を週に一回に変えたいと考えています。来週からは、金曜の正午に投稿させていただきます。
これからも、どうぞ、『奮闘記』シリーズをよろしくお願いします。
اس ناول کو پڑھنے کے لئے آپ کا بہت بہت شکریہ