Е. б やっと、ただいま - 02
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投稿が大分遅れてしまいまして、大変申し訳ありません。今日からまた再開です。実は、小さな子供の話を書いていると気分が上がって来て嬉しくなったので、今回はオスミンの登場がたくさんになってしまっています(笑)
「あらあら……。楽しそうですわね。まずは――一度、落ち着きましょう? それから、たくさん話を聞かせてくださいな? オスミンは疲れていませんの?」
「つかれていません」
「本当ですか……?」
チラッと、アデラの視線が後ろのギルバートに向けられる。
「一応、帰路では馬車内で休んでいたようではあるのですが――」
でも、セシルは、オスミンはきっと疲れすぎていて、自分で気づいていないはずですよ、と助言してくれた。
「ぼくは、つかれていません!」
軽く頬を膨らませて、しっかりと自分の言い分を強調するオスミンだ。
「そう、ですか? ――それなら、オスミンの話を聞かせてもらいましょう」
一月以上も王宮を離れていた幼い息子の帰宅だ。アデラだって、まだか……、まだか……と、今日の日を待ち遠しく待っていたほどだ。
無事に息子が戻って来て、一番に安堵をみせているのはアデラだ。
「レイフさんも、オスミンの世話をありがとうございます。疲れましたでしょう?」
「ええ、まあ」
そこで、謙遜しないところがレイフだ。
ちろっと、無言でギルバートの視線がレイフに向けられるが、そこはそこ。下手にレイフを刺激しないよう、ギルバートはその点について深く指摘しない。
幼いオスミンの面倒をみてくれていたのは、ほぼ、セシルの母親と邸の使用人達だけである。レイフなど、一人で張り切って視察をエンジョイしていただけに、夜寝る時だけ一緒のベッドに寝る羽目になってしまったが、それ以外の世話……など、したことはない。
「では、レイフさんも、お茶など一緒にいかがです?」
「それは、また後で。私はここで失礼しますよ」
ひらひらと手を振って、レイフなど王妃がいるのに、さっさと自分の館の方に歩き去ってしまった。
レイフだって、王宮に戻って来ると、今までの疲労がドっと押し寄せてきているのだ。
「ギルバートさんは、どうしますか?」
「お誘いありがとうございます。ですが、私はこのまま騎士団に戻り、報告がございますので」
「そうですか。――では、オスミン、ギルバートさんにお礼を言っておくのですよ」
「はい、ははうえ。ギルバートおじうえ、ごえいを、ありがとうございましたっ!」
「オスミンも、無理をせずに、今日はゆっくりと休むように」
「はいっ!」
元気なオスミンの様子を見ていると、あまり疲労を濃くしているようには見えないのだが……。
ギルバートと、残りの騎士達も、王妃に一礼を済まし、その場を去っていた。
「にーたま、ねえ、にーたま」
オスミンにぶら下がっているようなイングラムは、すごい久しぶりに会う兄に興奮して、オスミンの体をゆさぶっている。
「イングラム、ぼくはね、イングラムのために、おみやげをかってきたんだよ」
「おみやげ? それって、なあに?」
「ふふふ。おたのしみだよ」
「おたのしみ? なあに?」
「ふふ。おたのしみだよ」
母上も早くっ――と、オスミンに急かされて、元気な様子の息子に安堵しながら、アデラも王宮の中に戻って行った。
オスミンが聞かせてくれる“お土産話”は、一体、どんなものなのだろうか?
アデラも今から楽しみである。
「この……袋のようなものはなんですか?」
「これは、セシルじょうのりょうちで一ばんはやっている、ショルダーバッグですっ! でも、ウェストバッグっていうひともいるって、セシルじょうはいってましたっ」
えへんっ、と大威張りで自分の胸の前にかけてあるショルダーバッグ(もとい、ウェストバッグ) をオスミンが自慢する。
領地内でも宿場町でも、領地の騎士が身に着けていたり、孤児院の子供達がほとんど持っていたり、オスミンも通りを歩く度に、(実はすごーく) 気になっていたのだ。
鞄のお店に連れて行ってもらったオスミンの前で、色とりどりのバッグが並んでいて、叔父のギルバートも、実は、そのお店で以前にショルダーバッグを買ったことを知ったオスミンは、もう一も二もなく子供用のショルダーバッグを買ってもらったのだ。
ギルバートのショルダーバッグは、騎士団の制服の上でも身につけられるように、紺色にしたと言う。
オスミンは黒字に赤のラインが入ったものが格好良くて、一目惚れしてしまったのだ。
「これは、でかけるときにつかうと、とてもべんりなのですよ、とセシルじょうがおしえてくれましたっ。おかねをいれたり、ハンカチや、ほかのこものもはいって、とてもべんりなのです。こじいんのこどもたちも、みんな、ショルダーバッグをつけて、“はじめてのおかいもの”までするんですっ」
「まあ……! そのような、便利なものがあるのですのねえ……」
大張り切りで、大威張りで、大自慢してくれる息子の説明は――半分くらいしか解らない。
だが、どうやら、セシルの領地では、子供達も、「ショルダーバッグ」 という摩訶不思議な入れ物を身に着けている習慣があるらしい。
「にーたまっ! いいなあ、いいなあっ!」
「いいだろう?」
弟のイングラムが突進してきたかと思うと、オスミンのショルダーバッグにしがみついてきた。
「イングラム、だめだよっ!」
読んでいただきありがとうございました。
Twitter: @pratvurst (aka Anastasia)
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