92/260
絶望的事実
「それでも俺は諦めない!」
再び剣を構えて、
『ピロリロリロリロピピピピピ! ピーン! 攻撃力中』
中くらいの攻撃を放つ。
おじさんは、ガードの姿勢をとる。
『ピロリロリロリロピピピピピ! ピーン! 防御力大』
再びダメージは無効化され、おじさんは上空に弾かれる。もう随分と高いところまできた。下を見たら街がおもちゃの模型に見える。
はるか上空から見下ろす世界は、下から俺を押しつぶそうとしているみたいに圧迫感がある。上を見上げると、無限大の空が惑星に蓋をするように被さっている。
その中に、冷酷な殺人鬼がポツンと存在している。顔には薄ら笑いが描かれていた。
「ケン殿、まさかダイヤモンドリキッドの効果が切れるのを待っているのかな?」
「そうだ!」
その瞬間、おじさんはニヤリと笑った。ニコニコのその笑顔はひどく歪で不気味だった。
「ならわしの勝ちじゃ」
おじさんはヒラヒラのローブの前を開けた。すると、そこには、何十本ものダイヤモンドリキッドのビンが仕込まれていた。
「効果が切れても、次を飲めばいい。もう諦めろ。ケン殿じゃわしには勝てん。不可能じゃ!」




