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この小説は絶対に読まないでください 〜パワーワード〜  作者: 大和田大和
第三巻 公平の世界
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策略

第四章 ニコニコ殺人鬼


[五分前]

俺とアルとアリシアは、ニコニコおじさんの家を出た。俺はすぐに、アルとアリシアに小声で話しかけた。

「おい! 聞いてくれ! 昨日捕まえた見るからに怪しい奴。あいつは多分殺人鬼じゃない。本当の殺人鬼の替え玉だ」

「おい。なんで小声なんだ?」

「いいから聞けっ」

アルとアリシアは顔を見合わせる。俺の表情が冗談を言っているわけではないことを暗に示している。


「昨日のあいつは殺人鬼ではない」


「でもあんな見るからに頭のおかしい奴」

アルが言い切る前に、

「だからだ! もし殺人鬼がいるって噂になったらどんな格好をする? 

なるべく身なりを清潔に整えて、常識人のふりをするだろ? 

顔には笑顔を浮かべて、ごく普通の人間を演じるはずだ。

なのに、あいつは自らイかれていることを誇張しているようだった」


「確かにそうだな」


「あいつは、動物の鳴き声を常に口に出して、口からはよだれを垂らしていた。

だが、俺がゴリラの正確な鳴きふふふふふふふほっほを教えたところ。

その後は、その鳴き声を正確に発していた。本当に頭がイかれているならそんなことしない。

あの時、俺が何を言っているのかしっかりと伝わっていたんだ。

ということは、あいつはイかれたふりをしている一般人だということになる」



「なら本当の殺人鬼は誰なんだ?」

「替え玉の殺人鬼を捕まえさせたがるのは、本物の殺人鬼だけだ。つまり」


「ケンは、ニコニコおじさんが本物の殺人鬼だと言いたいのか?」


「そうだ。アリシア、あのおじさんの赤ちゃんは虐待の痕跡があったよな?」

「ええ。あったわ。間違いなくあの家では虐待が行われている」


「でも、あんなにニコニコした人が本当に殺人なんてするのか?」


「今から確かめに行こう」

帰るふりをして、すぐに裏口からニコニコおじさんの家に戻った。


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