表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
338/551

* Е.д これからは *

ブックマーク・評価★・感想・レビューなどなど応援いただければ励みになります! どうぞよろしくお願いいたします。

「ああぁ……、疲れた……」


 ベッドの上で、お行儀悪く両手両足を広げながら、横になっているセシルは、今日一日の仕事を終え、大きな溜息(ためいき)を吐き出していた。


 豊穣祭前は、大抵いつも、怒涛の嵐のど真ん中を進んで行くかのような多忙さを極め、豊穣祭を終える前では、一息つける暇もないほどの時間が限られている。


 豊穣祭を無事に終わらせ、やっと、一息がつけると思いきや、次に、年末調整の決済があって、来年度の予算案決定が待ち構えている。


 だから、セシルの場合は、年末を無事に終わらせられると、お正月の一日、二日ほどは、仕事を入れないようにして、完全な休息日としていることが多い。


 前世(なのか現世) の時なら、年末・年始はビッグイベントが続いていて、どこの家庭でも大忙しなものだ。


 クリスマスでパーティーを終えれば、年末の仕事治め、年末大掃除などで、除夜の鐘を聞き、新年を迎える。


 その間、お節料理を作る家庭では、新年のご馳走に向けて料理で多忙を極めてしまう。

 新年では、お正月料理を満喫し、初詣に行ったりと、皆がウキウキと浮かれている大イベントだ。


 そうやってお祝いする楽しみがあるのだったが、セシルの場合、あまりに一年が多忙過ぎて、お正月だけは、一切、何もしないことにしたのだ。


 寂しいことながら、お節料理はない。


 新年を祝って、そう言った習慣を作っても良かったが、すでに、豊穣祭で心身共に疲弊しきってしまい、年末で完全燃焼になってしまう為、お正月だけは、一切何もしない習慣が出来上がってしまった。


 残念なことだ……。


 今年の豊穣祭も大賑わいをみせ、領地全体での収入上昇も問題なく見られている。


 セシルだけではなく、財務部だってホクホク顔で、他の部署の主任達も、豊穣祭後の売り上げから来年度の予算が少し上げられるかな? との期待で、彼らもホクホク顔だ。


 そして、領地では、すでに、来年の豊穣祭に向けての計画が立てられ始めている。

 やっと、豊穣祭を終えたばかりだと言うのに、領民はすでに来年の豊穣祭を計画しているのである。


 なにしろ、来年は、特別な一年なのだ。

 セシルがこのコトレア領に移って来て「領主名代」 となってから、来年は十年が経つ。十年の特別記念なのだ。


 それで、領民全員が十周年を祝い、盛大なイベントを企画しているのだ。


 まあ、正直な話、セシルも来年の十周年記念祭には、かなり期待をしている方だ。


 今まで、怒涛のような勢いで、この十年を乗り切って来た。生き抜いてきた。生き延びて来た。

 毎日が戦いで、休まる暇もなく、休まる時もなかった。


 それでも、今まで成し遂げて来たことに、その結果に、セシルも不満はない。

 これからも、まだまだ走り続けていくだけだ。


「はあぁ……」


 それでも、心意気は決まっていても、身体的な疲労には勝てない。

 若さで乗り切ろうにも、さすがに、限界があるだろう。


 明日は、仕事を減らし、少し休憩を取るべきだろうか?


 なんだか……思い起こせば、今年もまた、色々な行事があったものだ。色々な経験をすることができた。


 (しょ)(ぱな)からアトレシア大王国の夜会に招待されて、またも、隣国を訪ねることになってしまった。

 それからも、アトレシア大王国とのイベントは続き、多忙だった。


 セシルとしては、当初の予定として、セシルの婚約解消が済んだのなら、それからは、コトレア領の統治に専念して、余計な召集がかからない限り、ノーウッド王国の王都からも、王宮からも離れ、静かな余生を送るつもりだった。


 静かで、平和な日々を過ごす予定だった。


 うーん……。


 今の所、平和、ではあるかもしれないが、静かで――という部分は、満たされていないかもしれない。


 行事続きで、どうにもこうにも落ち着かない日々が続いているような?


 これからは、静かで平和な日々がやってくるといいのだが。


「なんだか、勢いだけで……毎日が過ぎて行っているみたいねぇ……」


 半分は、セシル自身のせいなのだが。

 なにしろ、セシルは行動が早い。即決定で、即実行、だ。


 別に、それをモットーとしているのではないが、何事にも無駄を嫌うだけに、時間の無駄も嫌だし、労力の無駄も嫌だし、お金の無駄も嫌だし、色々である。


 問題点が上がって来ると、



「なにかしら、これ? なんて、無駄なこと」



などと、ついつい、速攻で、その“無駄”を解決してしまう癖がある。


 だから、今までだって、スローダウンできただろうに、セシルの性格が伴って、なんでもかんでもものすごいスピードで終わらせてしまった。終わってしまったのだ。


「ちょっと、スピードを下げるべきかしら……?」


 今は若さで乗り切っているが、いつまでも、この調子で仕事を押し進めていくことには、無理が出てくるだろう。


 来年は、十周年記念にもなるし、そろそろ、スローダウンで仕事をこなし、終わらせていることを検討してみるのもいいかもしれない。


「少しは、落ち着きをみせろ、ってことなのかしら?」


 セシルの行動は素早いものでも、だからと言って、いつでもどこでも急ぎ足、というのでもない。

 セシルの性格だって、忙しないのではない。


「うーん……。仕事を詰め過ぎているのかしら?」


 一日に終わらせる仕事の量を決めて、それ以上は無理をしない、など?


 それは、セシルもできそうな方法だ。


 これからは、静かで平和な時間を過ごせるように、セシルも来年からはちょっとした改善を試みようかしら?


 ある程度の目標も決まり、セシルは心地よい眠りに落ちていた。




読んでいただきありがとうございました。

一番下に、『小説家になろう勝手にランキング』のランキングタグをいれてみました。クリックしていただけたら、嬉しいです。


Twitter: @pratvurst (aka Anastasia)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Funtoki-ATOps-Title-Illustration
ランキングタグ、クリックしていただけたら嬉しいです (♥︎︎ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾
小説家になろう 勝手にランキング

その他にも、まだまだ楽しめる小説もりだくさん。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ