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阿吽の夜叉  作者: 鹿山
第壱幕 落果と蠢動
19/27

第壱幕 朝霧備忘録

 朝霧備忘録(あさぎりびぼうろく)では、この物語での妖や鬼の生態、異形殺しについての設定をまとめております。

 今回は、第壱幕で登場した異形たちの生態を主に記しています。

 また、こちらの備忘録は読まれずとも、引き続き物語は楽しめるものとなっております。



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<世界観>


 〇人間は陰陽の〝陽の気〟を生命力としているように、妖は〝陰の気〟を生命力としている。また、植物や野生動物の多くは自然界の〝霊気〟を生命力としているという。

 

〇〝呪瘴(じゅしょう)〟とは、人間や異形のような陰陽の気を強く持つ存在の思念や魂の残滓から生まれる、毒気を指す。この呪瘴の毒気に中てられると異形は魂が壊れて自我を失い、いずれ身を滅ぼす、必滅の呪いに囚われるのだ。だが、人間に関しては死までは至らないが酷く心身を病むとされる。



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〈 妖・妖怪 〉

 多くの人間たちには見ることも、感じることもできぬ、妖怪・物の怪・化生といった異形共の総称。

 陰の気(妖気)を力の源として生きる異形。



 ○鬼堕ち(おにおち)

 死んだ鬼の魂よって引き寄せられた、強い思念に妖気、怨霊、自然界の霊気等さまざまなものが混ざると、特殊な呪瘴になる。この鬼の呪瘴に中てられた妖共は、普通の呪瘴に狂った妖よりも何倍も恐ろしく強力な怪物と成る。それが〝鬼堕ち〟。

 その証に鬼堕ちの頭には、折れた角のようなものが額に見られる。それが非業の死を遂げた鬼共の〝呪いの痕。


 ────────────────────



〈 鬼 〉(おに)

 (いにしえ)では屈強な巨躯(きょく)に、角や鋭い爪、様々な色彩の毛髪や肌の色を持ったとされる異形。陰の気(妖気)と陽の気を半々に持つ、人間とも妖とも言えぬ存在。その陰陽(いんよう)の入り交じった妖気は、あらゆるモノを惹き付ける性質を持つ。

 現代の鬼の多くが人間態の姿を持ち、その姿に化けて過ごすことがほとんど。


 古い鬼の血が強いモノ(純血種)は、鬼特有の鮮やかな色彩が肌に現れるが、現代の鬼の多くはその色彩が毛髪に現れる。



 ○水鬼(すいき)

 水面の如き透き通った髪や肌に鱗を持ち、水生でも生きてゆける鬼の種。


 ○金鬼(きんき)

 金色に輝く髪や肌に、岩の如き屈強な肉体を持つ、剛力の鬼の種。


 ○土鬼(どき)

 土色の髪や肌に、水牛の如き黒曜の角と、邪気や妖気といった不浄に耐え得る肉体を持つ鬼の種。


 ○隠形鬼(おんぎょうき)

 人間に最も近い姿を持ち、化け術に秀で、影に生きる鬼の種。


 ○風鬼(ふうき)

 鴉大天狗に劣らぬ巨翼と共に、猛禽(もうきん)の如き猛き鉤爪を持つ鬼の希少種。

 鬼と鴉天狗の間に稀に生まれる。


 ○薄氷鬼(うすらひおに)

 隠形鬼に似た姿を持つが、その妖気は万物を凍てつかせるほどに冷たく、封じの術に秀でる鬼の希少種。

 鬼と雪女の間に稀に生まれる。






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<異形殺し>


害悪異形(がいあくいぎょう)討伐組織(とうばつそしき)(ひいらぎ)総連合〟


 人間に害をなす異形の討伐、または異形からの人間の防衛を目的とし、古くから影に存在する国内最大の国立異形殺し組織。

〝異形殺し〟は当初、〝鬼〟という異形より()()()()()()()()おぞましい巨大害悪異形の討伐を目的として、結成された。


 そしてその巨大害悪異形の通称──〝屍人(しびと)〟という魔を狩る者として、〝柊連〟という名がつけられたという。



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