新たな舞台で
ここはどこだ…と目を覚ます。
目を開け、広がっていたのはとある国か?それとも町の風景だった。
この世界で暮らしているのは自分と同じ種族、人間だけではなさそうだった。
亜人、獣人、悪魔、リザードマン、見た感じこのくらいの種族しか分からなかったが、多分もっといるだろう、この世界では色々な種族が共存して暮らしているように見えた。
「そっちへ逃げたぞ、全力で捕らえろ!」
「捕まるかってーの」
なんだか、周りが騒がしい、なんだろうと思ったが、そんな寄り道をしている暇はない、ここはどこなのか、宿などを探す必要がある、ポケットやポーチの中を探ってみた、ポーチにはお金らしきものが入っていた、これで宿は取れる…と思う。
とりあえず宿を探そう。
そう思い、歩き出した瞬間、目の前から小さな少女が突っ込んできた。
「うわぁ、お前じゃまだ!どけぇええ」
その少女との距離は、およそ数メートルどけと言われて、退けるほどの時間はなかった、そこで少女と僕はぶつかった。
「いってぇ…てめぇ気をつけろよ!」
その一言を、僕に言い放ち少女は、一目散に走り去って行った。
そして一人の武装をした男の人が僕の手を取った。
「君大丈夫かい?お前ら!立ち止まってないで追いかけろ!ごめんね、もし怪我などをしていたら言って欲しい、治療させてもらうから今はあのコソ泥を負わないといけないだから行かせてもらう、すまないね!」
そういうと、颯爽と男の人は去っていった。
今の男の人は騎士と言ったところだろうか?警備隊と言ったところだろうか、まぁ怪我などは特にしていないので世話になることはなさそうだった。
だがあの男の人にはどこ懐かしさを覚える何故だろう…。
とりあえず宿に目指すことにした。
快眠堂という宿屋?にたどり着いた。
街の人に聞くと、ここがおすすめの宿屋らしい。
宿屋に入ろうとした次の瞬間……
「てんめぇえええええ」
何者かが荒声をあげて、僕にドロップキックをした。
その衝撃で僕は吹き飛ばされ、路地の行き止まりに体をぶつけた。
ふと目を覚ますと、小型のナイフを首に向けられていた。
「おい、お前自分が何したかわかってんのか?」
検討がないと、手を振ろうとしたが、手を上げた瞬間、目にも止まらぬスピードで僕の手は踏まれた。
「シラを切るなら、殺るぞ?お前があたしのブローチを盗んだのはわかってんだよ。」
ブローチ?
「は?お前マジで知らないのか?あーもう」
首に向けられたナイフはポケットにしまわれ、少女は僕のポケットやらポーチやらを探り始めた。
少女はこれだこれだと安堵の表情を浮かべながら、僕のポーチの中から取り出したブローチを僕の顔に押し付けてきた。
「とってんじゃねぇーか」
「だからとってないって」
この一言が僕のこの世界での初めての一言だった。
「ポーチの中に入ってただろ?」
「だから知らないって」
あぁもう、と少女は頭を掻き、僕にこう言い放った。
「次は許さねぇからな!本っ当に!」
少女は、とても怒った様子で走り去って行った。
路地に差し込む太陽の光が、少女の茶色い綺麗な髪を輝かせ、その姿は「神」と称えられても文句のつけ所のない神秘さだった。
茶色の髪?とふと疑問に思うが、まぁいいかと開き直り路地から出た。
さて、ようやく宿に入れる。
宿のドアを開け、宿を取ろうとした。
「一泊十ラナ、契約なら千ラナだよ」
ラナ?と思ったがとりあえず契約の方が都合が良さそうなので前の世界での千の通貨を出してみた。
「なんだい?このお金は冷やかしなら帰っとくれ!」
あっさりと追い出された…この世界ではこのお金は使えないのか。
「これやばくない?」
あ、これやばいわ。
頼れる人もいない、知ってる人もいない。
詰んだ。
まぁとりあえず人通りの少ないところで一晩終えることにした。
なんだここは、見るからに雰囲気の悪い静かでとても活気がなくさっきまでいた町とは全く違う廃れた村みたいだった。
だが人がいないならここで寝ればいいと思い廃れた村に入ることにした。
とりあえず適当な家におじゃますることにした。
人がいればよし、いなければそこで寝ればいい。
我ながらいい案だと思った。
「ん?はぁ!?なんだアイツここにいるんだよ!これはまずい!ここにいたら殺されるぞ!」
ここはスラム街だ、そしてここにはあいつの手先がいる。
確実に殺られる。
なんだあたし助けようとしてるんだよ。
あいつにはなんの未練も無いはずだ。
だが体は動いていた。
あいつを助けないとこの世界が終わる気がしたからだ。
あたしは名前も知らないあいつを命懸けで助けることにした。
トントンとドアノックし、誰もいないと
判断した僕は、その家に入ることにした。
「おじゃましまーす」
少し鉄の混じった変な匂いはするが二日は住めそうだった。
そう思い、椅子に腰掛けた。
その時だった、後ろから迫るとてつもない強圧感、その場を凍らせるような存在感が後ろに近づいていた。
「あらあらぁ、お客さんかしら?」
本能的に、僕は後ろにいる化け物に胸を向け、構えた。
「あら、私の強さがわかるのかしら?あなた強いのかしら?いやただただ本能的のものか」
ピエロみたいな化粧に、タキシード姿の男だった。
「私にもう身がえまえてるならもう無理ね…殺しましょうか」
男は、笑い手品みたいに、手から剣を取りだした。
まずいと思い逃げ出そうとした次の瞬間もう男の剣先は、僕の首元にあった。
あっ終わった。
「させるかああああああああぁぁぁ」
刺されると思った瞬間だった。
目の前にあった剣先が、頭に変わっていた。
よーく見てみると、その頭の正体は、さっき蹴り飛ばされた少女のものだった。
少女は、男の剣の二分の一にも満たない短剣で、男の剣を相殺した。
「大丈夫か!?何もされてないか!?」
うん。と答える。
そうか…と安堵の表情を少女は浮べる。
「あらぁあなた本っ当に癪に障るわねなんでそこまで私の邪魔をするのかしら、というか騎士共はまた捕まえられなかったのね、お仕置きしないとね…」
男は笑いながらゆっていたが心の底ではとてつもない憎悪で満ち溢れている気がした。
「まぁ、あなたが自分から顔を出してくれたのは好都合だわ、殺しましょう」
「まずい!逃げるぞ!」
「逃がすわけがないでしょう?」
男はそう言い、手を振ると窓やドア所々が元通りになり、それを覆い隠すように氷で塞がれた。
「ちっ!使うしかないか……」
「使うしかないって……まさかあなた!」
へへぇとくすくす笑いながら少女はポケットの中から何かを取り出す。
それは何故か僕のポーチの中に入っていたブローチだった。
そのブローチは僕の前に来た途端光始めた。
「これがなんでお前のポーチに入ってたのかわかったよ、このブローチは英雄になれるやつに反応する、お前英雄の血とか継いでるのか?」
全く知らないと答える。
「そうか…じゃあ神からのお恵みってやつだな、今は本当に好都合だ!この力を存分に振るえる!」
少女がブローチを前に出し声を大きくし唱えた。
「目覚めよ!我が力!大地の権能を発揮し暴れろ!大地滅殺!」
少女がそう唱えると、まず家が真っ二つに割れるように破壊され所々から岩の柱が飛び出してきた。
地割れの中から無数の石が出てき、男に襲いかかった。
「ちっ!これは逃げないとね……」
「今のうちだ!逃げるぞおお」
少女に手を掴まれ、僕達は一目散に逃げ
出した。