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Б.а ブレッカの地にて - 10

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 この口調。


 何度も盗んだものを、横流ししていたような話し振りである。この駐屯地に、頻繁に、盗品を買い付けにくる闇業者がいるようである。


 こんな駐屯地で盗むものなど――食料? 武器?


 まあ、その程度だろう。


 それでも、()()()にはなるほどには、頻繁にやって来ているらしい。


「躾もなっていなければ、締まりもない隊のようですね」

「どうやらそのようですね」


 軽蔑も露わに、イシュトールとユーリカも、捕縛した兵士達を()め付ける。


 この地の隊を統括しているらしい中尉という男も、失礼極まりなく下品な男だ、と二人も(腹立たし気に) 思ったことだったが、まさか、その下士官である兵士達も同様に、礼儀知らずのロクデナシだったとは、思いもよらなかったことだ。


「駐屯地で盗みを働くなど、腐り果てていますね」

「確かに。これは、この場にいるだけで、警戒しなければならないでしょう」


 敵の部族連合が攻めてくる――なんて、心配する次元の前に、味方であるアトレシア大王国の王国軍を、部族連合以上に警戒しなければならないなど、一体、誰が考えただろうか。


「その三人を木に縛りつけておきなさい。面倒だから、朝を迎えるまで、そこに放置しておいても構わないわ」

「わかりました」


 イシュトールとユーリカがリアーガの隣に行き、自分達の所持している革紐で、その男の腕を縛り上げる。


「――ああぁ……、どうかっ、見逃してください……。もう、しませんからっ!」

「うるせーよ」


 ガツンッ――と、リアーガが軽く一発男をぶん殴る。それで、うるさい男達を、簡単に気絶させていた。


「おい、お前ら、この足の縄、外してくれよ」

「わかりました」


 ハンスが持っていたかがり火をフィロに手渡し、ケルトはボーガンをマントの中にしまい入れる。

 二人は器用に、テキパキと、男達の足を縛り付けている縄を外していく。


「手慣れてるなあ」


 その様子をただ傍観していたジャールが、素直に感心している。


「彼らは、この程度の罠を仕掛けるなんて、朝飯前なんですよ」

「そいつはすげーな」


 そう言えば、遅くなった夕食を終えた後、子供達は、なにやら忙しく土を掘り起こしたり、穴を掘ったりしていたような?

 まさか、あの時からすでに、ここら一体に罠を仕掛けていたなど、大したものである。


η(イータ)ι(イオタ)、もう一度、ここらの警備を確認してくれませんか?こんな夜中ですけれど」

「いえ、構いません。マスターは、もう、戻っていいですよ」


「いいえ。終わるまで待っているのは、問題ありません」

「ですが、ここにいても、することはありませんよ」

「そうですけれどね」


 そうこうしている間に、リアーガ達がすっかり盗賊二人を木に縛り付け、グルグル巻きにしていた。


「まったく、初日からこうかよ。先が思いやられるぜ」

「まったくだ」


 躾もなっていなければ、締まりもない隊なんて、盗賊団よりも、遥に面倒事だ。


 個人個人で好き勝手やって、誰も取り締まる者もいず、毎回、毎回、こんなロクデナシ共を相手にしなければならないなんて、セシル達も災難だ。


 セシルがジャールとリエフに向いた。


「うるさい騒動で叩き起こされてしまいましたが、もう、戻っていいですよ。今からでも、睡眠を取っておくべきでしょう」


 チラッと、子供達の方に視線を向けると、子供達は大人など全く必要なく、さっきまで地面に出ていた縄から、罠から、仕掛けから、その全部を元通りに修復している。


 その手際よさも、見事なものだ。


 それで、ジャール達には出番がないようなので、ジャールも頷いた。


「見張りはどうする?」

「誰か近づいたら、一応は仕掛けがあるので、今夜はもう大丈夫でしょう」

「まあ、それならいいが」


 じゃあな、とジャールとリエフは、簡単にその場を去っていた。


「フィロ」

「はい」


「日記付けは明日――もう、今日ですけれど、起きてからでも問題ないですよ」

「わかりました。ご心配なく。()()()()()()()()()()()()()()、日記をつけますので」


 ものすごい不敵な薄い笑みを口元に浮かべ、暗闇でもはっきりと判るほど――極悪そうな意地の悪い顔をみせて、フィロが返事をした。


 ええ、分かっていますよ……。


 フィロは、本当に()()()()()()()()()()付き人ですからねえ……。


 それで、学園にいた時も、何度も助けられたことか――



読んでいただきありがとうございました。

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