Д.а 予期せぬ - 11
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「いざとなれば、コトレアに、私の領地からの人員増加を送ってもいいよ」
「ありがとうございます、お父様。まず、それは、確認次第ではっきりすることでしょう」
「わかったよ」
「お母様には、お客様のお相手を、お願いできますか?」
「ええ、もちろんですよ」
「ありがとうございます。その他に――領地内の警戒態勢を解かず、今日は、緊急体制の警備シフトに移行」
「わかりました」
「ジャン、ケルトとトムソーヤを私に同行させます。今回は、災害区域の状況確認が第一目的だから、その準備を一時間以内で済ませておくように」
「わかりました」
「邸内の警備は、任せました」
「お任せください」
「私に同行する者は騎士が二十人。全員、災害地区に赴く準備をさせなさい。同行する者全員に、マスク、手袋の着用を。準備は全て、一時間以内に」
「わかりました」
「今の時間帯から言えば――今夜は、向こうで一夜を超す可能性が出てくるでしょう。その準備も一緒に。どれだけの被害がでているかは判らないから、最低限の医療用具と薬箱を。念の為、非常食庫を解禁します。百人程度としても、せめて数日分、受け渡すしかないでしょうね、きっと。それから、水樽を一馬車分」
「わかりました」
「フィロ、向こうの天候は、どうなっています?」
「一週間前までは、大雨が降っていたという情報は入っていますが、その後は、天候も落ち着いていたはずです」
「そう――。今夜に、大雨が降りださないことを、祈るしかないわね……」
「そうですね」
「オスマンド、同行者の携帯食の準備を。二食分ずつ」
「かしこまりました」
「領内全ての通達は、オスマンドを通すように」
はい、とまた全員が返事をする。
「状況確認の結果にもよると思うけれど、最悪――数十人、もしくは、それ以上の被害者を保護しなければならないでしょう。受け入れの対応は良いとしても、宿泊施設の確保も必要になりますね」
「それでしたら――簡易宿泊設備を、そのまま残しておきますか?」
「どのくらい、片付いたんです?」
「まだ、全テントが残っています」
大抵、豊穣祭の次の日は、宿場町の大通りを空ける為、そっちの片づけや掃除が最優先される。
それから、ぼちぼちと、簡易宿泊設備の取り外しや、野外用の休憩所の解体などが始まるのだ。
「それなら、それは残したままにしておいて」
「はい、わかりました」
「ここ数日で、災害地区への救済で、男手が必要になってくるでしょう。その場合、人手が足りなければ、一時的に小学を閉鎖して、子供達に手伝いを促すことになるかもしれません。それも、確認の結果次第ですけれど」
「はい、そうですね」
「宿場町からの出入りには、特に警戒を促すように。豊穣祭を終えているので、それほど観光客がやって来ることはないでしょうけれど、外部の出入りは、必ず報告するように」
「はい、わかりました」
「領民には警戒は促しても、警戒体制ではないことを、よく言い聞かせておいて下さい。それから、全員への状況説明を、お願いするわ」
「おまかせくだい」
「はい、わかりました」
それには、年配の男性と女性が揃って返事をしていた。
「お客様には、予定通り、このまま視察を続けてもらいます」
「はい、わかりました」
矢継ぎ早に指示を出していくセシルが、クルリと全員を振り返った。
「なにか、見逃した点はあるかしら?」
「いえ。今の所、全然、ありません」
律儀に、フィロが付け足しのように返事をする。
セシルの行動を、今、正にその目で目撃しているアトレシア大王国からの全員は――そのきびきびとした、あまりに無駄のない指示に、行動力に圧倒されて、微かに顔を引きつらせている。
「――お話し中、話の先を折ってしまい申し訳ありません」
会議室の一角で控えていたギルバートが、会話に混ざって来た。
「なんでしょう?」
「ご令嬢に同行する領地の騎士が二十名。それでしたら、我々の騎士を、二十名追加するのはどうでしょう?」
「人手が多ければ多いほど越したことはありませんが……。よろしいのですか?」
「今は、隣国から、政治的な介入で、ノーウッド王国を訪ねているのではありません。ですから、災害地区の確認や人命救助は、最優先されるべきでしょう」
「お力を貸していただけるのでしたら、こちらとしても、とても心強くはございますが……」
それでも、王国騎士団を勝手に動かして、それも、他国で全く王国とは関係のない村で、人命救助の作業をさせてよいものか、セシルも返答を濁してしまう。
「二十人を出しても、まだ半数近く、残りの護衛がこの地に残っています。今の状況を考慮しましても、左程、問題は見られません」
それで、その確認を取る為に、ギルバートの視線がレイフに向けられる。
「そうですね。この領地内への出入りは、現状で警戒態勢を取られるのなら、外部の出入り、または侵入は、ほぼ、不可能でしょう。それなら、護衛の騎士達が半数でも、問題は見られません。むしろ、その少数で確認に向かわれるのなら――ご令嬢が、かなり無理をされる可能性が出てくるでしょう。今は、あなたの立場も、その安全も、我々にとっても、とても重要なものです。ですから、騎士の同行は必要でしょう」
レイフも承諾をしてくれたようなので、少し考え込んだセシルが頷いた。
「では、よろしくお願いします。このように、他国の問題を押し付けてしまうような形になってしまいまして、申し訳ございません」
「ご令嬢が問題を押し付けたのではありませんから、そのように、気にすることはありませんよ」
「皆様のご助力に、感謝いたします」
話が決まったようなので、ギルバートも座っているカウチから立ち上がる。
「では、我々の騎士にも、準備をさせましょう」
「皆様には、まず、数日分の着替え程度の荷物を準備するように、お伝えください。今は、状況確認が最優先ですので、そのまま、あの領地に留まるかどうかは、判断できませんので。その他の必要物資は、こちらで用意いたします」
「わかりました」
「オスマンド、その準備もよろしくね」
「かしこまりました」
「では――話がまとまったようなので、皆、準備に取り掛かってください」
読んでいただきありがとうございました。
Twitter: @pratvurst (aka Anastasia)
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