Д.а 予期せぬ - 07
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楽しいランチも終わり、ショッピングモールを後にした全員は、食後の軽い運動に、領地内の大通りを少しブラブラと散歩することになった。
オスミンは、おいしい料理をたくさん食べることができて大満足だ。
レイフは、全く見知らぬ料理を口にして、更なる探求心に火が付いてしまった。
リドウィナは静かに控えているが、嬉しそうに小さな笑みを浮かべていることから、ランチは好評だったことが伺える。
生粋のお嬢様でも、こうやって一緒に行動している時は、リドウィナから文句が上がってきたことがない。
本人は、かなり他人に気遣う性格のようで、自分から文句を言い出したり、貴族の特権を使って威張ったりするような気概がない。
それを発見して、更にリドウィナが好きなったセシルである。
同年代の友人となるご令嬢は、リドウィナが初めてである。リドウィナは、まだセシルに遠慮している様相が伺えるが、それでも、セシルの領地でのステイを満喫しているような様子は簡単に見て取れる。
この視察旅行をきっかけに、リドウィナとはもっと親しくなれそうな予感がするセシルだった。
そんなのんびりと、なごやかな散歩中、突然、どこかから激しい鐘の音が鳴り響く。
その音を聞いた瞬間、鐘が鳴った場所の方にセシルがパッと顔を向け、なにか――空を睨んでいるかのようだったのだ。
「セシル嬢、どうかしましたか――」
心配そうにギルバートがセシルに問いかけたその時、セシルが手を上げてギルバートを止めた。
そして、また、なぜかは知らないが、続けざまに鐘が鳴り響くのだ。それも、一度だけではなく、何度も何度も、続けざまにも聞こえなくはないほどに、鐘が激しく鳴っていたのだ。
これは、騎士団に教え込んだ“モールス信号”の連絡方法である。
領地内でも響き渡るように、大きな鐘を騎士団側の方に取り付けたのだ。一応、今では、宿場町の両方の領門側にも、少し小さめではあるが、緊急の連絡用に鐘は設置してある。
少し顔を上げるようにして、今まで鳴り響いている鐘を聞いていたようなセシルが、ギルバート達に向き直った。
「申し訳ありませんが、召集がかかりました。私はこの場を失礼させていただきますね。皆様は、どうか、視察をこのまま続けてください」
「私もお供します」
王国からの客人をもてなしているセシルの視察中に、セシルを直接呼び出してくるほどの問題か、事態が発生したのは明らかで、ギルバートも微かに警戒をみせる。
「いいえ、どうか、ご心配なさらないでください。皆様は、ここに滞在される日数も限られていらっしゃるのですから、このまま視察を続けてくださいませ」
「では、兄上達はそのように」
ギルバートの目は、セシルが何を言っても絶対に引く様子はない。
今は言い争っている暇はないだけに、セシルも仕方なく頷いた。
「わかりました。では、こちらへ」
「我々も一緒に」
「いえ……」
「大丈夫ですよ。ご令嬢の邪魔はしません。この様子なら――迎えがやって来るのですか?」
「ええ」
「それなら、その後、我々は視察を続けさせていただきましょう。今は――この場から移動した方が良いようですからね」
レイフが何を考えているのか、知りたがっているのかは不明だが、レイフとも口論をしている暇はない。
それで、セシルは頷いて全員を促すようにする。
「おいで、オスミン」
レイフは小さなオスミンをさっさと抱き上げて、腕に抱えるようにする。オスミンも今の緊張した状況を悟ったのか、文句も言わず大人しくレイフの首に掴まっている。
セシルは足早に進んで行き、すぐ近くの角から裏手に行くかのように、通りを進んで行く。
その裏通りを進んで行くと、全員が移動に使う道路にすぐ出てきて、所々に設置されている待合用の停車場に真っ直ぐに進んで行く。全員もセシルの後について、ゾロゾロと進んでいた。
セシルは待合用の停車場に設置されている小さな鐘を鳴らし始めた。
カンカン、カンカン――――
鐘の音が鳴り響くとすぐに、視界でも確認できる一人の騎士が、馬で一本道を疾駆してきた。
「マスター」
すぐに馬から飛び降りてきた騎士が、セシルの前で一礼する。
「こちらを」
「ええ、借りるわね」
騎士から馬の手綱を受け取ったセシルが、少しだけ後ろを振り返る。
「では、皆様、少しの間、失礼させていただきます」
簡単な挨拶を済ませたセシルの視界が――ガバッとひっくり返っていた。
一瞬、その状況が理解できなくて、セシルも瞠目する。
「こちらの方が早いので」
いきなり、セシルはギルバートの腕の中に抱き上げられていたのだ。
ギルバートは全くそんなことに構わず、セシルを抱き上げたまま、簡単に馬の上に跨っていく。
「後は任せた」
「おまかせください」
クリストフが頷くのを確認し、ギルバートが片腕でセシルを抱え、反対の手で手綱を引き寄せる。
「こちらの方が簡単ですので」
理由の説明を促しているであろうセシルの無言の視線を受け取って、ギルバートが、いけしゃあしゃあと、そんなことを口にする。
だが、二人を乗せた馬がすぐに走り去っていた。
「では、失礼致します」
セシルを迎えに来た騎士は軽く頭を下げると、全員が通って来た裏道の方に駆け出していく。
「どうなさいますか?」
「少し待とう」
「わかりました」
「よろしいですか?」
リドウィナにも問われ、リドウィナが頷く。
「は、はい……。もちろんです」
それで全員がその場に残っていると、すぐに先程の騎士が駆け戻ってきたのだ。だが、その後ろに3~4人の男達も一緒に連れて。
騎士と男達は待合用の停車場の裏に走っていき、そこから繋いであった余分の馬を出してきた。そして、小さな荷車のようなものを、男たちが引っ張ってきている。
「それで邸に戻るので?」
レイフから質問されて、パっと、振り返った騎士が、すぐに頷いた。
「はい、そうです。これは連絡用に使われている荷馬車でして」
「そうですか。その大きさなら、我々も入るようだ」
「えっ――?!」
「一緒に同乗させてもらいたい」
「あの、それは……」
騎士の顔には、素直に困惑だけが浮かんでいた。
読んでいただきありがとうございました。
Twitter: @pratvurst (aka Anastasia)
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