タンカー、行方不明になる
「一体どうなってんだ!!!」
おそらく艦橋に詰めている全ての人が思った事を艦長の裏山が叫んだ。
裏山が叫ぶおよそ半日前、タンカーはインド洋の行程も半分を過ぎて
ベンガル湾に入った頃、タンカーは予定にない猛烈な嵐に遭遇した。
嵐を避ける為に独断で航路を変更したものの既に嵐は迫って来ており
タンカーは否応無しに嵐に突入した。
いくらVLCCとはいえ所詮は船、上下左右に揺れ続けてた。
最悪の事態に備えて裏山は船の現状を本社に方向した。
《現在本船は猛烈な嵐に突入。到着予想時刻に遅れる可能性有り現在位置、、、、、、》
これを送信後、タンカーはモロに横波を喰らい艦橋にも波が到達しアンテナを損傷。
各種電子機器がダウンし、位置情報も喪失した。
かと言ってこの嵐で乗員を外に出す事もできず、船長以下乗員は危機的状況になっていった。
それから約一時間後、未だに嵐から抜け出せずにタンカーはいた。
この間にも海に逆らい続けたタンカーには疲労が蓄積し、ついに綻び始めた。
鳴り響く突然の警告音と船の損傷を知らせるレッドランプが点灯、
「左舷後部より第三通路付近に浸水発生!!!
応急科は速やかに現場にて修理を開、、、」
突然船に激震が走った。
悪い事は重なるものでこの時艦橋付近に大波が直撃、乗員の全てが倒れる事となる。
それが合図なのか、次第に嵐は収まっていった。
浸水箇所も応急処置が上手くいき最小限の被害に留める事ができた
しかしエンジンルームは最大速力で走り続けた上に嵐で揺れ続け換気ファンも使えず
三十℃以上の暑さとなっていたが乗員達は嵐を抜けた事を喜び、
インドの太陽も褒めるかの如く照っていた。
しかしそれは次の『大嵐』までの余興であった。
どうも作者です。
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