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この小説は絶対に読まないでください 〜パワーワード〜  作者: 大和田大和
第三巻 公平の世界
86/260

最後の戦い

[現在]

「わしが本物の殺人鬼? 証拠はあるのかの?」

「お前はいい人間ではない。それが証拠だ」


「わしがいい人間ではない? それをどうやって証明する?」



「虐待をするやつをいい人間だという人はいない。虐待が起きている兆候は、


家に着いた瞬間にオドオドする。

家に帰りたがらない。

説明が曖昧でコロコロ変わる。

体罰の正当化。

経済的困窮。

精神状態が不安定。

疲労が溜まっている。


などが挙げられる」




ニコニコおじさんは氷のように冷たい目で俺のことを見つめる。


俺はおし黙る彼に、

「あんた確か、依頼の話をしていた時に、


【最近家計がうまくいっていなくての、ちょっと疲れ気味なんじゃ。まずは依頼料についてからじゃな】

【あの、そのことなんだけど、今回は無料で依頼を請け負うよ】

【何! 本当か? それは本当に助かる】


っていう会話をしたよな。あんたの家庭では家計がうまくいっていない。そしてあんたは疲労困憊だ。


歳は三十代なのに、顔はまるでじじいのように老けている。これは虐待が起こる家庭の特徴と一致しているんだよ。


さらにどうして家計がうまくいっていないのに、俺に依頼を出したんだ? 


わざわざ隣の国にまできて、高い依頼料を支払う。おじさんに得はないよな? あれは、外国人の俺を利用したかったんだろ? 俺は殺人鬼を捕まえたら当然国に帰る。そうしたら後々、事件を蒸し返されることもないよな」

「どういうことじゃ? 何が言いたい? はっきり言ったらどうだ?」

おじさんの持つ雰囲気が変わった。もう隠すつもりもないのだろう。


「お前の正体は虐待が趣味のイかれた殺人鬼だ!」


そして、公平の世界での最後の戦いが始まった。


『バトルルーレットスタート!』

いつもの無機質なアナウンスが響く。楽しげでどこかポップな音声。それがたまらなく不快だった。


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