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Д.б 状況確認 - 03

クリスマスを終えれば、もう年末。皆さん、今年一年はどんな年でしたか?

今年も残すところ、あとわずかとなりました。このお話も長いシリーズになってきましたが、今まで読んでいただいて本当にありがとうございます。


誤字・脱字など、つたない文章でご迷惑をお掛けすることがあるかと思いますが、来年も一層努力しますので、よろしくお願いします。


寒い日が続きますので、お体に気を付けて、どうぞよいお年をお迎えください

 セシル達は、騎馬で移動が簡単な組と、たくさんの荷物を乗せた荷車が続く組の二つに分かれていた。


 騎馬組の方は、早馬を飛ばす勢いで、かなりのスピードを出してボイマレ村まで駆けて来たので、一時間程で村に到着することができたのだ。


 第二陣の組は、たくさんの荷物を積んでいるだけに、慎重な速度でボイマレに向かっている。馬車の速度程度で考えれば、二時間ほどはかかってしまう。


 ボイマレに向かう際、疾駆中だってかなりのスピードを出して、コトレアから馬に乗りっぱなしだったのに、セシルは一度としてその騎乗している姿勢が崩れることはなかった。


 ギルバートとクリストフも、セシルはかなり騎馬に慣れていて、馬の扱いも騎士並みに訓練されているだろうと踏んではいたものの、遠距離の移動で、それも早馬並みのスピードで疾駆させていたセシルの動きには、感嘆以外のなにものでもない。


「どうしますか? やはり、荷車が到着するまで、待ちますか?」

「いえ。状況確認の為、一応、土砂を避けて山側から村に入れるかどうか、確認してみるつもりです」

「危険ではありませんか?」


 特に、セシルもギルバート達も、ここら一体の地理に詳しいわけではない。


 土砂崩れなどという災害に遭ったこともないだけに、その被害がどれだけひどいものなのか、どれだけ広がるものなのかも定かではない。


「ケルト、トムソーヤ」

「はい、マスター」


 第一陣の組に混ざって来た騎士達は、ほとんどが王国騎士団の騎士達ばかりだ。セシルの領地の騎士達は荷車の管理がある為、ほとんどの騎士達が第二陣の部隊として組み込まれたのだ。


 コトレア領の騎士は20人。王国騎士団の騎士達も20人。


 セシルとセシルの護衛、ギルバートとクリストフを入れれば、かなりの数を召集したことになる。


 セシルの護衛役としていつも一緒に付き添っているイシュトールとユーリカ。そして、セシルの“精鋭部隊”であるケルトとトムソーヤは、セシルと一緒に第一陣の組としてやって来ていたのだ。


「今から地理の確認をお願いします」

「わかりました。問題ありません」


「ですが、足場が崩れ始めたり、足場が弱まっていた場所がある場合は、速攻で引き返してきてください。無理に踏み込む必要はありません。危険だと判断した場合も同じです」

「わかりました」


「では、お願いしますね」

「お任せください」


 ケルトもトムソーヤも、二人とも全く緊張している様子はなく、あっさりとその任務を引き受けている。


「では、失礼します」

「気を付けてね」

「大丈夫です、マスター。絶対に無理はしませんから」


 頼もしい二人の背を見送って、セシルがギルバートに向き直る。


「二人に任せておけば、たぶん、ある程度の情報は確認できると思いますの」

「まあ、そうかも、しれませんね……」

「いつも、地図を描いていましたからねえ……」


 王国にやって来た時だって、セシルの“精鋭部隊”の子供達は、初めての場所なのに迷いもせずに、王都内を動き回っていたではないか。


 おまけに、ゲリラ戦では、見知らぬ場所でも、あたかも自分達のテリトリーであるかのような動きで、スイスイ、スイスイとアトレシア大王国での山の中を駆け回っていたほどだ。


 確かに、この集まっている騎士達の中で、彼ら以上に的確に地理を把握できる人材などいないだろう。

 本当に、セシルの“精鋭部隊”の青年達は、頼もしい限りである。



* * *



 待つこと一時間程。


 第二陣として組まれていた荷車がやって来た頃、山の中に入り込んだケルトとトムソーヤも戻ってきた。


 セシルは、ボイマレからやって来た男と、少年達を荷車に乗せ、南下した場所にある迂回路に向かわせる。


「山側から村に下りることは、可能だと思います」


 トムソーヤの最初の報告は、セシル達にも朗報をもたらしてくれるのだろうか。


「土砂がかなりの範囲で広がっているように見えましたから、それを避け、一度、村側とは反対の方に登ってみたんです。少し上に登れば、まだ木々が残っていましたし、足場も硬かったです。ケルトにも確認してもらいましたが、そこからなら、木々と並行して進むことができます」


「試しに、土の中に(くい)を打ち込んでみましたが、木々が連なる場所は土が硬かったです。打ち込んだ杭も引き抜くことが難しかったですから、今すぐ土砂が崩れる、と言う可能性はかなり低いのではないかと思います」


「そうですか。では、徒歩ではなく騎馬ではどうですか?」


「それも問題はないと思います。木々が連なっているとは言え、木々が鬱蒼(うっそう)と茂って道が塞がれているわけではありません。木と木の間隔は、かなり広がっています」


「そうですか。では、馬の足に気を付ければ、山に入ることは問題なさそうですね」

「はい」


 二人の報告は、かなり信憑性が高い。

 それで、セシルが少し考える様子を見せる。


「村には到達できたのですか?」

「村の家屋が建っているような場所は確認できました」


 それなら、セシル達も山の中を進んで行けば、迂回路まで遠回りをせずにとも、このまま村に入ることが可能かもしれない。


「わかりました。では、私達は騎馬で山に入ります。道案内をお願いしますね」

「お任せください」


 セシルがギルバートに向き直ると、ギルバートの方も、承知した、と言う風に頷いてみせる。


「問題ありません。我々も一緒に山に入ります。報告の話を聞く限りでも、一列で並んで進むのなら、問題はなさそうですし」


 ギルバートに振られて、ケルトとトムソーヤが同意する。


「問題はないと思います」


 少々、危険ではあるかもしれないが、セシルが信頼を寄せる二人がかなり確信を持っているようなので、ギルバートもその二人の報告を疑う気にはなれない。疑う気も、なかった。


「では、出発しましょう。先頭は、ケルトとトムソーヤの案内で。その後に私が続きます」

「では、セシル嬢、あなたの後ろには、私とクリストフが続きます」


 セシルの護衛が二人揃っているのは、ギルバートだって承知している。それでも、ギルバートの目の前でセシルを護れないことだけは、ギルバートも許せる状況ではないのだ。


 セシルの護衛二人の腕を疑っているのではない。


 それでも、ギルバートは、いつでも自分が手を伸ばせる場所にセシルがいなければ、とてもではないが、落ち着くことなどできやしないのだ。不可能だったのだ。


「……わかりました」


 なんだか、ギルバートの口に出されない意気込みと、真剣さを見ていたら、絶対にその提案を覆すことはないなと、セシルもすぐに悟っていた。


 そこまで、セシルのことを心配してくれなくても、セシルは大丈夫なのに。



読んでいただきありがとうございました。ブックマーク・評価★・感想・レビューなどなど応援いただければ励みになります! どうぞよろしくお願いいたします。


Bu romanı okuduğunuz için teşekkür ederiz

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