表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この小説は絶対に読まないでください 〜パワーワード〜  作者: 大和田大和
第三巻 公平の世界
89/260

バトルルーレットスタート!

「わしの勝ちのようじゃな!」

おじさんの出目は当然攻撃力大。


そして、おじさんの攻撃が、“俺を庇ったアルトリウスの躯体”を切り裂いた。アルは鈍い音とともに吹き飛ばされた。

「アルっ!」

血しぶきが空を染める。石畳にバケツをひっくり返したような血の池が広がる。

アルは地面に仰向けになり、こちらを見る。

「諦めるな」




そして、おじさんはさらに俺に向かって追撃をする。

「仲間が庇ったのか? 馬鹿な奴らめ。皆殺しじゃ!」


「頼む! ルーレットよ! 今度こそいい目が出てくれ! ルーレットストップ!」

『ピロリロリロリロピピピピピ! ピーン! 攻撃力小』

現実は残酷だ。


「今度こそ、終わりじゃ! 大人しく死ねっ!」

おじさんの出目は当然攻撃力大。


そして、おじさんの攻撃が、“俺を庇ったアリシアの躯体”を切り裂いた。アリシアは吹っ飛ばされ、血を撒き散らしながら転がった。地面には汚らしい轍ができた。

「アリシアっ!」

夥しいほどの出血が、アリシアの服を濡らした。攻撃力大をもろに食らったんだ。

アリシアは虫の息で、

「諦めないで」





そして、おじさんはさらに俺に向かって攻撃を放つ。

「これでもう完全に一人じゃな。さあ。いい加減死ね!」

俺は腹を括った。


『バトルルーレットスタート!』


運命の歯車が回転する。無機質な音が響く。運命はいつだって残酷だ。野蛮で残虐で無慈悲で残忍で厳酷(げんこく 酷いこと)で非道で陰惨で猛悪(もうあく 人を苦しめるような)だ。


運を味方につけることなんてできない。弱くて虫けらのような人間に運をコントロールすることなど不可能だ。絶対に無理だ。


途中で諦めてしまう人間が口を揃えて言う台詞、それは


『運がなかった』



そして多くの場合それは事実だ。全ての人間に運はない。人間の人生で“都合の悪いことが起きること”を不幸というなら、人生なんて不幸の塊だ。ただただ不幸が続く道だ。


いつも人間は運のせいにする。人の人生の九十九パーセントは運で決まる。人間にできることは最後の一パーセントだけ。


諦めないこと、それが弱くて脆い人間に許された最後のあがき。ゴミ溜めのような世界に生まれた虫けらの最後の抵抗。


諦めない人間が勝つわけではない。


諦めないことで勝利の道が開けるわけではない。


諦めなければ勝てると言う保証ももちろんない。


諦めなければ夢が叶うなんてただの妄想だ。


だけど、夢を叶えた人たちの中に、途中で諦めた人間は一人もいない。



運を味方にしようとしても無駄だ。必ず不幸があなたのことを襲うから。人間が運で勝つのは絶対に無理だ。

だから人は諦めない。成功するまで諦めなければ必ず成功するのだから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ