表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この小説は絶対に読まないでください 〜パワーワード〜  作者: 大和田大和
第三巻 公平の世界
94/260

第五章 ザットワズインポッシブル


俺の攻撃は、公平の国に雨を降らせた。巨大な爆音とともに、水の大瀑布が空から地上に落ちる。巨大な水の塊は、その身を小さくちぎりながら、国を濡らす。


それはまるで、空の上に海をこぼしたみたいだった。



地表では、

「ケンが勝ったみたいね」

アリシアが“晴れ渡った空から降る雨”を浴びながら言った。雨粒は日光を内部で乱反射させている。まるで光のシャワーみたいだ。



「そのようだな」

アルは空から降り注ぐ雨粒の流星を顔にかけながら言った。金髪に絡まった水滴は、宝石のように光り輝いている。



「わあ。晴れているのに雨が降っているね!」

公平の国の住民が空を仰ぐ。人生で初めて経験する不可解な天気は、とても綺麗だった。日差しの合間を塗って落ちる雨粒は、どこか不思議で美しかった。



「ママー見て! 虹が見えるよ!」

可愛らしい三つ編みの女の子がママの手を引いて、空に描かれた七色の奇跡を見せる。

「まあ。本当。とっても綺麗ね」

空一面に敷かれた虹の絨毯は、国民に幸せを分けてあげているみたいだ。



「おばあさん。聞こえますか? 虹がとっても綺麗ですよ」

介護士が車椅子の老婆に声をかける。

「あらあら。本当だね。まるで空に橋がかかっているみたいだね」

老婆はしわくちゃの顔に、笑顔を浮かべた。



空から落ちる透明な雫は、街を洗って、奇跡で満たした。雨粒の一つ一つは奇跡のカケラ。そのカケラは、次々と地面や屋根に当たって砕けた。


ポツポツと不規則なメロディーが街に喧騒を生み出す。その音は、聴く人を“奇跡を聞いている”みたいな不思議な気持ちにさせる。


雨粒は全ての人に降り注いだ。ルーレットも運も関係ない。それはとても公平な景色だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ