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最後の戦いが終わって、俺たちはニコニコ奥さんの元に行った。この奥さんも虐待の被害者だったのだろう。
「どうもありがとうございました」
奥さんは深々と頭を下げた。主人が逮捕されてどこかホッとしたような様子だ。
「いえいえ。それよりお手洗いお借りしてもいいですか?」
「ええ。今日の家のトイレは二階に上がって、右です」
俺は二階に上がった。アルとアリシアは玄関で、奥さんと談笑している。
俺は、二階に行くと、トイレを通り過ぎた。
これなら誰にも気づかれることはないだろう。そして、赤ちゃんが寝ている部屋に着いた。そーっとドアを開ける。木製のドアは悲鳴のような軋みをあげる。
ゆっくりと部屋の中を見渡した。ごく普通の部屋だ。シンプルな家具にシンプルなカーペット。その一番奥にベビーベッドがある。俺はそこにゆっくりと近づいた。
一歩歩くごとに、床が鳴く。ギシッ。ミシッ。今にも踏み抜いて下に落っこちそうだ。
俺はゆっくりと赤ちゃんのそばに行った。赤ちゃんはまん丸の可愛い顔でこっちを見る。どうやら俺の顔を覚えてくれたみたいだ。俺に向かって可愛らしい無垢な笑顔を向ける。
見ているこっちまで幸せな気持ちになる。
「よう」
俺は赤ちゃんのそばに座り込んだ。俺が赤ちゃんのほっぺを突っつくと、可愛らいい反応をした。胸の中に溜まっていたヘドロのようなものが、それだけで溶けたような気がした。
暖かな何かが胸の中に流し込まれたような気分になった。
「お前のとーちゃん捕まっちまったな」
「きゃっ。きゃ」
赤ちゃんは天使のような笑顔をこぼす。俺もつられて笑ってしまった。
「この家では虐待が起きていた。そうだよな?」