緊急報告 by日本
〜空母『赤城』艦橋〜
空母『赤城』艦橋では数人の男達が地図の貼られた机の周りを囲んでいた。
「そんな話、私は聞いたことがない」
1人の男が凄みを利かせて言った。
「いや、それは私も同じだ」
その様な意見が周りからも出た。
こんな状況になったのは味方潜水艦からの緊急報告であった。
~数分前〜
セイロン島方面機動作戦が発令され、インド洋に入り作戦決行日まで一週間程度になった司令部では作戦の最終段階の調整を行なっていた。
そんな時、味方潜水艦からの幽霊を見たかのような緊急電が届いた。
内容はこうだった
[セイロン島沖ニ日章旗ヲ掲ゲタ単独行動ノ不審船ヲ確認 十八ノットデ北東ヘ向ケ航行中]
ここまでは“まだ”普通の報告である。
潜水艦からの報告なのでおそらく日章旗と他の旗を見間違えたのであろう。
しかし何故そんな事で報告するのだ?
臨検を行い、拒否するなら撃沈は可能な筈だ。
皆大体これに似たような事を考えていた。
しかし、問題はこれであった。
[不審船ハ全長二百五十メートル以上 艦後方ニ大型艦橋ヲ備エ甲板ハ構造物ヲ確認デキズ]
明らかに色々がおかしい。
まず全長二百五十メートル以上の船というのは帝国海軍にも現状片手で数えられる程しか存在しない。
今我々が乗船している『赤城』と現在本土で訓練中の『大和』そして作戦の為同伴している『翔鶴』『瑞鶴』
だけである。
そもそもそれだけの船を建造できる造船所は限られているのだ。
それに上部構造物が艦橋だけと言うのも変だ。
基本船の上部構造物というのは輸送船ならクレーンがゴタゴタしていて船の真ん中あたりに艦橋が存在する。
これだけの大きさ、バレずに建造できるとすれば英国か米国の工廠しかない。
となると、空母なのだろうか。それにしては護衛が一隻もいないのはおかしな話だ。
もはや常識に当てはまらない。
そしてトドメに
[マタ 武装ヲ確認デキズ]
これで完全に頭が振り切れた。
最後の報告の数秒後、
「それはもう完全な誤報だろう!」
参謀の1人がついに切れた。
その中で意見を提出する者もいる。
「その様な報告、無視するべきです」
「ありえない様な内容とはいえ無視は駄目だろう、駆逐艦数隻を派遣して捜索を行うべきかと」
「いや、艦攻を使っておく方が良いでしょう」
さまざまな意見が出る。
その意見を聞き、南雲忠一司令長官は
「念のため不審船の捜索を行う、詳細は草鹿参謀長に任せる」
その宣言の後、議論の声に足音まで加わり見張り員は寝不足になったそうな。
はい、どうも作者です
すいませんでしたァァァァッァァ という訳で短いですね