表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
378/551

* Б.в 戦場で *

ブックマーク・評価★・感想・レビューなどなど応援いただければ励みになります! どうぞよろしくお願いいたします。

「うーん……、困りましたわねえ……」


 セシルの前で、母のレイナが真剣な面持ちで、真剣に悩んでいる。


 今日は、今夜の婚約の儀に向けて(しっかり) 準備中。


 セシルが持参してきたドレス選びで、母のレイナと二人の付き人の侍女達が、セシルの客室にやってきていた。


 三着のドレスを着終わったセシルの前で、レイナも、どのドレスにしようか困ってしまう。


 だが、突然、うふふと、なんだかおかしそうに、レイナが笑い出すものだから、セシルも不思議そうだ。


「どうしたのですか、お母様?」


「いえね、このように、セシルさんのドレスを選ぶ機会など、今までありませんでしたでしょう? ですから、母親として、娘のドレス選びができるなんて、嬉しいですわぁ」


 そう言えば、セシルはあまりに自立しているので、おまけに、セシルの洋服の好みが(かなり) 違っているので、セシルのドレスは、セシル自身がいつも選んでいるものだ。


 セシルの洋服も、セシル自身が選んでいるものだ。

 そのどれもセシルに似合っていて、文句のつけどころがないけれど、母親としては、娘のドレス選びに、一つや二つくらいの楽しみはあってもいいはずだ。


 それで、今夜の為にドレス選びをしているこの状況が、レイナには嬉しかったのだ。


 セシルが試したドレスは三着(ついつい、説明。想像しやすいように)。



 まず初めに、エンパイア・スタイルのドレス。

• 胸下のハイウェストが基本で、ドレス地がオリーブグリーン(Olive green)


• 柔らかな布が流れるように滑り落ち、女性らしいラインを見せている


• その上に、前開きで、赤身のかかったローズグレイを基本とした飾りだけのドレスの上着を着こみ、豪奢な刺繍が一面に縫い込まれている


• 鈍い金色に見えがちな刺繍は、ウィローグリーン(Willow green)だ。下のグレイの色に反射して、鈍い金色に見えるものだ


• このドレスは、しっとりとした大人の魅力を引き出すにピッタリなドレスで、刺繍は豪華にしているが、暑苦しくないデザイン



 次に、ロココ調後半、またはヴィクトリア時代にさしかかるような、ローグ・ア・ラングレーズに近いドレス。


• 清潔さが漂うライトブルーのローグ・ア・ラングレーズの上着は、襟元と袖口にレースをつけて


• 下に()くジュップ(スカート、ペチコート)は、クリーム色のふっくらと自然な膨らみを


• パニエやヴァトプリーツを取り払って、身軽な形



 最後に、ヴィクトリア時代のオフショルダードレス。


• 形的に言えばシンプルで、ドレスのスカートが、何枚にも重ねられたペチコートで膨らんでいる、優しい雰囲気のドレスだ


• ダークグリーンのドレスは光の反射で、ところどころが、青みがかった色合いを輝かしている


• ドレスのスカートには、豪奢にダークゴールドの刺繍を縫いこんでいる。ウェストを強調させる為に、ウェストの部分にも、刺繍を縫い込んだ飾りをつけ、肩にも同じような飾りをつける


• あまり“可愛らしさ”ばかりを強調しないように、それでも、シンプル過ぎない女性らしさを加えて、ドレスのスカートの裾には、刺繍と同じ色のレースも少しだけ取り入れて



「そうですわねぇ……。どのドレスも素敵ですけれど、2番目に着たドレスは、お茶会などにピッタリですわよね。午後の明るい日差しの元なら、とても生えると思いますわ。ですが、婚儀は夜からで、シャンデリアの灯りの元では、薄い色が、少々、かすんでしまうかしら?」


「そうかもしれませんわね」

「1番目と3番目のドレスかしら?」


 どちらも甲乙(こうおつ)つけがたいのだが、今回は、3番目のドレスだろうか。


 3番目のドレスは、流行(はやり)のフワフワしたドレスではないが、それでも、ペチコートで含ませたスカートのボリューム感が出ていて、存在感が強調できる。


 深いダークグリーンは、セシルの藍色の瞳にもよく生えていた。

 刺繍も豪華なので、格式があるように見え、深いダークグリーンは(おもむき)が感じられる。


「やっぱり、3番目でしょうかしら? セシルさんは細身ですから、目立つ為には、少し、スカートでボリュームも見せるべきですものね」

「わかりました」


 どうやら、今夜のドレスは決まったようである。


「セシルさんのドレスも決まりましたし、ミイナ、あれを持ってきてくれない?」

「かしこまりました」


 後ろ手控えていた年配の侍女が頭を下げ、向こうの飾り棚に置いていた箱を持ってくる。


「どうぞ、こちらでございます、お嬢様」

「なにかしら?」


「セシルさんの宝飾ですわ」

「宝飾?」


 それは予想していなくて、セシルが手の中にある重厚そうな箱を開けてみた。


「このような、豪奢な宝飾……。わざわざ、用意してくださったんですか?」


「ええ。オルガから、大体のドレスの構想は、聞いていましたのよ。それで、旦那様にお願いして、急いで作らせましたのよ。鈍いガーネットと金を合わせてありますから、3番目のドレスのダークグリーンでも、合うと思いますの」


「まあっ……! ありがとうございます、お母様」



読んでいただきありがとうございました。

一番下に、『小説家になろう勝手にランキング』のランキングタグをいれてみました。クリックしていただけたら、嬉しいです。


Twitter: @pratvurst (aka Anastasia)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Funtoki-ATOps-Title-Illustration
ランキングタグ、クリックしていただけたら嬉しいです (♥︎︎ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾
小説家になろう 勝手にランキング

その他にも、まだまだ楽しめる小説もりだくさん。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ