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妖ヲトメと妖怪退治  作者: はち
7/8

綺麗な花には棘がある。

轟音が鳴り響き、思わず俺はしゃがみこんだ。

(・・っ!なんなんだ!これ!)

周りが闇に染まり、身体がふわっと浮く。

「うわあああ!」

声を上げるがどうしようもできず、なすがままにされる。


地面に足がついたかと思えば、しゃがみ込んだ俺のすぐそばに、さっきの女がいた。

笑顔である。いや、笑顔と言うには禍々しすぎる。


釣り上がった目、裂けた口。

そして髪の毛だと思っていたものは、大量の針だった。

「なっ、、、!なんなんだっ、、」


怖い。

初めて感じる、生命の危機という恐怖が、ほんの数歩先の未来に見えるのだ。

あと少し、少し動けば、何か恐ろしいことになるのではないか。

喉はカラカラになり、冷んやりと汗が伝う。


(怖い、、怖い、、。どうしたら良いんだ、、)


瞬きもできないほど、緊張と恐怖でいっぱいだった。


「あなた、私に笑い返してくれたわね。

私に微笑んでくれたわ。

だからあなたは、私のものよ。

ああ、、嬉しいわぁ、、。

私と一緒にいきましょうねえええ!!」


ねっとりするような声で喋ったからと思うと、頭の針がこちらに伸びてきた。

かぎ針状になっているらしく、制服のあちこちにひっかけられる。


「やっ、、やめっ、、」

「ねぇぇ!行きましょうねぇぇ!」


声は全く届かないらしい。ずりずりと徐々に身体を引きずられていく。


「何を。しているのか。」

急に頭上から声がした。

「、、え?」

顔をなんとか上げると、夕日に透けている、銀髪。

「さ、かき、、さん?」


危ないから逃げろと言おうとした瞬間、

びゅんっと顔の横を風が切った。


「ぎゃあっ」

引っ張られていた方向から悲鳴が聞こえ、身体の自由が効くことに気づく。

起き上がってみると、女から伸びた針は千切れて飛んでいっていた。

彼女が、蹴りで払ったのだ。

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